玩具屋カイくんの販売日誌(212) 上海屋の午後のひととき
投稿日:2013/10/14 02:09:39 | 文字数:1,268文字 | 閲覧数:93 | カテゴリ:小説
はからずも、りりィさんの推理、つんでれのマスターの言葉と、通じる所があるような気もします。
ゆくりさんのお店「ゆっくり」に、駿河ちゃんが遊びに来てから、ちょうど一週間後。
あの日は、お客のりりィさんや店員のレンくんを相手に、駿河ちゃんがいろんなおしゃべりをしていった。
今日は、ゆくりさんが逆に、お客として、りりィさんのお店「上海屋」に来ている。
お茶が飲めるちょっとしたコーナーで、ゆくりさんのカップにルコ坊がコーヒーを注いだ。
「いつも、美味しいよね。ルコちゃんのコーヒー」。
そういうと、彼女はカップを口に運んだ。
昼下がりのひと時。
店内ではさっきまで、おしゃべりなカップルが楽しそうに、雑貨を見て回っていた。
そのお客も少し前、買い物を済ませて出て行ったところだ。
●テト・ドールを扱うことにしたの
「そうそう。結局、うちでは“テト・ドール”をメインに仕入れて、販売することにしたの」
カウンターで、レシート紙をレジに補充しながら、りりィさんがゆくりさんに向かって言った。
「あらー、そうなのー。 “はっちゅーね”とどちらにしようか、迷ってたものねー」
ゆくりさんは、カップを皿に置いてうなずく。
「そうなのよ。不思議な人形とか、噂はあったけれど。こないだ、駿河ちゃんの話を聞いたでしょう?」
りりィさんは、カウンターの上で手のひらを組む。
「ああ、“はっちゅーね”に、おしゃべりするように細工するって話ねー」
ゆくりさんも、テーブルの上に手を置いた。
りりィさんは、うなずいた。
「そう。“不思議じゃない人形”では、あまり、魅力がないでしょう」
「そうねー。不思議な人形なんで、実際にあるわけないですよねー。ルコちゃん、おかわりいただいていいかなー?」
ゆくりさんは、コーヒーカップを指さして、そばにいたルコ坊に頼んだ。
「はいはーい」
お店を手伝っているルコ坊は、いそいそとカウンターの奥のキッチンへ入っていく。
●“人形に関わるのはイヤだよ”
りりィさんは話を続けた。
「そうね。でもね、おととい、霧雨さんに会ったのよ」
「あら、彼女にー?」
「ええ。そしたら、変なこと言ってたのよ」
「変なこと?」
「うん。彼女、“あたし、もう当分、人形に関わるのは、イヤだなー”…ですって」
ゆくりさんの問いに、りりィさんは、霧雨さんの口真似をしてみせた。
「ありゃま。それは、また、どうしたのかしらー?」
りりィさんは、説明した。
「なんでも、今度はテトさんの“テト・ドール”が、不思議を起こしそうだ、なんていうの」
ゆくりさんは、妙な顔をした。
「あら、霧雨さんは、“はっちゅーね”に細工して、不思議を作り出してた本人でしょ。“不思議な人形”って噂は、作り話だって、一番、知ってるはずでしょ?」
「そうなのよね。でもね、これは私が、なんとなく思うことだけど」
りりィさんは、ちょっと声を低めて言った。
「仕掛け作りをする以外に、何かほかにもっと、不思議の“元”があるような気がするんだなぁ。“はっちゅーね”にしろ、こんどの“テト・ドール”にしろ、ね」(。_。).。o0O??
作品へのコメント1
ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!
新規登録|ログイン-
ご意見・感想
今晩は!
う~む。確かに”不思議”には、仕掛けや元がありますからね。人形そのものに霊体とか、そういうオカルトは、やはりありませんから。まぁ人形+霊体のこわーい話は、和洋問わずありますけどね。というか洋の人形恐怖話はちょっと苦手…
さてさて、仕掛けと元とは何か? 楽しみです!
ではでは~♪
P.S 今日は麻婆豆腐を美味しく作れて、とってもハッピーでした♪ でも、余ったブドウで作ろうとした”ぶどうジャム”は…失敗しました。飴になりました。2013/10/16 23:54:18 From enarin
-
メッセージのお返し
enarinさん、メッセージ有難うございます!
>う?む。確かに”不思議”には、仕掛けや元がありますからね。人形そのものに霊体とか、そういうオカルトは、やはりありませんから。まぁ人形+霊体のこわーい話は、和洋問わずありますけどね。というか洋の人形恐怖話はちょっと苦手…
人形というのは不思議なものですが、和と洋では、私は和の人形怪談は苦手です。
ただ、辻村ジュサブローさんの人形は、好みですけど。
人形と霊。人形を依代(よりしろ)として考えると、合うでしょうか。
>さてさて、仕掛けと元とは何か? 楽しみです!
