えるの投稿作品一覧
-
ソワソワしてるつもりなんてなかったけど、笑っちゃったのは一緒に住んでいるKAITOがお取り寄せでお菓子を注文したらしい。一体何をくれるんだろうと数日前からニヤニヤが止まらなかった。丁寧に冷蔵庫に入れてある。私もイジワルせずに見ないふりを無理矢理していた。
「本当にマスターのことが僕には大事なんです」...ホワイトデー
-
「どうしたんですか、この段ボール」
マスターは珍しく平日にお休みの日にも関わらず忙しそうだ。着てない夏服の写真を撮ったかと思ったら、残りは全て箱に詰めていく。
「引っ越しに決まってるだろ」
こちらを見ずにせっせと作業を続けながらマスターが言う。
「仕事や生活で何かありましたか?」
KAI...新生活を君と
-
「ハッピーバレンタインデー!KAITO!」
僕よりも先に起きているマスターを久しぶりに見て驚いた。今朝からマスターはエプロン姿だ。部屋にはいくつものボウルが並べられていて甘い香りが漂っていた。けれど、チョコレートだけじゃなくて苦みのあるコーヒーの香りが広がり、アーモンドプードルまで置いてある。...バレンタイン
-
「今日からKAITO君というロボットが導入されることになりました!」
老人ホームに連れてこられた僕。嬉々として通りのよい大きな声で看護師さんから紹介を受ける。
なんでも、製造元がVOCALOIDの活動分野を増やしたいとのことで記念事業らしい。他のKAITOは個人向けに出荷されているというのに...デイケアの僕
-
「今日は兄さんでいてね」
マスターが僕に念を押した言葉の意味を考える時間があった。
「いいですよ。……とはいえ、どうしましょう」
「恋人でもマスターでも無い。妹になってみたかったの」
「僕はあまり普段と変わらないんじゃないですか」
「そう?どうしよう。……抱っこ」
これでは妹というより幼児化して...いい兄さんの日
-
11月はMEIKOの誕生日だ。ちゃんと覚えているものの、どうしようか。気の効いたプレゼントが思い浮かばないが、長年一緒にいてくれるMEIKOは自分で意識しているのだろうか。
「MEIKOさん、今年の誕生日プレゼントは何がいい?光り物なんてどう」
曲にした方がいいのは分かりきってるんだけど、今年はア...一杯どうです
-
「上司にまた怒られちゃった」
「それは大変。僕と一緒にまた頑張りましょうね」
KAITOはパソコンの中にあるVOCALOIDというアプリケーション・ソフトウェアだ。
彼氏もいない、仕事もできない私の密かな楽しみとして、ニコニコ動画を見ることがあった。そこで出会った彼――KAITOを他のキャラク...イン・マイ・ルーム
-
「なんですかこれは」
KAITOは流木の入った虫籠を眺めて言い放った。
「鈴虫だよ。知らないのか」
マスターは変なペットを飼いはじめた。それを鈴虫というそうだ。子供の夏休みだけじゃなくて、珍しいカブトムシをマニアが高価でトレードする話は聞いていたが、こんな小さなよく分からないものの何がいいんだろ...世話好きなヒト
-
KAITOは一人、砂浜を歩いていた。ここは海月を駆除してないことで有名だった。それはプライベート・ビーチの持ち主の趣味で、とある伝説があるからこそ大事に透明に底まで見えるエメラルド・グリーンと美しい白浜が広がっている。
誰にも見つからないようにハラハラしていたが、夏も終わった今の季節の深夜の海は静...お姫様の声が欲しくて