亀ペースですが、次行きます!
※注意
・カイメイ風味があります。・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・名前の捏造っぽいところがあります(がくぽ→樂十とか)
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
「──というのを聞いて、思ったんだ。めーちゃんは、優しい子だから、そんなに大変な目に遭っている人たちを放っておけないだろうってね」
「だからって‥‥なんで海斗が紅の刀を取りに行かなきゃなんないのよ?」
芽衣子は、目も合わせず、うつむいたまま、そう言って、海斗の手を、ぎゅっと握り締めた。
──‥めーちゃんは‥優しいな‥‥。
「‥前にも、今回と同じようなことがあったって話は聞いたね?」
「え、えぇ、あの話ね」
あの話、というのは、紅の刀に関する、過去のエピソードのようなものだった。
紅ノ剣伝説──。その話は、こう呼ばれている。
むかし、むかし、あるところに、賑やかな町がありました。その町で、ある年に、小動物の死体が大量に見つかる、という事件が何度も起きました。
犯人を捕まえるために、町人は、そこら中を探し回っていましたが、あるとき、町人の一人が、何者かに殺される、ということが起き始め、それが、動物虐殺の犯人だと囁かれるようになりました。
それだけではなく、その犯人は、〝人ならざる者〟という噂が流れるようになり、誰一人として、犯人を捜さなくなりました。
「そのときに、ある若侍が登場するのね」
「そうだよ、ここから、紅ノ剣伝説の、中枢部分、最も注目すべきところだ」
ところが、ある日、その町に、若い、短髪の侍が立ち寄りました。茶屋の主人から、事件のことを聞いた侍はこう言いました──その化け物、この私が倒してみせよう、と。
それを聞いた人々は、無茶だ、また死ぬに決まってる、そう口々に言ったが、侍は、忠告を聞かず、事件のあった場所へと行ってしまいました。
翌日、侍が帰ってこないので、どうせ殺されたんだろう、せめて供養でもしてやるか、そう思った人々が、あの事件の場所へと向かった。ところが──。
「その侍は、死んでなんかいなかった」
お互いに確認するように、海斗と芽衣子はそう言った。
侍の周辺の地面には、何者かの血が、大量に染み込んでいて、彼の目の前には、切り落とされた、鬼のような腕が転がっていました。驚きと恐怖で言葉の出ない人々に、彼は振り返ると──これが、動物殺しの犯人だ、と。
そのとき、彼の近くにいた巫女が、鬼をお祓いし、清めたそうです。そして、彼の持っていた刀は、血に染められていた。オシマイ。
そのときの刀──血に染められた刀、これが、紅の剣の由来である。
「この話はあくまで伝説だけど‥‥これと同じように、巫女の力を持つ、めーちゃんだけの力じゃ、事件は解決できない、ということは確かだよ」
そう言って穏やかに微笑む海斗。
「‥‥めーちゃんは、連れ去られたんじゃない。事件の話を聞いて、協力してあげたくなった。だから、協力しようとした。でも、僕に言うと反対するだろう、僕が巻き込まれる可能性もある、だから、こっそり姿を消した──そうだね、めーちゃん?」
穏やかな表情のまま、海斗がそう話すと、芽衣子は、うつむいていた顔を上げ、不安そうな声で、
「‥‥ごめん‥‥ごめんね、海斗‥‥海斗は‥大事な友達だから、海斗にまで、つらい思いはさせたくなかったの‥‥だから‥ごめん‥」
「‥‥謝らないで、めーちゃん」
そう言って、海斗は、そっと芽衣子の頬にふれた。
「つらいだなんて、思ってない‥そう言ったら嘘になるかもしれないけど、めーちゃんが悲しむ方が‥そんな表情している方が‥ずっと、つらいよ」
「‥海‥斗‥‥」
芽衣子の目から、ツー‥と涙が落ちていく。
──‥めーちゃんが泣くぐらいだったら、僕が泣いた方が数倍マシだ。
「大丈夫、めーちゃんが信じている限り、僕は、絶対に死なない。一人になんて、絶対にしない。必ず‥めーちゃんのところ(ここ)に帰ってくるよ」
真っ直ぐで、迷いの無い、強い瞳。少年の面影を残しながらも、海斗の顔はしっかりとした青年の顔だった。
すっ、と自分の小指を立てて、海斗は言った。
「約束、だよ?」
「‥うん、約束‥‥」
芽衣子の小指と、しっかり指切りをした。芽衣子の不安な気持ちは消えていない。でも、海斗を信じよう、という気持ちは強くなっていた。
──海斗、私は大丈夫だよ、だから‥‥。
「刀を取ってきたら、真っ先にめーちゃんところに──」
海斗がそう言いかけたときだった、芽衣子は、ふっと微笑むと、海斗を優しく抱きしめたのだ。温かく、慈愛に満ちた母親のように‥‥。
「‥な‥‥っ!ちょっ‥めーちゃん‥‥っ!?」
芽衣子の珍しい行動に、訳も分からずパニックになっている海斗。そんな海斗に、
「ねぇ、海斗──」
「‥ナ、ナンデショウ‥‥!?」
自分からこういうことをすることはあっても、芽衣子からされた事は無いせいか、海斗の言葉は片言になっている。
──‥変なの。
その行動に笑いつつも、芽衣子は、
「海斗ってさぁ、なんか、私がいない間に、すごく変わったよね、なんか、成長したっていうかさ」
「そ、そうですか‥‥!?」
──だ、だって‥めーちゃんからこんなことしてくること無かったから‥‥される側ってこんなに緊張するもんなんだ‥‥。
海斗の考えも、本当に今更のことである。そして、いつか、鈴が言っていた言葉を口にした。
「強くなったね、海斗」
「‥めー‥ちゃん‥‥っ!‥それって‥‥!」
海斗の表情が、緊張から、一気に、ぱぁっと明るくなる。訳も分からず芽衣子は、
「‥な、なによ?それってって何のこと?」
「だって、めーちゃん、いつか言ってたじゃん、私が海斗のことを、強いって思ったら、一生海斗に連れ添っていくって!!」
芽衣子は、海斗の言葉を、しばらく考え込んだあと、
「‥あぁーっ!!思い出した‥‥っ!あ、でもあれは、まだ小さいときだし、べ、別に深い意味は‥‥っ!!///」
──私ってば、子供のときに、なんてこと言ってんのよーっ!!
