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「生きていてごめんなさい」 いつのまにか口癖
弱音ばかり吐いていた つまらぬだけの人生
村の人たちは皆 きれいな緑の髪
仲間外れの私 人と違う白い髪
森の奥で密かに そびえ立つ千年樹
私はここで一人 神に願いをかけた
孤独に生き続けること それはとても寂しい
だれでもいい私の 友達になっ...白ノ娘 -悪ノ反転-【白ノ娘替え歌】
Thanatos_Eris
それからというもの、ハクとミクは頻繁に会うようになった。毎日二人で山菜を取りに行った。放棄された畑を見つけ、二人で耕した。そうしてできた小さな畑で、いろいろな野菜を育てた。数日に一度は、二人で畑に行き丁寧に手入れをした。それはみんなハクにとって初めてのことだった。
ある夏の日、ハクはいつものよう...悪の王国⑤
やくると
Ⅰ Montrosia〈モントロージア〉 ロージア島(左上)に位置する国。
Ⅱ Theatore〈テアトール〉 ナイアデス地方北西部に位置する国。
Ⅲ Interlia〈インターリア〉 ナイアデス地方のほぼ中央に位置する国。
Ⅳ Galiciria〈ガリシリア〉 インターリアの南に位置する国。
Ⅴ ...悪の王国 舞台 修正①〈説明〉
やくると
金と黒曜石、黒御影石をふんだんに使った城は、きらびやかな中にも重厚感を漂わせる。大陸に城は数多くあれどその中でもテアトールの宮殿はひときわ美しい名建築と呼ばれていた。赤いカーペットの敷かれた長い廊下は、使用人の有能さを示すかのように汚れひとつない。ずいぶんと高くなった日の光を浴びて光るその廊下を、...
悪の王国③
やくると
◆第三章 ―白(ハク)―
それは、テアトールから見て南の小国のさらに小さな村――モントルークスでのことだった。
うっそうと茂った森の中。林業を主とした産業構造を持つこの国に数多くある村のひとつ。村人、否、この国の国民は、ほとんどが緑色の髪をした人々だった。男と女を比べると女性のほうが多い。7:3...悪の王国④
やくると
ザザ・・・ ザザ・・・
波の音がする。この町外れにある、小さな港。其処に、一人の少女が佇んでいた。胸に、羊皮紙を入れた、ガラスの小瓶を抱き。
フワリ、風が吹けば、その金色の髪はフワリと風と共に踊る。
少女は固く閉じた瞳を開く。その蒼色の瞳は愁いを帯び、目の前に広がる海を見つめていた。...白ノ娘
lunar
13. ヨワネハク 後編
ハクの渡した作品を、ミクの手が撫でた。
と、するりと糸が数箇所解けた。
刺繍の名人と呼ばれるハクの、まさかの失敗か?!
ミクの目がまるくなり、ハクの視線がかたまった。工房主が凍った。
くっ、と誰かが含み笑う声を、真っ白になったハクの意識がとらえた。
「あの子たち...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 13.ヨワネハク 後編
wanita
13.ヨワネハク
夜風に誘われるようにして、ハクは過去を語る。
「実は私、ある人のお付でこの国に来たの。その人、私を嫌な状況から連れ出してくれた恩人なの……レンが髪の理由を聞きたがったんだから、覚悟して聞いて?暗い話よ」
そう言う割には、ハクの顔と口調は明るい。レンは、卓に頬杖をついて、続きを待...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 13.ヨワネハク 前編
wanita
12. 異国の町の出会い
お祭り騒ぎに沸く異国の町を、異国の女がすり抜ける。
ハクだった。夕日よりも美しい真っ赤な燃える瞳に、まるで海岸の森のような、深い緑の髪の色。
すけるような白い肌に赤の瞳、緑の髪のとりあわせは、この国ならずともめずらしい。その不思議な美しさに、道行く人々が振り返る。そし...悪ノ娘と呼ばれた娘【悪ノ二次・小説】 12.異国の町の出会い
wanita
エピローグ
「ハク、ブリオッシュが焼けたよ!」
ルータオ修道院の一室、食堂の奥にある厨房で、楽しげなリンの声が響いた。あれからリンの料理の腕前はめきめきと向上し、今はいっぱしのブリオッシュを一人で焼ける様にまで成長していたのである。熱いトレイの上に載せられたブリオッシュを見て、思わず目元を緩めた...ハルジオン81 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】 最終話
レイジ
最終章 白ノ娘 パート8
