「うう・・・緊張するう~・・・。」



「ちょ、ミク先輩、そういうこと言わないでくださいよ!
 こっちまで緊張するじゃないですか!!」




舞台裏に引っ込んで待機中のミク達は、かなり緊張していた。


1年生では、初めて大会に出る人がほとんどで、余計に。

そんな中、ミクとネルの会話に、ルカの鋭い指摘がくる。



「二人とも、他の学校の歌声を聴いて研究でもしてなさい。
 うるさくて注意されても、知らないわよ。」

「・・・はぃい・・・。」



慌てて二人は手で口を押さえる。



「あっ、もうすぐで曲が終わりそうですよ。
 この曲が終わったら、私達の出番だ。」


テトが、大きなカーテンから少しだけ顔をのぞかせて言う。

するとグミがテトをずるずるとひっぱって、舞台裏に連れ戻した。



「テト先輩・・・。
 出番の前から目立っちゃったら駄目でしょう。」



ピアノの伴奏が止み、会場は拍手でいっぱいになった。


すると係りの人が小声で言ってきた。


「・・・間もなく出番です。
 次の出場する学校の人は整列してください。」




皆はごくりと息を飲み込んだ。
ついに、出番。










舞台裏から表に立つと、まるで全てが別の世界のように見えた。


たくさんの人の顔が、皆こちらを向いている。

そして、斜め上からは、いくつかの眩しいライトがミク達を照らしていた。



指揮者が客席に向かって礼をすると、
この会場に立つわずか数十人の生徒に、会場が割れんばかりの拍手が起こった。



緊張のしすぎで、自分の心臓が壊れそうだ。





最初の音はなんだった?“ソ♯”だ。



決して今の自分の感情を顔に出さないように、



この会場の迫力に押し負けそうな自分の感情を抑えて、





笑顔で、最後まで、希望に溢れる様な声で、







自分の出来るかぎりの表現を、この曲が伝わるように、






皆と声をあわせて、響かせて!!
















「おつかれ~。」


「いやぁ、あれはすごかった・・・。」


会場入り口付近で、保護者会で集まったお母さん方が
ペットボトルの入ったダンボールを運んできた。


「どれでも好きなの取ってね~。午後ティー(午○の紅茶)とかどう?」



「あ・・・、ありがとうございます。」


「やっぱり何回でも、会場は緊張するわ~。」



3年生は、すっかりへとへとになってしゃがみこんだ。
それに対して、1年生は意外と元気なようすだった。


「すっきりしたーー!
 歌った後ってなんか生き返ったような気分だよなー。」

体を大きく伸ばしながら言うミクオ。レンは保護者の人にもらったジュースを飲んでいる。
横で2年生はほけっとした感じでベンチにすわっている。



「ところでさ、結果発表まで時間あるよね。」


リンが話題を少し変えてきた。

時計を見ながらグミが返事をする。



「あー、結構時間ありますね。」


現在午後1時34分。



「だからさっ、それまでちょっと皆で自由にしない?
 お腹も空いたし・・・。」


皆は首を縦に振る。


今の意見の反対者はいない、と判断して、
結果発表の4時30分まで自由時間にすることにした。






皆、楽しそうな表情ではあったが、


どこか不安そうな様子だった。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

合唱コンクール⑤本番当日!

結果発表は次回になります^^
ちょっと更新が先になると思いますが、
よろしくねn((

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投稿日:2010/10/30 16:01:37

文字数:1,425文字

カテゴリ:小説

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