「…で?キミは何がしたかったんだい?」


レンとかいう、超☆理解不能な男の子に手をひかれ…
たどり着いた(?)のは、森の入り口


「…君は、男の子っぽい喋り方だね。」
「うっさい、どうでもいいでしょ」


どうしようが人の勝手だろ


「で?ボクにどうしろって言うんだい?」
「(また戻っちゃってる…)」
「なんか言ったか」
「いえ」


能天気なやつだな
どうせ、ボクのことなんか知らないくせに!!


「知ってるよ。」
「人の心を勝手に読まないでくれるか?」
「…君は、心に闇を抱えている」


こいつは超能力者か
しかも無視かよ


「ボクの何を、知ってるというんだ」
「…君の身体中にある、その傷。それがすべてを物語っている」


傷?
そんなものあったっけ?

…あ、ほんとだ、あった
しかも沢山

いつも「赤」ばっかり見てて気づかなかったや


「君は…一人だ」
「…キミもだろう」
「そう。君と僕は似た者同士。だから、きっとわかりあえる」

「僕は、君の力になりたいんだ」


そんなの…


「逃げて、きた奴が…言えた義理ではないだろう!!」
「それは、君もでしょ？」
「ッ!!」


こいつ…
こいつは…!!


「たとえ、君が僕を信用しなくても」
「…や」
「君が僕を嫌っても」
「や、やめ…ッ!!」
「僕は、君を助けたい」
「や…め、ろッ!!」


お前なんかに…!!


「やめろ!!お前なんかに、何がわかる!!お前なんかに、ボクの痛みは、悲しみは、辛さは、憎しみは…わかりやしない!!」
「確かに、僕は君を知らない」
「お前なんかに…お前なんかには…!!」
「僕は、君を何も知らないんだ」
「お前なんかが…知ったことでは…!!」
「でも、君は助けを求めている。光を探してるんだ」
「…!!」
「僕がその光になる」


こんなやつなんかに…


「だから、一人で抱えないで」
「……う、」
「僕もそれを背負うから」
「……う、うああああぁ…っ」


こんなやつなんかに…

救われるなんて、思ってなかった。
嘘だらけの言葉で、救われるなんて思わなかった。

嘘でもいい。
今だけは、信用してもいい気がする。




*




「落ち着いた？」


こんなに泣いたのは、始めてかもしれない
あいつらの場所だったら、どうなっていたかわからない


「…赤ずきん。君の本当の名前は？」
「え？」


名前…？
そんなもの、ボクは持ってない。


「名前は…無い」
「無い？」
「つけられたことが無いんだ」


名前…というよりも、称号っぽいものならある

『赤ずきん』
それは、昔でいう可愛い少女
それは、今でいう闇の少女


「んー…じゃあ、君の名前は…」


なんか、レンが勝手に名前をつけるようだ


「リン」
「お前と一文字違いはヤダ」


はっきり言って一文字違いは…
なんかヤダ。
こいつと一文字違いはヤダ。


「え…うーん…じゃぁ」

「リミナ」


りみな？


「りみな？」
「そ。リミナ。嫌？」
「…ううん。嫌じゃない」


こいつ、意外とセンスあるなぁ…


「それじゃあ、君の名前はリミナだ」
「わかった。ボクの…私の名前は、リミナ」


リミナ。

それが、私の名前――




「さぁ、行こう」
「…あ、待って」
「ん？どうしたの？」
「…最後に」


最後に、やらなくちゃいけないことがある。


「最後に、決着をつけてこなきゃ」
「決着？」


そう、決着。


「あいつらに…やってやらなきゃいけないの」