兵から逃げつつ、林の中をぐるぐると回ってようやく港町に戻ることが出来た。
 「芽衣子様。この町は隣国からそう遠くありませんから何かあったときに危険です。
  同盟国の『初』まで行きましょう。かなりの距離がありますが大丈夫ですか?」
 「私は大丈夫よ。」
 「では準備をして早速出発しましょう。」
 私と海斗は店に向かって歩き出した。


 ***


 小さな道具屋に入ると、海斗は真っ先に数本の刀を手に取った。
 「海斗は刀を買うの?」
 「はい。国では剣術を中心に学んでいましたから。
  芽衣子様は何か扱える武器がありますか?」
 「んー…護身術程度に短刀を少し、ね。
  あ、これがいいかも。これにしましょ。」 
 私は手ごろな短刀を手に取り店主に声をかけた。
 「すみませーん!!」
 「んー。お、嬢ちゃんいいものに目をつけたね。それ、今なら安くしとくよ!」
 「ありがとうございます! 
  …!?ちょっとそれ、見せてください!!」
 私は半ばひったくるようにして、店主の手に握られていた刀を取り上げた。
 私は刀を眺め回して、確信した。この刀に入っている紋章。これは間違いなく紅の国のものだ。
 「こ、これ!どこで見つけましたか!?」
 「ん?それかね?それは今朝息子が林の中で見つけてきたんじゃよ。」
 海斗が私と店主の声に反応してやってきた。
 「どうなさいました。芽衣子様?
  …そ、それは!!」
 海斗も私の手に握られた刀を見て驚いている。
 「この刀、父様のものだわ…!」
 「そのようですね。 
  すみません、この刀譲っていただけませんか?金はいくらでも払います。」
 「それはもともと拾ったものだし、タダで持ってけ。
  お2人さんにとって大切なものみたいだしな。ほっほっほ。」
 「あ、ありがとうございます!!」
 私と海斗は店主に短刀の分のお金を渡して店を出た。


 ***


 「ねえ海斗、この父様の刀は海斗が持っていてくれないかしら?」
 「別にいいですけど…これは私の様な者が持っていて良い物ではありません。」
 「それ男用だから私には使えないもの。それに海斗が私を守るために使うのならそれで良いわ。」
 「そうですか。」
 私と海斗は食料などを買い終えて『初』へ向かう道を歩いていた。
 「それにしてもここら辺の紅葉は美しいわね。」
 「はい。実に美しいです。」
 私と海斗は立ち止まって木枯らしに舞う木の葉を眺める。
 そして繋いだ手を離さずにまた歩き出した。

 このときの私は、誰かに守られて生きることが当たり前だったために誰かの言葉を疑う方法なんて知らなかったんだ。たとえそれがどんな結末を生むのかも分からず―――――





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

番凧,自己解釈 弐

我ながら投稿スピードの遅さに呆れる。しかも駄文…

週末にはレンリン連載の続きを書きたいな…

閲覧数:490

投稿日:2011/11/24 21:38:39

文字数:1,148文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 芽莉沙

    芽莉沙

    ご意見・ご感想

    え、ええええ?!あれ、続きはっ?!(キョロキョロ
    あああああ何か続き超気になるよ!!!←

    随分壮大そうで大変な曲なのに凄いね…!(憧れの眼差し
    番凧、久しぶりに聴いてみようかな…(*・ω・)

    それにしてもカイトの敬語ってなんか萌えるものが…///←

    2011/11/25 20:26:51

    • 紅華116@たまに活動。

      紅華116@たまに活動。

      ゆるりーさん>
       コメントありがとうございます^^
       
       目が離せないような展開になっているなら光栄です^^
       wwwwww紅葉が美味しいってwwww
       個人的に美味しい紅葉といえばもみじまんじゅうが思い浮かびますね。広島県民ですからww

       続きも頑張ります♪


      芽梨沙>
       おお!!早速来てくれたのか!!
       続き!?ちょ、ちょっと待て…まだ続きを考えていな(((ry
       頑張るからもう少し待っててくれ!!

       憧れだなんて…照れるじゃないか←
       私は全然すごくないのだよ…
       番凧、良い曲だよね!はじめて聞いたとき感動した!!

       カイトの敬語は書いている自分自身も悶えた///←

      2011/11/25 21:18:50

  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    なんか目がはなせないような展開になってきてるようなw

    そしてなぜか「紅葉は美しいわね」「はい。実に美しいです」が、
    「紅葉は美味しいわね」「はい。実に美味しいです」に見えましたww((食べるんかい
    なんででしょうww会話の内容がおかしいwww

    続き楽しみにしてます。

    2011/11/25 13:03:59

    • 紅華116@たまに活動。

      紅華116@たまに活動。

      ゆるりーさん>
       コメントありがとうございます^^
       
       目が離せないような展開になっているなら光栄です^^
       wwwwww紅葉が美味しいってwwww
       個人的に美味しい紅葉といえばもみじまんじゅうが思い浮かびますね。広島県民ですからww

       続きも頑張ります♪


      芽梨沙>
       おお!!早速来てくれたのか!!
       続き!?ちょ、ちょっと待て…まだ続きを考えていな(((ry
       頑張るからもう少し待っててくれ!!

       憧れだなんて…照れるじゃないか←
       私は全然すごくないのだよ…
       番凧、良い曲だよね!はじめて聞いたとき感動した!!

       カイトの敬語は書いている自分自身も悶えた///←

      2011/11/25 21:18:50

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