あの後、どのようにして自分の私室に戻って来たのか。記憶すら曖昧な状態のままで私室へと戻ったハクは、背中越しに部屋の扉を閉めると重い吐息を漏らした。そのまま扉にもたれかかる様にして背中を押しつけたハクは、呻くような声を漏らしながらゆっくりと床へと腰を落として行った。頭は灼熱...ハルジオン80 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート7
ハク、一体どうしたのだろう。
その日の夜、リンはそう考えながら、ベッドの上、周囲を見渡すことも困難な漆黒に染め上げられた部屋の中で、一つ寝返りを打った。ハルジオンを摘むのに夢中で気が付かなかったが、途中からハクがとても気分が悪そうに、顔が青ざめ始めたのである。暑気にやら...ハルジオン79 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート6
「どう、かな?」
恐る恐る、と言う様子でマリーがハクに向かってそう訊ねた。場所はルータオ修道院の厨房、今ハクの目の前に置かれているものは本来ならブリオッシュと名付けられるべき食べ物である。だが、お世辞にも美味しそうとは言えない見栄えではあった。ブリオッシュの端は黒く焦げ...ハルジオン78 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート5
ロックバードの言葉につられる様にセリスは腰を上げ、自身の身長の二倍はあるようなロックバードの背中について歩いてゆくことにした。こうして誰かの後を追いかけるのはセリスにとっては初めての経験である。なぜか心が躍る様な感覚を覚えながら歩くこと数分、南大通沿いにある他の家屋の三倍...ハルジオン77 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート4
後の再会をガクポと誓い合ったロックバードは、そのままの足で自宅へと戻ることにした。ロックバードの自宅は南大通沿いにある、ゴールデンシティが創立された当時からある旧家である。黄の国の崩壊の直前は浮浪者で満ちていた南大通に、現在は流民の姿は見えない。ミルドガルド帝国の施策によ...ハルジオン76 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート3
さて、もう何か月が過ぎたのか。
ゴールデンシティ、かつては黄の国の牢獄として囚人たちが収監されていた、王宮から見て南側に設置されている牢獄塔の最上階で、薄く差した温かな光を眺めながらロックバードはふと、その様なことを考えた。戦に敗れた時は冬の初めの頃であったが、どうやら...ハルジオン75 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート2
カイト王がアクと青騎士団隊長であるオズイン将軍を引き連れて青の国の王宮へと帰還したのはそれから二週間ほどが経過したころであった。もう雪はすっかりと消え去り、温かな風が新緑に包まれた大地を覆い尽くしている。草原は色とりどりの花に覆い尽くされ、ほんの少し前まで白木が覆い尽くし...ハルジオン74 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
最終章 白ノ娘 パート1
「いつまでここにいる?」
厳しい雪が終わりを迎え、雪解けが進んでいる野山の様子を旧黄の国の王宮の最上階、かつてリン女王がその生活を営んでいた私室の窓から眺めていたカイト王に向かって、アクが苛立ったように声をかけた。本来の予定では年明けには青の国の王宮へと戻り、帰国次...ハルジオン73 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート9
そういえば、ルータオの街へと出かけるのはこれが初めてだな。ハクとウェッジの二人と一緒に歩きながら、リンはその様なことを考えた。先日から降り続けているパウダースノーを踏みしめる感触が何とも心地が良い。外気に晒されている頬が寒さの為に痺れる様な痛みを訴えている...ハルジオン72 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート8
普段より何倍も豪華な昼食を終えると、リンはハクと一緒に食器の後片付けを行うことになった。数十名いる修道女の食器を片づけるのはそれだけでも結構な重労働ではあったが、リンは文句ひとつ言わずにそれを片付けてゆく。流石に一週間も同じことをやっていると体が覚えてくる...ハルジオン71 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート7
さて、どうするか。
