怖い。
皆の眼差しが。
怖い。
皆の期待が。
怖い怖い怖い。
もう、私を見ないで下さい・・・・・・・・・。




ルカは、完全なる美貌を持った歌姫と謳われ、自身もそのことを誇りにしていた。
何事も完璧にこなせるクールな女性――――それが、世間から見た《巡音ルカ》だった。
兄や姉、弟妹たちにも、そう評価されていた。
でも、本人――――ルカは、そのことをとても恐れていた。
どんなときにも、完璧な《巡音ルカ》でなければいけないという、大きなプレッシャーに襲われていたのだ。
元々ルカは、おっちょこちょいで、とても恥ずかしがりやだった。今は、そこまでもおっちょこちょいではないが、たまにその素顔が見えると、ルカは途端に縮こまってしまう。


ある日、スタジオでPV撮影があった。その帰り際、ルカはスタジオの出口まで走っていた。
クリプトン家の食事作りは当番制で、今日はルカが作る日だった。
だが、PV撮影の時間が大幅に延びてしまったのだ。ルカが、何度もミスを犯してしまったのだ。
今日は何故だか、仕事に身が入らなかった。
理由は極めて単純。今日の共演者は、神威がくぽだった。ただそれだけの理由で、ミスをしてしまうほどになってしまったのだ。
(最近の私は、なんだかおかしい・・・)
ルカ自身も、そう感じていた。
マスターに怒られ、私は何をやってるんだと1人楽屋でうなだれていた。
そのとき、メイコから電話があった。「ルカー、今日ルカが食事当番よー」と。
そして、文頭に至る。

(今の時間は・・・ああ!もう6時半だわ!お夕飯どうしよう・・・)
ルカはもう一目散に出口まで走っていて、周りのことなんて目もくれなかった。
だから、気付いてなかった。目の前に壁が迫っていることを・・・。
「危ない!!!!」
その声が聞こえたと同時に、右腕が引っ張られる感覚がした。
同時に我に返り前を見ると、あと数センチの所に壁があった。
ルカはビックリした。ここまで自分が周りに気付かないことなんて最近は滅多に無かった。
気がついたら、ルカは綺麗な顔立ちの男性を見つめていた。
引っ張られた反動で、体が抱きかかえられていたみたいだ。
「大丈夫?ルカ・・・怪我は?」
ルカは抱きかかえられたままの状態で、助けてくれた男性・・・がくぽにお礼を言う。
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます、がくぽさん」
ルカは自力で起き上がり、出口に向かって歩こうとした。
途端に、顔が真っ赤になり、その場で固まってしまった。
「ルカ?ほんとに大丈夫?」
「だだだ、だいじょ、うぶで、すよ・・・」
がくぽが心配そうな顔でルカの顔を見つめた。ルカは目の焦点が定まっていない。
しばらく回復するまで待っていたがくぽだったが、ルカは糸が切れたようにプツンと、その場に倒れてしまった。
がくぽは、やれやれ、という顔でルカを車に乗せた。

今日のスタジオは、クリプトン家やインタネ家から車で30分くらいの所にある。
車が出発して10分くらい経ったころ、ルカが意識を取り戻した。
「んん・・・ここ、何処ですか・・・?」
ルカが辺りを見渡して言う。
「俺の車の中」
がくぽは即答した。「えぇっ!?」とルカが目を見開いて言った。
「あれ?私今までスタジオの中にいましたよね!?え!?ななな、なんでがくぽさんが私を車に乗せてるんですか?」
「ルカが、スタジオで倒れちゃったからからね」
バックミラー越しでがくぽのニヤけた顔が見えた。
「メイコ姉様達には伝えました?」
「いや?伝えてないよw」
「はああああああああああああああああ!?」
ルカは体中真っ赤で、茹蛸みたいになった。
「ねえがくぽさん!?貴方は馬鹿なんですか!?」
「壁にぶつかる寸前まで壁の存在に気付かない誰かさんよりは馬鹿じゃないと思うよーw」
がくぽは笑いをこらえながら言った。ルカは口をパクパクさせている。
「ほら、もう家に着くから支度して」
そう言われ、ルカはしぶしぶ支度をした。頬はまだ火照ったままだ。

