#78「レン」



「ありがとう……カイト兄」


涙を拭きながらそういったミクのその言葉……僕に突き刺さる


「もう、大丈夫!私は、いままでどおり、みんなの義姉ちゃん(おねえちゃん)で、カイト兄の義妹!それでいいんだ!」


ミクが笑顔で僕にそういった

でも、無理しているのは、さすがにわかった

けれど、そこには触れられるはずもなかった









僕とミクが孤児院に戻ると、そこにはレンだけがいた


「レン君、ただいま」


ミクが笑顔でそういった


「ミク姉…………あ!義弟たちなら、ちゃんと寝かせつけておいたぜ!」


レンは何か言いたそうだった……


「ありがとう、レン君!頼りになるね!」

「ば、馬鹿!俺がやらなきゃ、他に誰もやらねぇだろ……」


赤くなるレン

そういえば……レンもミクのこと…………

なんか、妖精の世界に行く前にそんな感じだったような……


「よし!私もスッキリしたし、頑張るぞー!」


ミクが、手をぎゅっと胸の前で握った

そして、自分の部屋のある二階にかけあがって行った










「おい……お前……ミク姉の気持ち、ちゃんと考えたんだろうな?」


レンと2人になって、そう言われた


「うん……僕なりの答えを伝えたよ……」

「……なんて答えた?」


ここで、僕がこたえなくてもいい

けれど、最後はレンのおかげで、ミクの気持ちに気づけたし、何よりレンも気になるはず…………


「いわないよ……ミクのプライバシーもあるから」


僕はそうこたえた


「そうかよ……まぁ、その様子から、だいたい想像がつくがな……」


だろうな…………



「レンがミクの相談相手になってやってくれよ」


そうすることで、ミクの立ち直りが早くなってくれればいいと思った


「馬鹿言うな……そういうのは、俺は適任じゃない……マイなら、いくらか助けになったかもしれないがな」


マイ……リンちゃんか……

リンちゃんもどこにいってしまったのだろう……

このあたりは一通り探した……

リンちゃんは、遠くに行くだけのお金は持っていないし、行き方も知らない


と、なると、後、考えられるのって……

森に帰ってしまったとしか……

リンちゃんは、妖精だ……1人で妖精の森に入ることは可能なはず……

でも、僕たち人間には、それが出来ない

よって、確認のしようがない……

どうしたら……






「………い!…おい!聞いてんのか!」

「え!?あ、えっと、なに?」


僕は考え事をして、レンの話しを聞いていなかった


「ったく…………明日、お前はもう一度、マイを探せ!」

「あ、あぁ……そうだね。じゃぁ、レンは?」

「俺はミク姉の手伝いをする。ミク姉は、明るく振舞ってたけど、まだ辛いはずだ。誰かが見てないと危ないだろ?」


レンの言うとおりだった

リンちゃんも、シスターもいない今、レンしかミクを支えられる人はいない

僕では、逆に辛くしてしまうだろうし……



「わかった。明日も頑張ろう!」

「あたりまえだ。お前は必ずマイを見つけてこい!」


僕は大きく頷いた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#78

明るく振舞うミク
みんなに気を配っているレン
どちらも頑張ってます……

そして、リンちゃんの行方は……

閲覧数:556

投稿日:2012/10/29 17:56:55

文字数:1,333文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    嗚呼……レンがかっこいい……。
    というか切ないです…。
    カイトのこと応援してすごいとは思うけど、
    自分は気持ちは伝えないんだなあ…と…。

    2012/10/29 18:00:06

    • しるる

      しるる

      コメントがはやい!ww
      前回から、二週間も開いてしまいました!
      投稿が滞っていて、もう内容が忘れられる!と焦りましたww

      2012/10/29 18:08:40

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