黒鳳蝶の投稿作品一覧
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掠(かす)れたこの声
嘗ては 称賛受け
今なお望むは
喝采浴びた あの場所
高ラカナ輝キヲ無クシ
ココニ在ル意義ハ何処
すべてを歌に込めて
藻掻き 喘(あえ)ぎ
絶えず歌い続けたい...Ein-T-Lelia
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瞳 閉じて
思い出すのは昔(かこ)の日々
心 綴じて
大事なことを忘れてた
愛情(あい)を向けられて
嘘吐いた僕のこと
受け止めていた
揺るがない眼差し
ひとつ願いが叶うなら
「逢いたい」...existence
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真珠の木への願い言(ごと)
「決して明日(あす)が来ぬように」
終わらぬ夜を熱願(ねつがん)し
ひとりぼっちの祭事の日々を
三白眼の道化師が
手招き誘(いざな)う蠱惑(こわく)の世界で
あっちの蜘蛛の巣
作った犯人→→→働き蜂で
蜥蜴(とかげ)が捕まり
恋する蝙蝠(こうもり)←←←涙を浮かべて...蜜蟲の夜
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炎の最中に想う
“愛しい君よ生きていて”
呼ぶ名の言葉がひとつ
叫びとなり零れた
痛みと熱さに沈んで
朧気になる意識を
掴んで離さないように
君を抱き締めたい
私と君だけが住む家に
燃え盛る緋(ひ)を見た...緋色閃々
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頬に 触れるものは
はらり と舞う桜(はな)
星が 煌めいても
瞳(め)には 映らない
永き日々を経て満ちし今宵の月も
叢雲(むらくも)ただひとつで隠れんぼする
君だけを慕いし 玉響(たまゆら)の過去(とき)が揺らめいては
枝垂れの枝の下(もと) 佇んでいる
(ひとしずく)
哀しみを湛えてひとり...落涙の桜
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ふと紡がれた音楽。
滑(なめ)らかな言葉。
昔、昔に聴いた、愛おしくて切ない、──。
透明な、水のような音が、
耳朶(じだ)を伝い、こころを侵して、
染みついた韻律(いんりつ)が消えない。
忘れられない。
鼓膜震わせる音楽。
解(かい)せない言葉。
ひとつ、ひとつの歌詞(うた)を、愛せなかっ...唄心
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視線がひとり、
歩きまわり
交わらない直線
不毛さの果ての先で
彼の眸(め)にぶつかった
瞳孔(ひとみ)。
釘付けにされて
心臓(こころ)。
鐘が鳴る
閉じた世界の中に...響恋
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橙(オレンジ)の空 紫の雲
嗤う南瓜の口は月
吐き出された蝙蝠(こうもり)が舞い
始まりを暮れた宵の黒
闇色に光るコーヒーと
甘くて苦いチョコレート
磁器のカップとお皿の中に
君の特別、注いで頂戴
trick or treat.
はしゃぐ声...夢一夜
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──朝、目が覚めたら何をする?
「アイスを食べる!」
†
僕の朝の日課は、歯磨きとか着替えなんかの身支度のあと、愛しのアイスを食べること。
爽やかな早朝の時刻に、冷たいアイスの甘味を堪能する。僕にとっての、至福の時間のひとつなんだ。
え? 他にどんな時に至福を感じるのかって?
