「食らい尽くせ、この世の全て」


食べることは私の全て。
全てを失くした私に残された、唯一の希望。

この世の全ての生き物は、必ず何かを犠牲にして生きていく。
私たち人間もその一つ。私たち人間は食べることで栄養を得る。
残してしまっては、私たちの力になってくれる食物たちに申し訳ない。
だから私は父の教えを守り、どんな料理も残さず食べる。

そのせいなのか何なのか、私は有名になった。
あまりにもいろんな料理を食べ続けた結果がこれだった。
世間では「この世の美食を極めた」とか言われてる。
私はただ、残さず食べただけなんだけどな…

そういえば、今年に入って何人目かな、コックがこの間辞めちゃったのよ。
なんで皆辞めていくのかしらねぇ？そんなに仕事きつかった？
私、何か酷いことしてるかな？だったら申し訳ないけど…



席に座り、時間を待つ。
今日のメニューはなんだろう。
先ほどからいい匂いがする。
きっと、ご飯が来るのにそう時間はかからないだろう。
あぁ、今からとても楽しみだ。








<<【七つの大罪】バニカさんと本日の宴【二次創作】>>








「ようこそ、我が館へ」


呼び鈴が鳴ったため玄関に出ると、そこには客がいた。
私はあんまり客を招かないが、今回のような客になると話は別だ。
というのも、今日の客は豪華だ。七人もいるのだ。
王女、召使、公爵、裁判長、侯爵の妻、組織の幹部、仕立屋娘。
うん。面子がいろいろとおかしいけど気にしない。

それはともかく、七人を広間に案内する。
大広間より小さいけど、このメンバーならこれでいいだろう。


「さっそくだけど、飲み物もらっていいかな？」
「ふっふっふ、ちゃんと用意してあるわよ」
「おぉ、さすがバニカ」
「バニカのことだから、今回もすごいんだろうね」
「私未成年だから無理だわー」
「僕も遠慮ー」


いいぞもっと褒めろ。


「さぁ今日は何が出るかな？」
「それはもちろん、とびっきりいいのがあるわよ」
「おぉ!!ということは、バニカが選んだとびっきり美味しい―――」

「えぇ。私イチオシのとびっきり美味しい……



　―――シャンメリーがあるわよ」


『『ワインとかじゃないんかい!?』』



七人全員によるツッコミが帰ってきた。
サテリアジスやリリアンヌはともかく、全員のツッコミってそう聞けるものじゃないわよね。


「仕方ないじゃない、昨日辞めたコックがワイン1325本を全部持ち出したのに気づいたのさっきなんだから」
「1325本もあったの!?っていうかそれ全部持ってったとかコックすげえなオイ!!」
「残ってたのがシャンメリーだけだったのよ…
　今酒屋全部閉まってるから、買いにも行けない。
　でもこれメッチャクチャ美味しいから勘弁してね」


今度あのコックに会ったら美味しく調理してやるわ。


「まぁそれはともかく、誰が開けるの？」
「よしじゃんけんで決めよう」
『『さいしょはグー、じゃんけんぽんッ!!』』
『『あいこでしょ、あいこでしょ、あいこでしょ…』』


何この光景、前に見たことあるような。


「おかしいわ、なかなか終わらないわね」
「なんで皆チョキしか出さねえんだよ!!誰かがグーを出せば済む話だろ!?」
『『……そうか、確かに!!』』
「気づかなかったの!?お前らどんだけ馬鹿なんだよ!?」
「ヴェノさんよ、今度は皆がグーを出し続けているぞ」
「仕方ねえ…行くぞガレリアン!!」
『『あいこでしょ!!』』

(皆がグー、サテリアジスがパー、ガレリアンがチョキ)

「何でお前はこのタイミングでチョキを出すんだ!?結局終わらねえじゃねえか!!」
『『あいこでしょ!!』』
(皆がチョキ、サテリアジスがグー、ガレリアンがパー)
「ガレリアン、お前やっぱり馬鹿なのか!?」