ええ、人形そのものに霊体が宿る、というより、攻殻機動隊みたいな電脳(古い?)的な生命体とか、そんな連想が最近は多いようですね。
> P.S 今日は麻婆豆腐を美味しく作れて、とってもハッピーでした♪ でも、余ったブドウで作ろうとした”ぶどうジャム”は…失敗しました。飴になりました。
あはは、ぶどう飴、でも、美味しそうですけど。料理が上手そうで羨ましいです。添加物もないし、やはり手作りは一番ですね。
また感想を聞かせてください!
それでは、また。2013/10/20 20:42:35
tamaonion
オススメ作品10/23
-
ブラックペッパーナイト/短編
夜を胸いっぱいに吸い込む。季節は冬が近く、空気は冴え渡っている。
明日には地下へ向かわなければならない。この星ほどの夜景を後にして。
ギラギラした夜景と天空の月光が、星を食うように光っている。
高層ビルの上から見る夜景って言うのは、「沈み込みたくなるような衝動」を起こさせるものだ。
「何かお願いしてみたら?」と、彼女は言う。「最期の願いくらい、叶うかも知れない」
ブラックペッパーナイト/短編
-
【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 1【自己解釈】
気が狂ってしまいそうな程に、僕らは君を愛し、君は僕らを愛した。
その全てはIMITATION,偽りだ。
そしてこれは禁断。
僕らは、彼女を愛してはいけなかった。
また、彼女も僕らを愛してはいけなかった。
【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 1【自己解釈】
-
Come here【曲募集中】
I'll be by my side forever and ever あの場所へ
遠く離れた 君に 届けた手紙 読んでくれましたか
あの丘で 築き上げた 物語 繋いでた手と手 繋いでいた絆
強い絆抱いて 繋いできた日々は 遠く離れていく
そばにある 君との思い出は 二度と忘れることはないから
Come here【曲募集中】
-
【自己解釈】ヴェノマニア公の狂気
ヴェノマニア公の狂気
プロローグ
アスモディン地方に、ある少年がいた。
少年の名前は、ガスト=ヴェノム。
ガストは、どうも冴えない顔だった。ガストはこの冴えない顔のせいで周りに嘲り笑われていた。
【自己解釈】ヴェノマニア公の狂気
-
或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』
遠く 遠く 森の奥深く 住まうのは
双子の 魔術師 兄妹の 物語
一つの魂を 分けた 二人には
ただ半分ずつの力しか 与えられない
「片割れいなくなれば 力は一つになれるの?」
或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』
-
カイル・フロートの日記/前編
2月17日。
ああ、俺の誕生日が終わってしまった。って言って、仮宿が嘆いていた。今日も、普通に解体の仕事をして、一日が過ぎた。
解体をする動物は、血抜きをして洗ってあるから、スプラッタにはならない。その代わり、内臓の色んな部分がつぶさに見える。
「ホラー映画が怖くなくなって何年かなー」なんて、仕事用の防水エプロンをはずしながらブツブツ独り言を言っている。俺にしっかり聞かれてることも知らないで。
仮宿は、ニンゲンの男には珍しく、甘いものが好きだ。その代わり、酒を飲まない。
カイル・フロートの日記/前編
-
【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 2【自己解釈】
少女の後を追って建物の中に入ると、そこはまるでどこかの屋敷のようだった。
「ひ、広い…」
「…そう?普通ですよ」
「え…」
「むしろ…けっこう前に住んでた家に比べると…狭いほうです」
【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 2【自己解釈】
-
「ありのまんまで恋したいッ」
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
「ありのまんまで恋したいッ」
-
チェックメイト
Show Time
可憐な君を守りたい ナイトは貴女だけの者だから 貴女は
気付いていない この気持ちに 奪ってもいいよな?
可憐な貴女にこの思いを 伝えたい 大切だという 気持ちを
守れる自信はあるから 俺のところに居れば 大丈夫だ!
チェックメイト
-
【KAITO】止まない雨に病みながら【オリジナル曲】歌詞
陰鬱な雨 灰色の空
窓から見てた
あなたはまだ帰らない
今日も残業なのでしょう
いつも疲れてるあなた
【KAITO】止まない雨に病みながら【オリジナル曲】歌詞
雑貨の仕事をしてます。
キャラクター雑貨がらみで、キャラクターも好きです。
音楽も好きですが、好きな曲の初音ミクバージョンを聴いて感心!
ボーカロイドを聴くようになりました。
機会があれば、いろいろ投稿したいと思ってます。
宜しくお願いします。
twitter http://twitter.com/tamaonion