大人は嫌い。僕を殴る。僕を蹴る。僕を刺す。
大人と僕だけだったあの家に、女の子が来た。妹になった。
妹にいつもの行為はされないけれど、僕が受ける行為をある日妹は見てしまった。
まるで自分のことのように泣いていた。
可愛かった。嬉しかった。抱きしめたかった。
でもこんな傷だらけの腕では無理なこと。
僕は兄で、君は妹、たとえ血は繋がっていなくてもそうなんだ。
そう言い聞かせて境界線を張った。
大きくなっても行為は続く。
大きくなって君は変わった。
「この家を出て、2人で一緒に住もう」
傷だらけの僕の腕を引っ張って、彼女は言った。
僕たちは、大人たちがいる場所から逃げ出して、一緒に住み始めた。
その頃からかな、君と接する機会が増え始めて、パニックを起こしても受け止めてくれて、僕の全てを受け止めてくれて、妹ではなく1人の女性として君を愛し始めたのは。
でもね、僕は君と違って汚いんだ。僕は君に触れちゃいけないんだ。
だから、これ以上、君を好きにさせないで。
「心配だから」
そう言って、君はいつも僕についてくる。
たとえ僕が冷たい態度をとっても、ついてくる。
ああ、どうしよう。たまらなく愛おしい。
本当は抱きしめたいのに、癒えない体の傷が、言えない心の傷が、邪魔をする。
「それでも大好きなの」 
全てを知った上で君はそう言って、無邪気に笑う。
「依存していいよ。甘えていいよ。弱いとこ見せて。あなたの傷を見せて。辛い時は辛いって言って。助けて欲しい時は助けてって。私はいつでもあなたのそばにいるよ」
そういって、君は僕の体の傷に、キスをした。
その日から、僕らは少しづつ愛し始めていった。
けれども幸せなんて、長くは続かない。
不幸なんて、命なんて、あっという間。
君を失った時、ただ、泣くだけしかできなかった。
その涙が、フラッシュバックに襲われそうな恐怖からか、愛しい人を失った涙かはわからない。
ただ、泣いていた。
ただ、1人耐えていた。
本当は、もっといっぱい愛したかった。
もっといっぱい好きって言いたかった。
ずっと一緒にいたかった。
こんな僕だけど幸せでいたかった。
ごめんなさい、愛してる。
願いが叶うならば、もう一度君に会いたい。
そして、伝えられなかった思いを、気持ちを、言葉を、指輪を、君に捧げたい。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

会いたい、会えない、恋しいよ小説版

先ほどの補足小説です。

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閲覧数:223

投稿日:2013/08/21 11:18:18

文字数:964文字

カテゴリ:小説

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