とりあえずシーマスから衣服を強奪しカイトに着させた。ハンチング帽を目深に被らせ、ついでに彼の趣味でもある眼鏡コレクションの中から適当に選んだ伊達眼鏡をつけさせる。 それだけで印象が大分違ってくる。この青い髪の男がアンドロイドだなんて最早誰も思いもしないはずだ。 シーマスは変装したカイトの姿を見て、「お前の変装というイメージってベッタベタだな」などと言ったが。殴ってやった。
シーマスの家を離れ、カイトを連れ立ち、私の家へ向かう。 カイトは歩きながら周囲を見回しているが、初めておつかいに出た子供のように落ち着かず始終笑顔のままだった。 …ボーカロイドは笑顔でいなければならないという設定でもされてるのか?
「…あの、カイト、? 頼むから真っ直ぐ歩こうよ。はぐれるかと気が気じゃないから」
「あ。すみません。面白くて」
「何が…?」
「全てが。…起動してからずっと屋内にいたので」
言って、彼が仰ぎ見た視線につられて私も空を見上げる。暮れかけた空は青から赤への衣替えを始めつつある。微妙なグラデーションの向こう側にちかちか小さく瞬きだした星がひとつふたつ。木や家の影が色濃くくっきりと落ちて鮮明な世界と対比し、どこか不思議な空間を生み出す。 そういう些細な世界の移り変わりさえ、彼は知らなかった。美しい声で空の色のことを歌ったとしても、彼はそんなもの知らないままに歌ったのだろう。
…そりゃあ どれだけぱっと見 人間にしか見えないとは言え、不正所持してるボーカロイドをほいほい外に出すわけもないだろう。皮肉なことだ、所有者…彼にとってのマスターを殺し彼自身を破壊した「犯人」が、同時に彼を外へと解放したのだから。 私の内心など知る由も無いカイトは今度は興味の矛先を私へ向けた。
「貴女が新しいマスターですか?」
「ぶ、」
英訳、あーゆーにゅーまいますたー? なんて妙な思考が頭を占める。決定打だ、これはもう完全にパニックが内側に出るタイプらしい、私という人間は。 驚きすぎてむせてしまいながら、初めてカイトを発見した時の事を思う。バラバラ。業者に報告して謝礼金ウッハウハ。…うんとてもマスターなどという大層なものには値しない。というかそもそも歌うアンドロイドなど所持していても私にとっては特に役に立たない。
「………あー…いや、マスターじゃあ…ないなあ。 知人とか友人とかそのへんの認識にしといて…」
「友人…」
ぱあとカイトの表情が華やぐ。どういう構造だか知らないが、同時に瞳のキラキラが増し頬が薄っすら火照ったように見えるのは私の気のせいだろうか。 不可思議な変化は着実に私の罪悪感をちくちく突き刺し、世紀の大悪党にでもなったような気分にさせた。 …警察に通報したり業者に連絡したりしていたらこのカイトは今頃スクラップなんだぞと自分を励ましなんとか心を立て直す。
「そういえば。貴女の名前は?」
「へ? …ああ、そういえば名乗り忘れた」
危機を乗り越えることに一杯一杯で基本的なコミュニケーションを忘れていたことに全く気づかなかった。 自分の余裕のなさを改めて実感。 ごほんと一度咳払いをしてカイトに手を差し出し、言う。
「私の名前は、若草 常磐。 よろしく、カイト」
To Be Next .
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その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」

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気が狂ってしまいそうな程に、僕らは君を愛し、君は僕らを愛した。
その全てはIMITATION,偽りだ。
そしてこれは禁断。
僕らは、彼女を愛してはいけなかった。
また、彼女も僕らを愛してはいけなかった。
この心も日々も、全て偽りだ。
そんな偽りはいらない。
だったら、壊してしまえばいい。
『すっとキ...【VanaN'Ice】背徳の記憶~The Lost Memory~ 1【自己解釈】

ゆるりー
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ご意見・ご感想
雨鳴
その他
こんにちわ、雨鳴です。
今回も読んでいただいてありがとうございます。
コメディだったりシリアスだったりと忙しない作風なので
そう言っていただけると嬉しいです…!
またお付き合いいただければ幸いです。
2009/07/27 11:05:10
ヘルケロ
ご意見・ご感想
ヘルフィヨトルです。
読ませていただきました。
もう、本当にこの雰囲気というか、雨鳴さんの書き方好きです。
読んでですーっと通って行くというか、長文でも疲れないというか。
続き、楽しみにしています^^
2009/07/26 22:48:52