リンがハクに生誕祭への参加を約束してから三日程経過したのち、普段自身に課している起床時間通りに身体を起こしたルカは、起きざまにその様なことを考えた。リンの体調はもう十分に回復している。では、この後どうするか。目的のルータオには到達し...ハルジオン70 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート6
夜になると、それまで看病していたルカと入れ替わる様にハクがリンの私室に現れた。まだ熱が下がりきってはいないが、それでも身体は随分と楽になっている。昼間に飲んだルカの薬湯が効力を発揮しているのかも知れないし、それ以上に久しぶりにゆったりと休んだからかも知れな...ハルジオン69 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート5
はあ。
ルータオ修道院の三角屋根を眺めながら、思わずと言った様子で溜息をついた人物がいる。ウェッジであった。昨日に引き続き、今日も出勤の前にルータオ修道院まで出向いた、まではいい。しかし、果たしてどのようにして二週間後に迫った生誕祭にハクを誘えばいいの...ハルジオン68 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート4
額に感じる、ひんやりとした感覚が心地いい。リンはそう考えながら、差し込む朝日に気が付いて瞳を開いた。まず初めに視界に映ったものは白い壁紙に覆われた天井。ここはどこだろう、と考えて、リンは昨晩発熱して修道院へと駆けこんだことを思い出した。余りにベッドが心地よ...ハルジオン67 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート3
修道院の一角、修道院で暮らす女性達の為にある宿舎の扉を叩く荒々しいノックの音が響いたのは、ハクがそろそろ就寝しようとした時であった。その音に反応して、就寝前の会話を楽しんでいた、ハクと同じように身寄りのない女性達が一体何事だろうと顔を見合わせる。礼拝堂では...ハルジオン66 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート2
悪ノ娘が処刑された。その噂がルータオに届いたのはリン女王の処刑から一週間ほどが経過した頃であった。初雪が降る、寒い一日だった。その知らせをもたらしたのは緑の国を脱出した時から常に傍にいるウェッジである。
「この手で仇を討てずに、残念です。」
ウェッジの...ハルジオン65 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十一章 リグレットメッセージ パート1
リン女王の処刑が終わると、群衆は興奮の中で大喝采の声を上げ始めた。悪ノ娘は滅びた。悪ノ娘に対する鬱憤を発散させた民衆達は、次々とカイト王とメイコを称える声を上げ始めたのである。その声に応える様に立ち上がったカイト王は右手を大きく掲げた。その仕草に、群衆達が...ハルジオン64 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十章 悪ノ娘ト召使 パート11
「時間だ。」
迎えに訪れたのは屈強な兵士だった。その兵装からして青の国の兵士だろう、と判断したレンが素直に立ち上がると、兵士がレンの両腕を拘束した。そして、兵士達に押し出される様にレンは牢獄から歩み出した。脚が、僅かに震えていることを自覚する。恐れているのか、と...ハルジオン63 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十章 悪ノ娘ト召使 パート10
カイト皇帝。
近い将来にそう呼ばれることになるカイト王の功績を、後の歴史学者達は歴史上初めてのミルドガルド大陸の統一を成し遂げた人物として好意的に評価する傾向があった。だが、その為に流れた血の多さを歴史学者達はどうしても軽視する傾向にある。その最後の血を求めてカ...ハルジオン62 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ
第十章 悪ノ娘ト召使 パート9
寒いな。
吐き出す息が白くなっていることに気がついたレンは、思わずその様に考え、あてがわれた古い毛布を身体に巻きつける様に抱きしめた。ここは牢獄。黄の国の王宮の前面にそびえ立つ囚人用の牢獄塔であった。リン女王として捕えられてから、どれくらいの日数が経過したのか。景...ハルジオン61 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
レイジ