ピチャン…。
涼しげだがすこし不気味にも聞こえる水音は、薄暗い小さな洞窟に反響しては消えていった。
先ほどから目は覚めていた。しかしいくら鈍いメイコといえども流石にこの状況を理解できないわけがなく、それどころか頭のいいメイコは男たちが近くから去ったときに、素早く逃げ出そうとまだ気を失ったふりをしていた。
ふと男の一人が、言った。
「この女、妙に目ぇ覚めるのが遅くねぇか?まさか、眠っているふりをしてるとか」
「まさか。しかたねえ、起こしてやろうぜ」
「おう」
まずい。この展開では気がついていたことがばれなくても、気がつかぬふりをしていたら、怪しまれてしまう。仕方がない、こうなれば自棄だ。流れに任せるしかない!
「おい、ねえちゃん。起きろって」
「ん…。ここは?」
今の今まで眠っていたかのような演技をしてメイコは上半身を起こした。目を瞑っていて見えなかったが、この洞窟はそれほど深いわけではないらしく、メイコは一番奥に座らされていたようだが、そこからでも十分出口の光を見ることができる。
「へへっ分かってるんだろ?」
「!!」
男たちがメイコの足に触れた。イヤラシイ手つきでメイコの足をさすってくるのだ。
「辞めてよ!!」
力のあるメイコでも複数の男相手では、どうすることもできない。
あきらめかけたときだった。
「何をしているんですか!!!」
聞き覚えのある、すこしかつぜつの悪い優しげな声が向こう側から飛んできた。
「カイト…?」
いつもならしり込みしてしまうであろう気弱で軟弱なカイトが、男たちに向かっていった。
「何だおまえ!!」
「失礼しますよ!!」
「邪魔邪魔ァ!!」
後ろからキカイトとアカイトが入ってきて、カイトが進む道を開いていって、軽々と男たちをなぎ倒していく。
アカイトはゆっくりと進みながら相手の動きをとめて、蹴りやパンチを使い分けて行く。キカイトはアカイトと同じほどのスピードで進みながら、いつにない真剣な表情で、しかし体は余裕とでもいうように片手だけしか動かしていない。
男の一人が、おびえた表情をしていることに気がついたメイコはその男に視線を向けていたが、男は三人に見つからないように逃げ出したのをメイコは見逃さなかった。
「あっ、逃げた!」
「え?うお!!アイツ、足早!!」
縮こまったメイコを気遣うようにカイトが手を差し出した。アカイトとキカイトは男を追って走っていったが、カイトはメイコに言った。
「めいちゃん、車に戻ろう。…ね?」
なだめる様に言われ、すこしむかついたが、そこはおとなしくカイトの力を借りて立ち上がると車へと向かった。
しめた!と思った。
「この先に、メイトたちがいるはずだ!」
「はい!あ、いました。―メイトさーん!その男、捕まえてください!!」
そのキカイトの言葉にこちらを向いたメイトは立ち上がって男を見ると、片手首をつかんで背負い投げをした。
「今、俺は虫の居所が悪いんだよ!!!」
実はつい数十分前にビールが切れたところだったのだ。明らかに不機嫌なメイトはそのイライラを男に全力でぶつけたということだろう。
「…で、コイツは何だ」
「かくかくしかじか…(手抜き」
「ほう。殺すか!!!」
もう一度男はメイトの怒りの鉄槌を受けることとなる…。
-end-
コメント0
関連動画0
オススメ作品
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
満月の夜 誓う 絆 輝く光り 5色色の虹が巡り合った
事は軌跡で 運命なんだよ きっと
そら あか
星屑ある天 誓った 証し 輝く灯り 5色色が巡り
合えたのは 軌跡なんだ 運命なんだ 絶対
(ザビ)
綺麗な月と綺麗な星 合わさったら 絶対に凄い力になる
からさ ずっと...五つの軌跡
01
君たちが奏で始まる物語
1・2・3でスタートライン ドタバタな日常
シャボン玉みたいな 気持ちで今日も張り切っちゃう
教室の窓から見た キラリはずむメロディーがぎゅっと包んだ
もう作り笑いやめよ 突き進むよ明日へJUMP!!
君たちが奏で始まった物語には 終わらない(止まらない)メロディーがある
君...奏で始まる物語
百花利用欄p
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
【頭】
あぁ。
【サビ】
哀れみで私を見ないで
(探したい恋は見つからないから)
振られる度に見つけて
いまは見えないあなた
【A1】
儚い意識は崩れる
私と言うものがありながら...【♪修】スレ違い、あなた。
つち(fullmoon)
私の声が届くなら
私の歌が響くなら
この広い世界できっと
それが私の生まれた意味になる
辛いことがあったら
私の歌を聴いてよ
そして少しでも笑えたら
こんな嬉しいことはないよ
上手くいかないことばかり
それでも諦めたくない...アイの歌
sis
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想