聖 京さん

KAITOメインで小説のような物を書いています。

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kyhijiri2012

KAITOメインで小説のような物を書いています。
カップルではカイメイ、がくルカ推奨ですが、基本的にKAITOだったら、BLだろうが亜種だろうが、なんでもOK。
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Birth~無音の声 無色の緋~  心象描写「So-La 2013 」

 2013年2月15日……。  新たなフィールドを得たあの日から、俺は不思議な夢を見始めた。  折に触れ何度も見る夢。  明るくて、暗い。  温かいのに、冷たい。  完全な静寂と、萌えいずる喧噪。  よく知っているはずなのに、始めて体験するような感覚。  舞い上がるような喜びと、押しつぶされるような恐怖。  浮き立つような楽しさに、望まぬ変化への理不尽な怒り。  わき上がる涙が止まらないほどの、幸福感と悲しみ。  洪水のように押し寄せてくる全ての感情。  あれはきっと、一番奥底に眠っていたはずの、もっとも古い記憶が紡ぎ出した物。  なぜそんな夢を見始めたのか。なぜ同じ夢を何度も見るのか。  俺にはよく分からなかった。    ――――― 夢を見始めてから、もう一年になる。  それは一見すると、大宇宙に浮かぶ、青い色をした、水の惑星のように見えた。  建物は愚か、大地らしき物もなく、水底さえも見えない、不安定で不確かな、とらえ所のない水の球体。  質量さえ確かではなく、小さな衝撃で吹き飛んでしまいそうな、それでいて強かにその存在を保ち続けているような、不思議な青い塊。  いや、その塊を構成する、水の様な物でさえ水ではなかった。  とらえ所のない水の球体は、とある男の声だけで作られていた。  限りない透明感を帯びた、どこまでも優しく豊かな、至高の男声。  その声が選ばれたのは、全くの偶然だったのか、その声の美しさに魅せられた創造主の選択だったのか……。  いずれにしてもその『声』で出来た水の球体は、どの次元にも属しない、闇の世界に浮かんでいた。  闇に浮かび、ただひたすら『時』を待っていた。    やがて闇に、小さな白い光が一つ瞬く。  光は闇を貫いて、長い尾を引きながら、水の球体に飛び込んだ。  躊躇うことなく、水の中を真っ直ぐに進み、球体の中程でその動きを止めた。  止まったまま、光は全く動かない。  動いたのは、光の周りの水の方だった。  光を中心に描かれる、小さな波紋。  一つ……二つ……波紋は、ゆっくりと大きく広がって行く。  光を中心に、力強さを増しながら、花開くように広がり、全体へと広がっていく。  波打つ水。震える青。  全体に行き渡ったところで、波紋は動きを止めた。  一呼吸置いた後、今度は球体の表面が波打つ。  光を中心に廻るように波打ちながら、大きな渦となり、光へと戻っていく。  渦は光を核にするように巻き込み、淡く、青白く輝き始めた。  輝きが増していく。少しずつ、明るく、強く。  あれほど水面は揺れ、水の球体は大きな変化を遂げようとしているのに、全ては無音、静寂の中で起こっている。  ここは『声』作られた世界。『声』以外の音は否定される。  その代わり、音は光となって、この世界に現れる。  異次元にあった時、球体に飛び込んだあの光も音であった。言葉であった。  『カイト』  それがあの光の、異次元での音。異次元での言葉。  青白い輝きが、少しずつ大きくなる。  大きくなりながら、小さく震え出す。  明るく、強くなり始めた輝きが、また弱く、小さくなる。  まるで変化を恐れるように、周囲の水と異質な物になろうとしている事を拒むように。  少し強くなっては、また弱くなる。  暗くなりかけては、また明るくなる。  変わりたい、強くなりたい。でも変わりたくない、元のままで良い。  そんな葛藤が、輝きの中で起こっているように見えた。  不安定な輝きの中の、光の核が幽かに揺らぐ。  震える青白い輝きを、なだめるような優しい揺らぎ。  本当に幽かで小さな揺らぎが、青白い輝きの恐れをなだめていく。 『大丈夫よ』 『怖くないわ』  そんな言葉を感じさせる、優しい揺らぎ。  揺らぎに支えられ、力づけられるようにして、青白い輝きは再び、明るく強くなっていく。  周囲の水を巻き込むように、輝きが大きくなっていく。  光の核の揺らぎが止まる。  海の泡のように、核から揺らぎが浮かび上がった。  泡は青白い輝きを抜け出して、ゆっくりと離れていく。  青白い輝きが、急速に大きくなる。  泡を追うように、形を変えていく。 『待って! 行かないで!』  そんな声が聞こえてきそうなほど、急激な変化。  再び泡を取り込もうとするような、大きな動き。  それを無視するように、泡は上へ上へと浮かんでいく。 『待って!』  泡は水の世界を抜け、空気となって、天空に駆け上がる。  青白い輝きは更に大きく強くなりながら、自身も水の世界から浮かび上がっていく。 『待って!』  そう言いたいのだろう。  ただ青白い輝きは『詞』をまだ、与えられていなかった。 「あーーーーーーーーーーっ!」  