ガレリアンがぶっとばされた。
そして結果的にサテリアジスが一人勝ち。


「開けるぞー」


ポンッ。
いい音がして開いたシャンメリーの蓋は、壁に当たった。
そして、再び瓶に戻ってきた。


「…まぁこんなこともあるだろ。改めて、開けるぞー」


ポンッ、スコンッ。
蓋は再び戻ってきた。


「……なんでやねん」
「ガレリアン、代わりに開けてくれ」
「かまわんぞ」


結果は同じでした。何この瓶。


「あ、私栓抜き(っていうかコルク抜き)持ってるよー」
「なんで今リリアンヌが持ってるのかは知らないけど、とりあえず開きそうだね」
「瓶貸してー……えいっ」


ポキッっていう音がして、栓抜きが折れた。


「……それ、リリアンヌが持ってたやつだから凄く高そう」
「大丈夫よ。これ、某百円ショップで買ったやつだから」
『『王女様からありえないコメントが出てきたよ!?』』
「じゃあ角度変えてやってみよう」
「えいっ」


ガレリアンに当たって跳ね返って戻ってきた。
何回もやったけど、ガレリアンに跳ね返り戻ってきた。


「きーさーまーらー……」
「わ、わざとじゃないよ!?」
「本当に偶然なんだって!!」
「偶然集中攻撃になっちゃったんだって!!」


うん、誰がどう見てもあれは偶然だったと思うよ？(棒


「よし、何か投げつけてみる？」
「硝酸銀を投げつけよう」
「いや私のgiftでしょ」
「私のアラバイダ９ミリ・サブマシンガンで撃ってみよう」
「チョークを投げつけてみたら？」
「それは俺の役じゃない」
「いや、ここはガレリアンさんを投げつけよう」
『『賛成』』
「酷いよ!!いつものことだけどさ!!」
「つべこべ言わずに飛んでけヘタレアン!!」


というわけで、サテリアジスがガレリアンを投げつけてみるが無理だった。


「うーん……じゃあ、アレンを投げつけてみましょうか」
「リリアンヌ!?酷いよ、なんで僕なの!?」
「アレンが悪いのよ!!私あんなに心配したのに!!私が好きだったアレンはいつのまにかあんなんになってるし!!」
「あんなんって何!?」
「うるさい!!私に口答えしようものなら…わかってるわよね？」
「うわああ悪ノ娘が降臨し…ぎゃああ痛い痛いやめてええええ!!」


アレンが投げつけられた。
また、瓶をアレンとガレリアンに投げつけたりしてみたけど無理でした。


「それなら最終手段を使いましょう!!バニカさん、あの蓋を食べてください!!」
「了解!!……ん、おいしくなさそうだからいらない」
「うおおおい!!」


えー、だっておいしくないんだもーん。


「もう、ガレリアンの馬鹿!!そんなんだからいつまで経ってもヘタレなのよ!!」
「ガレリアンに大根ぶっかけてやるわ!!」
「ガレリアンを私の鋏とアンカライトナイフで切り刻んであげる!!
　説明しよう!!アンカライトナイフとは狩猟、登山、サバイバルで使える最高峰のナイフです!!
　切れ味と操作性の高さは、フィールドでの過酷な要求を確実に満たしてくれるそうです!!
　別名は山人刀!!」
「giftと水酸化ナトリウムをガレリアンに投げつけてあげる!!」
「悪徳裁判官をどうやって調理してあげようかな」
「お前ら、ガレリアンにやつあたりするんじゃねえよ。いくらこいつが浮気野朗だからって」
「フォローになってませんよサテリアジスさん。いくら本当のことだからって」
「何故私の悪口!?あとツッコミ役の二人も酷すぎるよ!?」


このやり取りもいつものことよね、皆冗談言ってるけど(ただしツッコミ役二人以外)。
ちなみに、新しいシャンメリーを開けました。大変美味しかったです、まる