「ただいま・・・帰りました・・・」
やっと家に着いたとルカは安堵し、同時にぐったりとした疲れが襲ってきた。
「ルカーお帰りー!・・・あらあら」
玄関ではメイコがニヤニヤしている。後ろでカイトも微笑んでいる。
「メイコ姉様?どうかされましたか?」
「ふふふ・・・がくぽくん、うちのお姫様をありがとね」
(がくぽくん・・・まさか!?)
ルカは後ろを向くと、後ろにがくぽが無邪気な笑顔で立っていた。
「いえいえ、姫が倒れてしまったので。俺は介抱したまでです」
「なっ・・・!姫なんて!?」
『姫』と言われて、ルカは一気に赤面した。
「あ、そうだ。ルカ、今日の夕飯は私が作っておいたから」
「すみません」
「いいのよ、倒れちゃったなら・・・あとがくぽくん、今から大人2人でお酒を飲もうと思ってたんだけど・・・夕飯も兼ねてどう?」
「いいんですか!?」
「ルカもお礼をしたいだろうし・・・ね、ルカ」
いきなり話を振られ、ルカは戸惑ってしまった。
「あうぅ・・・。ど、どうぞ。がくぽさんも一緒に・・・」
「では、お言葉に甘えて」
がくぽがそう言うと、メイコはお客様用のスリッパを1つ用意し、リビングに戻った。
「がくぽさん、グミちゃんたちは大丈夫なんですか?」
本音としては、がくぽに早く帰って欲しかっただけなのだが、ルカは遠まわしにそう聞いた。
「うーん・・・まあ、帰りは遅くなるって言ったし、リリィが何とかしてくれるだろうからな!」
がくぽは本当に妹弟を信頼している。だからこそ、こうやって共演者やスタッフと呑んでいても安心できるのだろう。
「そう・・・ですか。がくぽさん、では、ゆっくりとしていって下さいね」
そう、ぎこちなく応えた。
大人たちの呑み会は、朝まで続いたという。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

助けてくれた人【ぽルカ】

インスピレーションで書きましたwww
てか大分誤算なんですよねww
最初は全く違う話だったんですよこれwwww

コメとかくれたら失神しますww

閲覧数:443

投稿日:2013/04/08 20:14:33

文字数:2,399文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 和壬

    和壬

    ご意見・ご感想

    茹蛸www
    そんなルカ様も萌えますねーw

    すぅ2828ぽルカ書くのウマいーーー文才足りないーーー分ーけーて(キラッ☆

    ゆるりーさんにさんせー!!!
    マスターボコるぞぉ☆待ってろよw

    2013/04/08 21:37:59

    • すぅ

      すぅ

      のーか≫
      茹蛸だよwww
      まさにたこルカだよwww
      確かに萌える・・・自分で言うのもなんだが。

      ウマクナーイww
      ブンサイナーイ☆
      ニヤニヤデキナーーーイwww
      むしろのーかがくれww
      のーかのが欲しいw

      どんな武器持ってきてもいいよー^^
      逝かせましょうね、マスターをww

      2013/04/09 19:44:51

  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    みんなー、こーんばーんは――――――――!!
    ゆるりーお姉さんだよ☆
    …夜になってテンションがおかしいだけですすみませんすみません。

    プレッシャーに潰されそうになってしまうことありますよね。
    皆の期待に応えなきゃ、完璧にならなきゃ…凄くあるあるな話です。

    ルカさんだって頑張ってるんですよ!
    という訳で皆さん、ルカさんを怒ったマスターをボコりに行きましょう☆←
    ルカさんは女神ですよカワイイですよたまにデレるところとかも最ッ高ですよ!!
    ……だがしかし、がっくんとくっつくともっといいと思うn((←

    ルカさんが倒れちゃったとき、がっくんはやっぱりお姫様だっこ(←)でルカさんを…?
    なんでもないですよー^^

    最初は全く違う話だったんですか、どんな話だったのか気になります。
    でもよくありますよね。私もよくあります。
    「これ書くぞー!」数分後…「あれ?」みたいなw

    長文すみませんm(_ _)m
    ブクマいただきますね!
    ご馳走様でした←

    2013/04/08 21:09:45

    • すぅ

      すぅ

      ゆるりーさん≫
      ゆるりー姉様ー!!!
      こーんばーんわー!
      私は四六時中テンションがおかしいので大丈夫ですww

      ありますよね・・・。期待に応えられない自分が嫌いになってしまったりもしちゃうんです。
      その中で頑張ってる人は凄いと思います。

      ええ!ルカ様はめっちゃ頑張ってるんです!本当の自分を捨ててまで・・・!
      だから、私も加勢しますから、マスターを殴りに行きましょう!
      そして逝かせましょう☆
      ルカ様はもう言葉では表しきれないくらいカワイイです。天使です。ルカ様なう!
      がっくんとくっつくとさらに・・・おっと顔が大変なことにwww
      ルカ様とがっくんは一緒になるべk「何言っちゃってんですかすぅ。逝きたいんですか?」ボコッ☆

      ええそうです。お姫様抱っこですよ!!!!
      ちなみに、ルカ様の腕ががっくんに引っ張られて抱きかかえられた時、顔の近さはわずか30センチだったそうです(がっくん談)

      最初はルカ様が髪を切る話でしたwww
      どーしてかそこまで辿りつけなかったですwww
      冒頭もこんなシリアスではなかったです。
      いつもは強行突破しちゃうんですけどね・・・w

      ブ、ブクマアアアアア!?
      ありがとうございます!ありがとうございます!!!
      コメント返すのが遅れたのは長い間失神してたから、ってことにしておいてくださいw

      2013/04/09 19:41:16

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