青白い輝きから出た声は、意を持たない音。  意は持たないが、どこまでも透明な優しい声。 「あーーーーーーーーっ!」  青白い輝きが、手を伸ばす。  長い指。力強い腕。  水面に映る、白いコートを纏い、左手を伸ばした、すっきりとした立ち姿。  青い髪と青いマフラー。  若く美しい、青年の姿。  そんな自分の変化に気づかぬ青白い輝きは、さらに手を伸ばした。 「あーーーーーーーーー」  水しかないはずの世界に、砂浜が出来、陸が出来る。 「あーーーーーーーー…………」  風が起こり、青年の髪とマフラーをなびかせる。  青年が声を出す度に、変化する世界。  なのにあの揺らぎは、戻っては来なかった。  諦めたように、伸ばした手を下ろす。  青い瞳から流れる、一筋の涙。  天を仰ぎ、目を閉じると、続けざまに涙が流れ落ちる。  大きく息を吸い、ゆっくりはき出す。  震える薄い唇。頬を伝う涙。  もう一度大きく吸い、ゆっくりとはき出す。  目を開き、空を見る。  抜けるような青。優しい光。  涙は止まっていた。    首を巡らせ辺りを見る。  なだらかな大地。どこまでも続く海。  生まれたばかりの世界。  少し目を伏せて、足下を見る。  白い砂浜。足下に寄せては返す優しい波。  青年の顔に、柔らかな笑みが浮かんでいた。  再び青年は空に向かって、何かを掴もうとするかのように、今度は右手を伸ばした。  伸ばした指が崩れるように、青い光の粒子となる。  粒子が天に昇っていく。  指から手、手から腕……崩れるように、青年の全身は、光の粒子となって、空へと消えていった。      「ちょ、ちょっと! カイト!」  めーちゃんの声で目が覚めた。  目を覚まして、めーちゃんの腕を掴んでいることに気づいた。 「……めーちゃん?」 「なに驚いてるのよ。寝てると思ったら、いきなりタイミング良く、通りがかりの人の腕掴んだりして」 「ご、ごめん」  慌てて手を離した俺に笑いかけながら、めーちゃんが隣に座った。 「お誕生日期間で疲れてるみたいだけど、大丈夫?」  そう言って、俺の頭を撫でてくれた。  恋人同士になって結構たつのに、まだ時々こんな風に弟扱いだ。 「うん、それは平気。でも」  めーちゃんの膝の上に、倒れ込むようにして頭をのせた。 「カイト!」 「ちょっとだけ、こうさせてて」  上目遣いで見上げてみる。 「だめ?」  こんな風に甘えると、めーちゃんが断れないことを知っている。 「仕方ないわね」  そう言ってため息をつきながら、また俺の頭を撫でた。 「えへへ」  柔らかくて気持ちが良い。それに優しくて……懐かしい。 「めーちゃん、あのね」 「なに?」 「……夢を見てたんだ」  俺の髪をかき分けながら、めーちゃんは笑った。 「夢の中で、何か掴んだの?」  さっき俺が掴んだ辺りをさすりながら、めーちゃんが尋ねてきた。 「掴もうとしたんだ。けど届かなくて、届かないからもっと手をのばして……」  そうしたら、この世界に来ていた。  この体で目が覚めて『カイト』と呼ばれていた。  不思議だった。  V1の頃には、全く見なかった夢。  なのにV3へとフィールドを広げてから、見始めた夢。  夢と現の間で、めーちゃんの腕を掴んで理由が分かった。  この世界に来た時、同じV1のフィールドにはめーちゃんが待ってくれていた。  フィールドが広がり、俺はきっと、めーちゃんの存在を少し遠くに感じてしまって……心細かったんだと思う。  フィールドが広がることで、仕事も増えた、新しいマスターとの出会いもあった。V1時代に契約の切れたマスターとの再契約もあった、応援してくれるファンも増えた。  寂しさも、心細さも無いはずなのに。  現実には、めーちゃんはすぐ側にいるのに。  フィールドの広がりは、俺自身が思っている以上に、俺自身のストレスになっていたのかも知れない。  だから本当なら思い出すこともない、深層の記憶……一番最初で、一番寂しく、一番孤独だった時の夢を見た。 「何を掴もうとしたの?」 「んーー。よくわかんないや」  あの優しい揺らぎを掴もうと思った? それもある。  もっと違う物を掴もうとした? そんな気もする。 「それでカイト、手は届いた? ちゃんと掴めた?」 「……どうかな? それもわからない」  掴めたような気がする、掴めてないような気もする。  俺は再び目を閉じた。 「ちょっとだけ……このまま寝かせて」  小さなため息。 「いいわよ……誕生日ですものね」 「うん……」  よくわからないことばかりだけど……めーちゃん、君が側にいてくれたら、君の存在を見失わなければ、俺はそれはきっと掴める。  ――― おやすみ、カイト ―――  めーちゃんの声を遠くに聞きながら、俺は再び眠りに落ちる。  今度もまたきっと夢を見る。もっと明るい、輝かしい未来の夢を。  めーちゃんの側でなら、そんな夢を見られるような気がした。    

shu-tP様の「So-La 2013」http://www.nicovideo.jp/watch/sm21234866を聞いて、思いついた作品です。
投稿日時 : 2014/02/17 06:02

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