ある日、千年樹の傍に先約がいた。どきん、と鼓動が跳ね上がる。綺麗な緑髪――この村の住人だった。でも、動かない。倒れている。
――死んでる?
背筋が凍る。鼓動はどんどん速くなっていく。
その鼓動を押さえつけて、私は近づいて、肩を揺さぶる。すると――
「………ぅ…」
「!」
反応があった。そして、目を開ける。
ひどく、綺麗な顔立ちだった。それに、今までに見た事の無いような綺麗な髪。それに白い肌。といっても、彼女は体の所々に土やら葉っぱやらが着いているが…
そこで、彼女は驚いたように目を見開く。そして、澄んだ声音で呟く。
「あの………私、獣に…」
それだけで、十分だった。彼女は、森の獣に襲われたらしい。それで、なんとか逃げて、この樹の元に来て、気を失った――なのだろうか?
私は、彼女を抱き抱えて村に帰った。案の定、村に着くなりまだ気を失った彼女を村人は奪い取って家に連れていったのだが――
ある日、千年樹の元にまた彼女がやって来た。彼女は私を見つけると微笑み、
「あの、この前はありがとう。大分遅くなっちゃったけど。だって、あなたどこにいるか分からないんだもの!」
そこで、彼女は腰に手を当てて、頬を膨らます。そして彼女は茫然としている私に駆けよる。そして、
「私、未来(ミク)。あなたは?」
優しげな笑顔に、私は見とれそうだった。
「私…は、白(ハク)。」
「白?未来と名前が似てるね。ねぇ、あなたの家に遊びに行ってもいい?」
「………あ、うん!」
いつのまにか二人は、とても仲良くなった。
だけど、私と彼女、何もかもが違った。
村の中の誰より綺麗な髪。日の光で輝いているみたい。そして優しい声と笑顔は、誰よりも愛された。髪が白く、暗い私とはまるで違う。
ある日、私は彼女に問った。
「どうして、こんな私にも、優しくしてくれるの?」
自分より劣る女を、憐れんでるつもりなら――そんな最低な私を、卑屈な私を抱きしめて、彼女はささやいた。
「大丈夫。あなたは、誰より素敵な人よ。誰も優しくしないのは、おかしいの。」
『絶対にその髪を気にいってくれる人がいる』
その言葉が、本当になった。こんな私にも、優しくしてくれる。優しくしてくれないのは、おかしい?
今まで仕方ないと言って押さえつけていた感情が、溢れた。
たとえ世界の全ての人が、私を蔑み笑っても、ここに必要としてくれる人が居る――それだけで幸せだった。
二人で、村を飛び出して街で暮らし始めた。私の髪を嘲笑(わら)う者が居ない、街。未来も、私と同じように家族が居ない様だった。
――だから、不慣れな生活でも一緒なら大丈夫――そう言って、村を出てきた。そして二人で、裕福な商人の婦人の使用人になる。生きるために選んだ、私達の仕事だった。
もちろん、仕事は大変だった。日が昇る頃に起きて、月が低くなった頃に寝る――それでも笑顔で居られたのは、彼女と一緒に居たからだった。
でも、幸せは長くは続かない…そう、決まっていた。
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枯れ果てる日はまだまだ先だ
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suzuraNさんさん
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ご意見・ご感想
ayuu
ご意見・ご感想
初めまして~^^ayuuといいます♪
拝読させていただきましたっ
ミクいい人…><でもそれ以上にハクもいい人だと思います。
涙腺崩壊しました…!
ブクマいただきます^^
2010/01/31 16:50:11