「えっと、緑絵先輩、ここはミステリー研究会なんですよね?」
私はこの女の子が大人っぽい雰囲気だったので、そう言った。
「そうですね。まずここがミステリー研究会の部室ということはあっています。ただ・・・」
ここで緑絵先輩は一息ついた。
「私は先輩ではありません。あなたたちと同じ、一年生です」
「えっ!」
ええ~この子、同い年~!?
「あ、ほんとだ~。ネクタイが同じ色~」
とルカが言った。
そして私も緑絵グミの胸元に結ばれた真新しいネクタイを見た。
ーーほんとだ。私たちと同じ色。ちなみにうちの高校はネクタイとリボン、どちらかを選べる。
私とルカはリボンだ。
「で、あなたたちの名前はなんですか?まさか、人に名乗らせておいて自分は名乗らない、なんてことはありませんよね?」
うっ・・・何この子のこの、ちょっと上から目線的な態度・・・感じ悪っ。
「わ、私は初音ミク。一年B組、3席よ」
「あ、私は巡音ルカ。ミクと同じB組、20席だよ」
「ふ~ん。そういえば私はクラスを言っていなかったわね。私はA組。よろしく」
う~ん・・・なんなんだろうこの子・・・・わからないなぁ。
「あ、そういえば緑絵さんが来た時には、ここの先輩とかいた?」
「ああ、私が来た時は誰もいなかったから職員室に行って、顧問の先生に聞いたら、この部活に去年までいた三年生は去年卒業したからこの部活には誰も所属していないとおっしゃっていました」
「えっ。そうなの?」
「この部活そんなに人気ないの?」
ルカ・・・そんなこと言わないで。
「ていうことは、今入部すれば、私が部長に・・・?」
「ああ、それは無理ですね」
「え、何で?」
「私が入ったから」
うそっ。入学式終わってからまだ一時間しか経ってないよ!?
「も、もう入部届出したの?」
というか部長って?
「最初からこの部に入部することは決めていましたから。入学式が終わって、教室での自己紹介の時に書きましたよ」
「ちゃんと自己紹介聞こうよ・・・そうじゃなかったら覚えられないでしょ」
「学年全員の名前は言えませんが、自分のクラス全員の名前と趣味は言えます」
「え」
すご・・・この子、記憶力ハンパない・・・。
ていうかそれより、
「私だってここの部長になりたいよ!!」
「あなたより私のほうが部長にあっているわ。その次にあっているのは巡音さんね」
「何でルカ!?」「何で私!?」
「巡音さんはあなたより先にネクタイのことに気が付いたわ」
「うう・・・たかだかそんなことで?」
「物語に出てくる名探偵や名刑事はいつも小さいことに目がいっているわ」
「確かにそうだけど・・・」
「だから私が部長になったのよ」
「・・・そんなの認めない」
「?」
「あなたがこのミステリー研究会の部長になる資格があるという証拠を見せるまで私は認めない!!」
「勝手にしたらどうですか?その証拠をどれにするかはあなたが決めてください」
「・・・あなたが何か事件を解決したら・・・ていうのは?」
「かまいませんよ。どんな事件でも?」
「事件と呼ばれるものなら何でも」
「そう・・・早く認めてもらいたいわね」
私はミステリーが好きだ。だからこの高校に入って、この部の部長になるのが
「キャアアァァァァァーーーーーーー・・・・・」
バタバタドカンバタンバサバサバサバサ・・・・・
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「何今の?」
最初に口を開いたのはルカだった。
「わかんない」
これは私。
「簡単よ」
これは緑絵さん。
「事件が起きたのよ」
ガタッと椅子を鳴らせて緑絵さんが立ち上がった。
「何をボヤっとしているの、初音さん」
「え?」
「私にこの部の部長になる資格があるかどうか見せてあげるわ」
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