今更ながら、過去に言った言葉の恥ずかしさで、穴があったら入りたい気分の芽衣子。
「わぁいっ!ずぅっとめーちゃんといられるーっ!やったぁ!!」
「だ、だから、海斗、あれはね‥‥っ!!」
おもちゃをもらった子供のようにはしゃぐ海斗と、真っ赤になりながら、必死に撤回しようとする芽衣子。
──‥めーちゃんと一緒にいられる‥‥っ!友達としてじゃなくて、家族として‥‥!
海斗自身、こんなに嬉しくなったのは、芽衣子と友人になったとき以来だ。
その様子を端っこから見ていた鈴と蓮がわざとらしく、
「ヒューっ!御仲がよろしことで!」
「え‥っ!?蓮君‥‥!?いつからいたの‥‥っ!」
そう海斗は言うが、芽衣子は鈴の、
「‥小さいときから、言葉には注意しないとダメですよー、男の子は意外と覚えてますからねぇ、芽衣子さん!」
という言葉に、
「り、鈴ちゃんまで‥‥っ!」
「ところで蓮君、いつからいたの?朝ご飯、もう食べちゃった?」
「んぁ?まだまだ、食べかけの状態!なかなか戻ってこねぇから、気になって隅っこで見物してた(笑)」
「ちょっと、海斗!海斗も何か鈴ちゃんに反論してよー!!」
芽衣子の叫びも空しく、
「めーちゃん、本当のことなんだから、いくら僕でも反論できないよ」
「ちょっ‥本当のことって何よーっ!!」
「‥楽しそうですね、樂十さん」
遠くから、その様子を見ていた樂十に、何者かが話しかけた。
「‥これは、これは、誰かと思いきや‥‥」
「樂十さん、お久しぶりです。あなたの屋敷の使いの者の病状を見たとき以来でしょうか?」
その青年──清輝は、懐かしそうに目を細めて微笑む。
「清輝先生‥今は、立場上、違うが、かつての友人に対して敬語とは‥堅苦しいんじゃないかな?」
「いえいえ、仮にも、あの2人、巫女と戦士を預からせていただいている身なので、そういうわけには行きませんよ」
そよ風がゆっくりと吹いていき、しばらく、海斗達の笑い声だけが聞こえてくる。
「樂十さん、あの子に、紅ノ刀が扱えるでしょうか‥‥」
「‥‥素質は十分にあると思うよ。紅ノ剣に必要な力──並外れた感覚と、勘の鋭さ、意志の強さ。そして、その力に呑まるること無い、芯の‥心の強さ‥‥必要なパーツは、全て揃っている」
そう言って木の根に腰掛ける樂十。
「‥でも、パーツがそろっているだけでは‥‥」
「そうだ、あとは、彼の意思、考え次第。彼が、どう進めていくか、それだけだよ」
樂十と清輝は、心境の違いは有りながらも、無邪気に笑いながら、蓮の家へ駆けていく海斗を見つめていた‥‥。
番凩・16 act3 紅、伝説、巫女、そして──。
はい、やっとこさ、次の投稿ができました。最近、忙しくて、構想はあっても、なかなか投稿が間に合いません><;
いよいよ、本編も進行していきます。紅刀の真の由来→これは、某動画サイトのコメント欄に、
〝紅の剣って、血に染められた刀ってことですよね?〟→〝私もそういうイメージで受け取っています〟
というのを見かけ、私のイメージしていたものに近かったので、そのまま使わせていただきました。コメントしておられた方、ありがとうございます(_ _ノ)ペコリ
さて、謎ばかりが出てくるこの展開、どうなっていくのか?海斗の運命は?そのとき、芽衣子は?樂十は一体何者なのか?乞う、ご期待!
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、続き、拝読させて頂きました!
伝説の詳細、なるほどわかりました。それで巫女が必要だったのですね。そして強くなった、今の海斗が、その伝説の侍になるのかどうか、可否は分かれてますが、おおむね”可”のようですね。
鈴&蓮は興味深そうに、樂十は何か思わせぶりに、清輝先生は信頼して、それぞれの思惑が交差します!。
次を楽しみにしております。ではでは~♪。
2010/05/30 18:57:05
愛夢☆ソライト
>enarinさん
毎度、ご拝読ありがとうございます!
書く前から、一応、紅の剣の由来は考えていました。ですが、どうもシックリ来ないので、某動画サイトのコメントで見たものを使わせていただきました。
伝説の侍が持っていた刀─それが海斗に使いこなせるかどうかは、本人次第。いくら樂十が冷静であっても、そこまでは推測できません^^;
今のところは、可能に近いようですが、これからどう動いていくかで、それも変わってきます。
そうなんですよ?、私の中では、樂十は何かと思わせぶりな感じなんです^^;蓮&鈴は、なんでも興味を持っていく、というところですね。
では、次はいつになるか分かりませんが、構想を練っていきたいと思います、でゎ?★
2010/05/30 20:39:30