食後に...虫歯でアイス融解
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花氷の中に眠る
美しさを留(とど)めるため
刻(じかん)をとめた僕の恋人
彼女の最期の姿が
目に焼き付いて離れない
至高はそこに存在していた
誰も描(えが)けない
筆を、口を尽くしても
何もかもすべて
あの時の彼女が持っている...花氷玲瓏
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人喰う鬼が棲む山で
巫女がひとり詩(うた)詠い
眠れる鬼の芽を醒ます
声の中交わる舞
踊るのは仮面の
巫女は魅せられ
ひと時女に孵る
廻る 廻る
舞の佳境で
廻れ 廻れ...妖舞
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この世界にある
総ては言葉だけ
視界の果てまで
溢れてる
人の声が浮かぶ
蒼空(そうくう)の下(もと)
はしゃぎ笑う友情たち
秘言(ひめごと)
恋する者たちが交わす
睦言...詩姫
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翌朝早く、彼女がうちにやって来た。走ってきたらしく、息が切れている。椅子に座らせ、冷蔵庫にあったパック入りのアップルティーをコップに入れて渡す。コップに水滴が付き始め、彼女の呼吸が整い始めた処で、彼女の噤(つぐ)みの口が開いた。
「あのね、わたし、……迷惑だった?」
彼女は目を伏せたまま話をして...巡音の片恋 4
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「ルキ、ミクを泣かせたというのは本当ですか?」
家に帰ってきたルカ姉が、俺を見るなりそう聞いてきた。どうやらあれを誰かに見られていたらしい。あそこは誰でも利用可能で、かつ、常に誰かがいるような場所だ。誰が見ていたとしてもおかしくはない。
「あー、泣かしたっつーか泣かれたっつーか……」
「泣いたのは...巡音の片恋 3
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あの日以来、彼女は気に入った曲が見つかる度に俺の処に来ては、彼女だけの指定席に座り、曲を聴かせてくれるようになった。彼女のオススメは、必ずしも俺の好みに当てはまるわけではなかったが、ひとつの曲に対して意見を云い合うことは、純粋に楽しかった。
彼女のオススメが俺の好きな曲として増えてきた頃、またあ...巡音の片恋 2
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「聞いてー、ルキ君! ルカさんのね、新曲が出たんだよー!!」
テンション高く、まっすぐ俺の処にやってくるから何かと思えば。
「ふーん」
また、姉貴の話。
「すぐにダウンロードしちゃったー。すっごくいい曲だから、ルキ君も聴いてー」
「……めんどい」
「えー何でー!? すっごく恰好良くて、素敵なんだ...巡音の片恋 1
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玻璃に刺されし眼球を、
喰らう女に四肢は無し。
手ばかり独り、蠢き這う。
片方(かたへ)に侍れり愛(かな)しき少女の、
隻眼(せきがん)なるいと甲斐甲斐し。
少女が利き眼の終わりに見しは、
笑みの姿の銀の匙。
訪う来客。然(さ)の幹登り、
頬に触れたる女の指先。
紅(べに)に浮かべし笑み、...眼球喰らいの四肢なき女
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目を開けて、初めて目にしたもの。
それは君で、私だった。
†
眸に映る、私の首に回された一対の手。それは私とは反対側の「向こう」から伸ばされているように見える。
どこまでも白い、白い手。
以前にも、こんな白い手を見たことがあったような気がする。その時、人形のようだと思った事を覚え...ひとり心中
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僕の目の前の鏡の残像
僕と同じ黄色い髪の
二人きりのこの部屋で
忘れ得ない声を聞く
私を包む白を解(ほど)いて
愛しい君の眼前へ
微笑み私の名を呼んで
君は私を受け入れた
冷たい指先
そっと触れ合う...鳳胎少女と少年凰
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森に覆われ眠る
木漏れ日の眩しさと
睡蓮の白い手に
呼び起こされて
目覚めてもなお残る
甘く気怠い夢が
今を蝕むほどに
ただただ欲しい
しずむ
夜に...浮かぶ水と沈む夜に
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目醒めた紅(こう)
恋以前の桃
手にした翠(すい)
詞(し)に出来ない碧(へき)
初めて知った感情
心を持たない
私が朱(しゅ)を浴び
この世界に紫(し)の色が生まれた日
縛めの銀が
鼓動を貫き...色彩輪廻恋詠
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首吊りの丘で
首を吊りました
私の瞳は
開かれたまま
この丘をただ
見つめています
少年が一人
やってきました
彼は私を見つけて叫び
慌てて丘を...躯丘