断頭台の上。
ついさっき、この国の悪の王女の処刑が終わったところだ。
流れた血が足元を濡らしている。
「君が会いたかった王女さまだよ。ゆっくり会うといい。」
青仮面が相変わらずの、嫌みったらしい言い方で私に道を開けた。
処刑を行った執行人たちは、
青仮面に言われて周りの群集を散らしに行っていた。
反乱の仲間も、すでに帰っていった。
私は恐る恐る足を進めて、その首のない遺体を見下ろした。
考えてみれば、初めて陽の下で王女にお目見えするのだ。
相手には首がないのだから、こちらを見ることは出来ないだろうけど。
思ったより、痩せた小さな体。
昨晩見た、牢での威圧感が思い込みでしかなかったかのように。
すると、青仮面が仲間に命じて、悪の王女の遺体を表に返した。
少女として発達していない幼い体と言うより、これは・・・
「どういうことなの?」
血で汚れた首は、ゴロリと向こうで転がっていたが、
それまで確かめる気には、さすがになれなかった。
しかし、返された首なしの遺体は、間違いなく少年のものだった。
「あなたの求めていた真実ってこのこと?」
青仮面は周りの仲間に命じて、処刑の執行人たちにお金を渡して帰していた。
私の言葉に振り返ると
「そうだね。答えはここにあったのかもしれない。」
「だけど、僕はこれだけじゃ不満なんだ。」
と、仮面の下でニヤと笑ったようだった。
結局、この処刑の後始末を青仮面とその仲間が引き受けてくれる事になった。
こんな事を他の誰に言えるだろう?
国は平和になった。
少なくとも、みんなそうなると信じて今日の処刑を迎えた。
もしこれが間違いだったとしても、また争いが起こるだけだろう。
これは王女の遺体なのだ。
王女が少年だったのか、少年が王女になったのか・・・
そういえば、御子さまは男女のお二人だったはず。
もしかすると、どこかで話が入れ替わったのかもしれない。
王さまと一緒に亡くなったのは女の御子さまで、
実は、男の御子さまが生きていたのかもしれない・・・
疑問と疑念は解決しないまま、私はとりあえず自分の胸にしまっておくことにした。
青仮面はなにやら別の考えで、このことを伏せておくべきと考えているらしい。
「真実は闇の中ね。」
私の言葉に青仮面は笑って、
「それじゃ済まないよ。」
と言った。
何が済まないのか。
青仮面の気が済まないというのか、
それとも、別の何かが済まないのか。
聞き返す暇も与えず、青仮面は身を翻して
仲間と、王女として処刑された遺体と共に歩み去った。
私はただ、それを黙って見送る事しか出来なかった。
悪ノ華 ~第五章 リグレットメッセージY/side 2~
悪ノ娘、悪ノ召使、リグレットメッセージという曲を
書き手の勝手なイメージで二次創作したものです。
こちらは、個人の勝手な創造や捏造設定で書かれておりますので
実際の歌詞や、原曲者さまの裏設定とは違っております。
ご注意ください。
また、それぞれの歌に、ご自分でお持ちのイメージがあり
他のイメージを受け入れたくないという方は
どうぞ、ご自分のイメージこそ大切になさってください。
こちらのテキストなぞは、スルーしていってください。
※注意※
基本的に悲しいお話となります。
苦手な方は読むのは止めた方がよいかと思います。
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ゆるりー
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