どこにも行けない夜
一人を覆う
紫陽花の空を看取る
鬱果てる
狭間で揺れる
水面の秋桜
午後八時の錯覚
鯉が泳ぐ
疲れたに取り憑かれたまま
ゆっくりと歩いていた
金木犀で麻酔をかけて
痛いの痛いの飛んでいけ
寂しいだけの世界だとして
涙を流したとして
埋まらないとして
それでも 生きるに足ると
思わないと 生きてられなくて
深呼吸しても
上手く酸素は回らずに
強ばった心で祈っていた
星が一つも見えない日だった
どこにも行けない夜
一人の盲目
火の咲く空を憶う
延命を図る
「まだ大丈夫」を繰り返していた
もうずっと前に
「大丈夫」の意味は失われていたけれど
寂しいだけの世界だとして
涙を流したとして
埋まらないとして
それでも 生きるに足ると
思わないと 生きてられなくて
深呼吸しても
上手く酸素は回らずに
霞む目を凝らした
星が一つだけ見えた気がした
今は見えなくても
星はそこに在るんだと
思い出した日があった
どこにも行けない夜だった。
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