水曜日の午後は静かだ。
カレンダーには何の印もつけられていない。
家には誰もいない。
そう、自分以外には。

ケータイを開いても、画面には待ちうけが表示されているだけ。
仲の良い友達からは何の誘いもこない。
自分から誘おうにも、その友達は他の人達と遊んでいるらしかった。
そもそも、誘う勇気なんかない。

最近寝不足だから今日はゆっくり寝る予定だった。
テストや勉強という悪夢から解放されたときの達成感は凄い。
だけど何かが終わった気もする。


今日は学校は午前中だけだった。
半日だけど、貴重な休日を無駄には過ごしたくない。
だから有効に使うべきなのだ。
私としてはなるべく多くの時間を睡眠に費やしたいのだけれど。


残念ながら今日の天気は、文句なしの雨。
そう、絶好の睡眠日和。
こんな雨の日は濡れてしまうから出かけたくない。
だから寝たい。寝たい。寝たくてしょうがない。


だけど、心のどこかでは思っている。
普段、土日は部活だったり勉強だったり遊んだりで忙しい。
今日は雨、貴重な半日休み。
こんな日は家でごろごろするのもいいけれど…それじゃ、少し勿体なくない?


雨は人の気分を下げる。
だけど最近は雨なんてあまり降らないし、今日は少し小雨だ。
静かに降り続ける雨の中、街を歩くのだって、たまにはいいんじゃない?








<<A rainy birthday>>








じめじめした気分と玄関に鍵をかけ、お気に入りの傘をさして歩く。
雨が降り続くこの街は、気温が下がって少し寒い。
腕とかが少し濡れちゃうけど、そんなことも今は気にならない。

水溜りを見ると、いつも通りの私が逆さまに映っていた。
わくわくしたような、少し寂しいような。そんな気持ちが入り混じったような表情をしている。
まぁ、そうなんだよね。
だって今日は、私の誕生日なんだ。祝ってくれる人がいなかったから、ちょっと寂しいんだよね。


「いいもん。自分で祝うからさ」


誰に向けたわけでもない私の独り言も、雨に吸い込まれて地に落ちる。
自分にとって特別な日も、他人にとってはそうではなくて。
一つ年を重ねたって、それは昨日まで過ごした普通の日々と何も変わらない。

誕生日。少しだけ大人に近づく日。
一つずつ何かを知る度、同じように一つずつ何かが剥がれ落ちていくような。
失くしたものは一体なんだろう?
私が求めているものは…?
……深く考えるのはよそう。今はただ、この瞬間を楽しまないとね。



昨日まであんなに明るい色で彩られていた舞台だって、
今日は無機質な色で塗り固められていく。
天気。イベント。時間。パーツがひとつ違うだけで、見知った街は途端に姿を変える。
皆が、街を作り変えていく。



五つ目の赤信号で立ち止まる。
どうして今日は全ての信号にひっかかるのか。
嫌われるようなことはしてないと思うんだけど。
私はかに座…占いは確か、6位だったな。
関係あるのかな?微妙な順位だよね。
やっぱり運か。運なのか。

サラリーマンの男性が、赤信号にも関わらず向こうへ歩いていく。
忙しいのはわかるけど、信号無視はよくない。
ましてや社会人なんだから、ルールくらいは守ってほしい。
子供である私が守れてるのに。
自分さえよければそれでいいのだろうか?
…あ、赤だ。渡らなきゃ。


目的不明の一人旅。
行き先はきっと、カミサマが教えてくれる。
不安もストレスも嫌な事も全部投げ捨てて、今はただ歩こう。
全て気の赴くままに。



駅前の本屋に入り、意味もなく店内を回る。
レジの近くの棚に、好きな作家の特設コーナーができていた。
その中から先週発売されたばかりの新刊を手に取る。
ぱらぱらとページをめくり、内容を確認。今回もおもしろそうだ。
続いて財布の中身を確認。どうやら買っても問題なさそうだ。
千円と小銭が数枚いる値段。今月はまだ懐が温かいけど、今日はこの一冊だけにしよう。

この本屋にはしょっちゅう来るわけではないけど、ポイントカードに押されたスタンプの数は少なくない。
今日押してもらったスタンプを含めて、これで九個。
スタンプ十個か二十個で図書カードに交換だっけ。覚えてないや。



