********
※ 注 意 ※
当小説はmothy_悪ノP様の「悪ノ娘」、「悪ノ召使」の二次創作です。
mothy_悪ノP様には全く関係はございません。
言うなれば勝手な妄想です。
独自の解釈を多く含みますので、それを嫌悪する方は見ないことをお勧め致します。
何か問題等ありましたら言ってください。すぐにでも削除いたします。
********
国中に、時計塔の鐘が響き渡る。
部屋の時計を見ると、時間は午後三時を指していた。
「あら、おやつの時間だわ」
そう呟くと同時に、部屋の扉が静かにノックされる。
誰だか確認することの無く、私は入室を促した。
この時間に来るのは一人しかいない。
失礼します、という声と共に扉が開く。
「リン様、おやつをお持ちいたしました」
そこにいたのはやはり想像していた人物で、私の顔は自然と綻んだ。
「遅いわよ、レン」
微笑みながらそんな軽口を言えば、レンも笑って謝罪の言葉を口にした。
「今日のおやつは何?」
「クレープ・シュゼットになります」
そう言って目の前に置かれたものからは、オレンジのいい香りが漂ってきた。
口に運べば、口の中いっぱいに甘酸っぱい香りが広がる。
「美味しいわ。やっぱりレンのお菓子は最高ね」
以前、大臣の一人がシェフに根回しをしてお菓子に毒を仕込まれたことがあった。
それ以来、私はレンの作った料理しか口にしない。
レンだけが、この城の中で唯一信頼できる。
「…ところでレン?」
クレープ・シュゼットを食べながら、レンを横目で見る。
レンは何でしょう?、と微笑み首をかしげながら聞いてきた。
「何時になったら戻るのかしら?」
私がそう言えば、何のことか直ぐに分かったのか微笑みは苦笑に変わる。
「…やっぱりダメか」
次に口を開いたときには、先ほどのような堅苦しさはなくなっていた。
「当たり前でしょう?何度も言ってるじゃない。二人のときは普通でいなさいって」
私たち双子なんだから…、と小さく言えば、レンは優しく頭を撫でてくれた。
まるで子ども扱いされている様で少し癪ではあるけれど、私はこの行為が結構好きだったりする。
「レン、後で明日のドレス選び手伝いなさいよ?」
手が離れていくのを少し名残惜しみながら、私はレンにそう言った。
明日は隣国である緑の国のダンスパーティがある。
内心は招待したくないと思いつつも、権力の強い我が国を無視したら後が恐いのだろうと簡単に想像が付く。
本来ならば面倒くさいから行かないのだけれど、今回は別。
なぜなら、少し気になっている青の国の王子様も出席するらしい。
そんな思いを知ったか知らずか、レンはくすくすと笑って言う。
「分かった。最高に可愛いの、選んであげるよ。お姫様」
「…バーカ」
さらっとそんなことを言うレンに、慣れていない私は照れながら残っているクレープ・シュゼットを一気に口へ入れた。
【二次小説】悪ノ国ノ物語~Ⅰ~
何番煎じかは分かりませんが、「悪ノ」シリーズが大好きすぎて衝動的に書きはじめてしまいました。
まだ歌詞の一番あたりです。
予定では計3・4話+α的な予定。
***
素晴らしい原曲はこちら♪
□mothy_悪ノP様
・「悪ノ娘」http://piapro.jp/a/content/?id=sjgxgstfm2fg2is4
・「悪ノ召使」http://piapro.jp/a/content/?id=ktapoh00jbyf60v3
コメント0
関連動画0
ブクマつながり
もっと見るふと目覚めると、僕はひとりだった。
まわりを見回すと、そこは黒く塗りつぶされた真っ暗な部屋。
何も見えない、何も聞こえない、本当に何もない闇の空間。僕はひとりで震えた。
目が慣れてきたのか、天井に大きな穴が見えた。
もっとよく見れば、その穴には巨大なぜんまいがあった。
何故こんな所にこんな巨大なぜん...Re_birthday
明未
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
「おはようございます。」
先に作業をしていたスタッフの女の子のあいさつに、森もおはようございます。と声をかけながら、手を洗った。
先に作業していた女の子は最近入ったばかりの専門学生だった。短い前髪に小柄な...Cafe・ロータス・イーター 1
sunny_m
この物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
やっとだ。
息を大きく吸って、吐く。
そして、
「やっと届いたああ!」
と、思いっきり叫んだ。
隣の住民からうるさいぞーと、声が聞こえた気がしたが、気にしない。
やっと、届いた!VOCALO...【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
ティーヴ
綺麗にカールした睫に縁取られた、アーモンド形の黒目がちの瞳。形の良いアーチ型の眉に筋の通った鼻。口角の上がった唇は果物のように甘くてつややか。手入れの行き届いた長い髪はトレードマーク。まだ幼さのある輪郭に、少女と大人の境目を行き来するうなじ。細い肩にすらりと伸びた華奢な手足。ちょっと胸元が貧弱なの...
Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
sunny_m
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを...メイコの日【カイメイ】
西の風
「・・・誰、貴方?・・・・・・・・・へぇ、そう。貴方、死神?なら、今すぐに私を殺しなさい。
・・・・・・・・?私の言う事が聞けないの?」
少女は目の前に立っている、黒いローブに身を包んだ少年を少しだけ睨んだ後、ハァ、とため息をついた。そして、再び少年を睨むと、先程よりも大きな声で叫んだ。
「死神様っ...鎌を持てない死神の話 1
lunar
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想