課題発表から3日、ラウンジで『人形』の5名が自然と集まった。昼食を取った後に皆でお茶でも、と言う鳳仙花の言葉に乗ったのだが…。
「はぁ~~~~~~~。疲れた…。」
「あたしも…。」
「4人共暗いよぉ?エステもあって可愛いドレス着れるんだからもっと気楽にすれば
良いのに。」
「気楽じゃ済まないわよ…、帽子屋さん姿勢から歩き方から顔見る度にほんっと
細かい事までお母さんみたいに…お陰で筋肉痛よ?!」
「こっちは季琳が矢鱈可愛いドレスを私に薦めて来るもんだから未だにドレスが
決まらなくて…。」
「その位良いわよ!ヨナちゃん元々可愛いの似合うんだし、自信持って着ちゃえば
良いんだって。」
「自信がそう簡単に持てるとは思いません…。」
「わわっ?!死体?!」
「生きてます…。」
明らかに負のオーラが漂っていると思うが…。
「浬音ちゃん、ハレルさんどうなの?あの人別に細かい指図とかしないみたいだけど。」
「『自信を持つには心からだ』とか言って毎日毎日誉め殺し状態で、しかも一切
笑わないから却って物凄いプレッシャーを感じて…。」
「それはそれでキツイわね…。」
「メオ、大丈夫か?最近元気無いけど…。」
浬音が閉じ込められたあの日からメオは元気が無い。やっぱり脅されてるんだろうか?
「ねぇ、メオさん、やっぱりあの人とパートナー組むの止めなよ、それともまだ何か
言って来たりするの?」
「嫌だったらいっそ失格にして貰えば?」
「ち…違うの…違うの!!」
メオはそう言って勢い良く立ち上がった。俯いた目には涙が滲んでいた。
「メオ…?」
「…浬音ちゃん閉じ込めたの…あたしなの!!…あたしが…つまんないヤキモチ妬いて
…それで…。」
「え…?ちょ…ちょっと待って?だって、あの時フノオさんハッキリ自分だって…。」
「…庇ってくれたの…あたし帽子屋さん居ないの知らなくて…あんな大事になる
なんて思わなくて…!ごめんなさい…!」
メオは私達に向かって深々と頭を下げたまま顔を上げようとしなかった。何て声を掛けて良いか判らず重い沈黙が訪れる。と、ふわりと甘い香りが鼻をかすめた。
「目が腫れますよ?」
「あれ、サウ?」
「ミルクたっぷりシナモンティー、砂糖はスプーン一杯半。熱いのでお気を付けて。」
「猫さん…。」
「それ飲んだらそろそろ笑って下さい。失礼します。」
テーブルに熱々のティーカップを置くとチェシャ猫は直ぐに去って行った。
「サウが…サウが無駄カッコイイ?!」
「ちょっと、ちょっとーメオさぁーん?」
「あ…え、えっと…。」
「メオさん。」
「浬音ちゃん…私…。」
「新メニューのキャラメルプリンアラモードで許します!」
「へっ?!」
「あ、じゃあ私もー。」
「じゃあ私苺パフェ。」
「キャロットケーキで。」
「ええええええええ?!」
それから何故かお菓子大会になっていた。だけど、皆が笑ってたから、私は凄く嬉しかった。
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お腹空いた!
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