なにはともあれ、この白濁（タマゴアイス）にまみれた種ＫＡＩＴＯをどうにかすべきだろうと思い、風呂場へ向かった。


……説明を見た限りでは丸洗いおｋで溶け消えたなんてことはない……と書いてあったが……大丈夫か？


ジョキジョキと安定もしていない種ＫＡＩＴＯをタマゴアイスから強制的にとりだしたくせにそこは気にするらしく、大丈夫だろうかと思いつつも冷水を桶に張る。

種ＫＡＩＴＯを入れてみた。


「ほわぁ！？」


冷水に入れられたショックで飛び起きた種ＫＡＩＴＯ。
目は片目が赤で片目が淡い水色だった。


「……平気か？」

冷水に浸かっていて

「……おｋ、平気」

冷水に突っ込んどいて


……姉と種ＫＡＩＴＯは必要最低限の会話しかしていないが言いたいことの大半は伝わっているのか、姉は無言で湯を桶に足していった。


……やはり……青白い……。
本当にＫＡＩＴＯの仲間っぽいものなのか？
あぁ、あれだ。あいつの言ってたハク？の仲間かなんかじゃ……カラーリング的に。


白いうえに青白いため、友人が見せてきたハクの亜種ではないかと疑い始めたようだが、


ネルとか言うやつも緑→橙に変色（？）をしているらしいし、これもその一種だろう。
あれだ、ブルーハワイ食べたら舌が青くなるとかそんな感じだ。


そう納得していたとき、種ＫＡＩＴＯが自分から話しかけてきた。


「……マスター？」

「……ん？」

「……俺の」

「……ん」

「……俺の……」

なかなか話を進めない種ＫＡＩＴＯ。

「……お前の？」

何かなくしたのか？
いやここに来るまでに落としたものはないはずだし……。

「……俺の……

マフラー

ってどこにいちゃったか知りません……？」

……あぁ、やっと何かよくわからなかったが足りないと思っていたものがわかったぞ。
マフラーか、そうか。
あれがないと「変態という名の紳士」（？）になれないらしいからな。
重要なものだろう。
……ってこいつ、最初からなかった……と、ゴムの中に何やら白っぽい布上のしわのついたものがあったような気がする……。

「……お前のマフラーって……白くて軽くしわが付いているストールみたいなやつか？」

当たるな。
外れろ。
外れるんだ。
この嫌な予感……。

「……はい……そうですけど」

うわぁ、ビンゴ。
披露前に切り刻んで無くなったとかって言ってもおｋだろうか。
いやいや、生まれたばかりの種ＫＡＩＴＯにそんなこと言うのは可哀想すぎるだろう。

そう思ったのでとりあえず

「お前はまだ生えてきてないだけだろう、気にするな」

とシャンプー(弟には触らせない美容室で買ったやつ)で真っ白な種ＫＡＩＴＯを丸洗いした。

可哀想な気もしなくはないが、サンタを信じている子供にサンタはいないというようなものだ。
見逃せ(誰に言っているんだ？)


そんなことも考えつつ入っていたら以外と長く浸かっていたらしく、気が付いたら3時半を回っていた。


……後2時間で活動時間終了のお知らせが……。

毎日大体５時半くらいに弟のお弁当を作って寝てしまう姉は、種ＫＡＩＴＯに曲を教えるべきか寝かせるべきか迷った。

種からできたとはいえＫＡＩＴＯの仲間だ、歌うのは好きだろう。
ただ、いくらＫＡＩＴＯの仲間とはいえ種から生まれてきたばかりだ、寝かせるべきじゃないのか。

そんなことを多少悩んだ末に出した結論が、
「同じ生活をすれば万事解決だろ、おｋおｋ。」
という、最悪の結論だった。


「……よし、なんか曲を教えるか……」

姉はそういいつつ再生機を取り出し、種ＫＡＩＴＯに曲を教え出した。



朝日が昇るまで、後約1時間半。