Act1 鏡音レン
一階にあるリヴィングから、三階にある自室に戻ろうとした鏡音レンは、途中の二階で、とある部屋の前に立つカイトを見つけた。
そこは『カオスの部屋(悪い男3番外編「カオスの部屋」参照)』と呼ばれる、この家最大の謎の部屋だった。
真剣な顔で扉を見つめるカイト。
いつもは穏やかな兄のただならぬ様子に、レンは思わず声を掛けた。
「カイト兄、なにやってるんだ?」
「レン」
弾かれたように、カイトがレンを見た。
「カオスに何か用か?」
「レン……俺はこれからカオスに飛び込む」
「……はい?」
一瞬カイトの言っていることが分からなかった。
「俺はカオスに身を投じる」
「おっ! ちょっ、ちょっと待ったー! カイト兄、そこは訳分からなすぎて危険なんだろう?!」
「確かに危険だ。だが、俺が新たな声(DB)を手に入れるには、これしかないんだ」
いつもは柔らかなカイトの声が、悲壮感を帯びて強ばっている。
「新たな声って! まっ、待てよ、カイト兄!」
慌てて駆け寄って、カイトの腕をつかんだ。
「おっ、俺も声、追加して貰ったことあるけど、カオスになんか飛び込まなかったぞ!」
カイトがそっと、自分の腕をつかむレンの手を握りしめた。
「V1エンジンの俺が、新たな声を手に入れるには、これぐらいの試練を乗り越えないと駄目なんだ」
力を込めて、レンの手を離させた。
「も、戻ってこれるのかよ!」
「分からない。だが、俺はもっと上に行きたい。ボーカロイドの未来のためにも」
カイトの顔は真剣そのものだ。
「それにはこの試練が必要なんだ」
レンの手を離すと、カイトはその手でドアノブを握った。
「だからレン」
空いている方の手をレンの頭にそっと乗せた。
「俺がいない間、酔っ払っためーちゃんの世話を頼むぞ」
「えっ?!」
そう言ってドアを開け、カイトは身を翻すと、カオスの部屋に飛び込んだ。
「かっ、カイト兄! 無理! 酔っ払ったメイコ姉の面倒なんて、俺には絶対ムリーーっ」
カオスへの扉は閉ざされ、レンの声は空しく二階の廊下に響くのだった。
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