タグ:魔法の鏡
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鏡に映った美しい姿
そこにいるのは だあれ?
鏡の中で優しく微笑む
天使みたいな 笑顔で
ああ、私 本当は
ああ、すごく 醜いのよ
鏡に映った可哀相なお姫様 一人ぼっち
誰からも愛されない 孤独な世界
鏡に映った可哀相なお姫様 一人ぼっち
誰からも愛されない 孤独な世界...『鏡の中のお姫様』
Sinsin13
*再会直後のお話です。
鏡の中、どことも分からない世界の中、少年は消えそうな糸を手繰って歩いていた。
この糸の先であの少女が待っている。
だから彼は、この今にも溶けてしまいそうな絆を保つために、彼女のことだけを思っていた。
<魔法の鏡の物語・アフター>
ようやくリンの隣に立てた。
しみじみ...魔法の鏡の物語・アフター
翔破
目を開けると、そこは知らない部屋だった。
「…えっ?」
喉を震わせてみると、怪訝そうな声が部屋の中に響いた。
確認のために自分の手足を眺め、あの日から少しだけ伸びた髪をさらりと動かしてみる。
そして、その青い目を何度か瞬かせ、ひとつ溜め息をついた。
一瞬夢を見ているのかとさえ思ったが、どう...魔法の鏡の物語・物語の終わり
翔破
「…違うんだ」
少年は、鏡の前で項垂れた。
「違うんだ、こんなの…僕は…」
その独白を聞く人は、いない。
「僕は…君を傷つけたかった訳じゃない…!」
<魔法の鏡の物語.11>
リンと最後に会ってから、何日になるんだろう。もしかしたらまだ数日しか経っていないのかもしれないけれど、少なくとも体感時...魔法の鏡の物語.11
翔破
「君の足はもうすぐ治るんだよ」
「えっ?」
魔法使いの少年の言葉に、少女は青い目を大きく見開いた。
当然の反応だ。それは余りにも突然の言葉だったのだから。
そして、更に続けられた言葉に彼女は息を詰まらせる。
「それだけじゃない。戦争は終わり、君のお父さんも無事に帰ってくるんだ」
告げられたそ...魔法の鏡の物語.10
翔破
「ちょっと寝不足かもね」
苦笑しながらの少年の台詞に、少女は小さく首をかしげた。恐らく、その言葉に含まれた別の事情があることに気付いていたのだろう。
けれど少女はただ従順に頷き、微笑む。
その瞳を少年への気遣いで翳らせながら、それでもいつものように、言葉にすることはしないままで。
<魔法の鏡の...魔法の鏡の物語.9
翔破
少年は、黙って鏡の前に立つ。
そしてそのまま、凍りついたように動けなくなる。
何かを思うことさえ、怖かった。
<魔法の鏡の物語.8>
鏡越しにリンと会話をしながらも、僕の心は晴れなかった。
父さんの気持ちが良く分かる。全部偶然なんだ、そうなるべくしてなったんだと思おうとしても、頭の隅の方で...魔法の鏡の物語.8
翔破
少年は考える。
鏡の向こうの少女は、果たして何者なのか。
その手を取って隣に立つことは出来るのか。
その答の為の手掛かりの一つだと思われるのは、少年に鏡を与えた―――彼の父親だった。
<魔法の鏡の物語.7>
向かいの席に座って最近の仕事がいかに面倒臭いか力説する父さんの様子をさりげなく窺い...魔法の鏡の物語.7
翔破
「レン、この鏡をお前にあげよう」
父親の言葉に促され、少年はそれを眺める。
壁際に置かれた大きな姿見。静かな存在感を持って佇むそれは、少年になんとなく好もしい感じを与えた。
「これを?…綺麗な鏡だね。アンティークみたいだ」
「まあ、それなりに由緒あるものだからね。それにこれは面白い伝説付きなんだ...魔法の鏡の物語.6
翔破
ただの鏡となった姿見の前で、私はぼんやりと座っていた。
私は最後まで別れを受け入れられなかった。
だから、言うことのできなかった言葉がある。
彼との会話の中で、「ありがとう」と「ごめんなさい」は何度も口にした。
けれど、レンが好きなんだと…本当に本当に好きなんだと伝えることは、結局一度もで...魔法の鏡の物語・ひとつのおわり
翔破
少女は独り、ベッドの上で膝を抱える。
自分が逃げただけだという自覚はあった。
―――避けられないと分かっていたはずの問題から、目を背けただけなのだと。
「分かってたことなのに…」
膝に額を押し付け、強く強く目をつぶる。
「…分かってた、はずなのに…」
優しい声は、聞こえない。
<魔法の鏡の...魔法の鏡の物語.5
翔破
「ああ、この鏡はここにあったのだったか」
少女は父親の言葉に顔を上げた。
父親が覗き込んでいたのは、少年と会話するための鏡。少女は慌てて声を上げた。
「あの、それ、なんだかとても気に入って…たまに使っているの。布を取ってしまってごめんなさい」
その言葉に、父親は驚いたような顔をした。
「いや、...魔法の鏡の物語.4
翔破
ほんのりと薄闇の中で鏡が光る。
それに気付いた少女はぱっと顔を輝かせ、不自由ながらも慣れた動きでそこまで這いずって行った。
「お帰りなさい、レン」
鏡に掛ける少女の声は最初の日よりも遥かに明るく、穏やかで、深い思いに満ちている。
それに対して返る少年の声もまた、同じ。
「ただいま、リン」
...魔法の鏡の物語.3
翔破
「さあ、お嬢さん。君の願い事は何?何でも叶えてあげるよ」
少年はおどけたように笑う。
少女は何も返すべき言葉を思い付かず、しばらくの間、呆然と彼を見つめている事しかできなかった。
<魔法の鏡の物語.2>
「魔法…使い?」
余りにも現実離れした答えに、私は何度か目をしばたたかせた。
そんな答え...魔法の鏡の物語.2
翔破
少女が少年と出会ったのは、薄暗い部屋の中だった。
<魔法の鏡の物語>
静かな世界の中で、私はぼんやりと天井を見詰める。ここには窓や電球といったものがなくて、明かりとして機能しているのは部屋の壁と壁の隙間から漏れてくる光だけだった。
私が横たわっているのは狭い部屋。ううん、違う。本当はここは、部...魔法の鏡の物語.1
翔破