店を出て少し歩き、周りをじっと見る。
ふと目を向ければ、道の端にひっそりと立っている、いつもは気にも留めない自販機がある。
冷たい雨に濡れ続けても、めげずに営業する小さな姿。
いつもご苦労様。そんな気持ちを込めて硬貨を数枚放り込み、温かいココアを一つ買った。

服や腕などが濡れないように傘をうまく支え、ブルタブを開ける。ブルタブを開ける瞬間はなぜか好きだ。
ぷしっといい音がして、温かい湯気が出てきたのをしっかり見てから、一口飲んでみる。


「……おいしい」


先程まで熱々だった缶は雨で冷え、中のココアは丁度良い温度になっている。
甘すぎず熱すぎないココアは、寒さに震えていた私を慰めてくれる。
とてもおいしく感じるのは久しぶりに飲んだからなのか、ちょっとだけ落ち込み気味だったからなのか。
あまり深く考えないまま飲み干し、缶を自販機の横に設置されている空き缶入れにそっと入れた。



その後は文具屋でノートを買ったり、雨の街を彩る紫陽花を見に行ったり。
雨で水面が揺れる川を眺めたりして、満喫したところで家に帰ることにした。
雨の日の探検も中々おもしろくて悪くない。
今度からは、暇なときはまた街を散歩しようかな。


帰り道、住宅街を歩く途中で鞄の中の携帯電話が震える。
確認すると、友達からのメールのようだった。
そこには、私を「HAPPY BIRTHDAY」と祝うような内容が書かれていた。

やっと祝ってくれたね。
探検してて、当の本人は忘れていたわけなんだけど。
だけど、祝ってもらえるのはやっぱり嬉しくて。
そのままメールを返信するのをやめて、代わりにその友達の番号をアドレス帳から呼び出す。
規則的な機械音が数回鳴った後、電話がつながったのを確認する。



『もしもし?どうしたの?』

「メールありがとう。嬉しかったよ」

『あ、だから電話してきたのかー。メールでもよかったのに』

「こっちの気分だったし。また一つ年をとったよ!」

『ちょ、その言い方はw』



大切な友達に祝ってもらえて。
素敵な街の、新たな一面を見ることもできて。
私はやっぱり幸せだ。
だから、幸せを届けてくれた皆に、心からの『ありがとう』を届けるよ。

冷たい雨の日の、心が温かくなる出来事。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【GUMI誕】A rainy birthday

今日も明日も、普段通りが一番だ。
皆さんどうもこんにちは、ゆるりーです。
グミちゃん誕生日おめでとう!

グミちゃんの誕生日用に小説をずっと考えていたのですが、全くネタが思いつかなくて。
雨だとやることがなくて憂鬱だなと思いながら書いたらこうなりました。
どうしてこうなった。

シリアスすぎずふざけすぎずを目指しました。
ばばっと書いたので、所々雑ですねw

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閲覧数:216

投稿日:2013/06/26 19:04:46

文字数:2,709文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    シリアスすぎず、シリアルすぎず!
    ゆるは会話があんまりないやつもホント上手いと思う!
    凄いイメージがふっわふわのもっもっもに浮かび上がってくr(どういうイメージだソレ

    私も早く誕プレテキスト完成させなきゃ……!(゜Д゜;)
    んでもってゆるの誕プレも完成させなきゃ……(((ぉぃ

    2013/06/28 21:51:38

    • ゆるりー

      ゆるりー

      シリアルw
      会話を多めに入れて、グミちゃんを「独り言をずっと言ってる痛い人」にしたくはなかった←
      つまり空に浮かぶ、ふかふかもふもふぽふっな雲みたいな感じですねわかr((クッションか

      日曜日の昼までだっけ?
      …あ、忘れてた((おい!?

      2013/06/28 23:09:35

  • しるる

    しるる

    その他

    情景が完璧……
    無駄な会話はなくて……
    言い回しも直接的じゃないのがいい……
    そして、流れるようなグミちゃんの行動が見える……
    「見える!見えるぞララァ!私にも見えるぞ!」←こういうのが台無しにします

    アイテムはイベント終了後にスレで発表します

    2013/06/27 00:27:09

    • ゆるりー

      ゆるりー

      グミちゃん以外の人物を入れると、どうしてもグミちゃんが主役から外れてしまいそうだったので、人物や会話は最小限にしてみました。

      ララァに吹きましたww

      個人的にはキーホルダー(と、鍵)が気になってます。

      2013/06/27 14:36:34

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