「あいかわらず、面白いね！　キモいところが、“きも”だね」
「あのねえ。そういうオヤジ・ギャグ言うと、もてないのよ」
テッドさんのしゃれに、ぱみゅちゃんは口をとがらせていう。

サンセット・ギャラリー「ゆうひ」で開かれている、クリエイターのぱみゅちゃんの個展。
いろんな作品を前に、ふらりとやってきた絵本作家のテッドさんは、楽しそうだ。

ニョキッと伸びた「足」の形を使って、
イラストや、グッズ、布の作品などいろんなアートを展示している。
“不思議なアートをつくる”造形作家として、ぱみゅちゃんは今、売り出し中なのだ。


●ギャラリーにお客さんが

「お邪魔します」

女の子の声に、テッドさん、ぱみゅちゃん、そして店長のモモちゃんは振り向いた。
ギャラリーの入口から、２人連れのお客さんが入ってきた。
女の子と、少し年上の青年だ。

「葉丸美優さんの展示会は、ここですか？」
「あ！センゴクちゃん！来てくれたの？」
ぱみゅちゃんは、笑顔で出むかえる。

「わぁ！スゴイなあ。アートしてるなあ、ぱみゅちゃん」
女の子は目を輝かせて、いろんな作品を見る。
青年も面白そうに、アートに見入っている。

ひとしきりギャラリーの中を見て回った後、２人はモモちゃんのすすめで、テーブルに座った。

「紹介しますネ」
お茶を出しながら、ぱみゅちゃんは２人を、テッドさんたちに会わせた。

「こちら、千石ノブ子ちゃん。“鑑定団”の店員さんです」
「はじめまして、千石です。こちらは、コヨミです」
「どうも、はじめまして。千石のいとこの、佐留田暦（さるた・こよみ）と申します」


●キモいお店によく似合う！

「あぁ。あのリサイクルショップの“鑑定団”の方ですか」
テッドさんはうなずいた。

「鑑定団？」
「うん、お宝グッズとか、面白いモノを売ってるとこですよね」
「あ、知っててくれました？アリガトウございます」
センゴクちゃんと、コヨミさんは嬉しそうに言う。

「僕もたまにお邪魔してます。ミクちゃんの“はっちゅーね”を、売場でよく見かけました」
テッドさんは言う。
「ええ、はっちゅーねはよく扱わしてもらってます」
コヨミさんは、会釈する。

「けっこうキモいグッズが多いよね。妖怪モノとか、モノノケのフィギュアとか」
ぱみゅちゃんは言う。
「ええ。でも、ここの展示の作品、楽しいですね」
コヨミさんは、まわりを見渡した。
「“足”のオブジェですかぁ。ウチの店でも扱いたいな」

「あの、鑑定団さんでは、新製品は扱わないんですか？」
モモちゃんが２人に聞いた。
「いいえ、新製品もやっていますよ」
コヨミさんが答えた。
「じゃ、ぱみゅちゃんの作品が商品になったら、売場においてもらうと楽しいかもね」
彼女の言葉に、みんなはうなずいた。


●イジられて、ナンボ...

ぱみゅちゃんは言った。
「テッドさんの作品も、鑑定団のお店にマッチしそう。テッドさんは、絵本作家なんですよ」
「へえ。すごいなあ。私、まだ拝見したことないけど、きっと、オドロオドロしくて楽しいんだろうなあ」
センゴクちゃんは、目を輝かせた。

「うん、それは保証する」
ぱみゅちゃんは言う。
「そうね。鋭い“カン”ですね。テッドさん、身なりは作品を表す、かもネ」
と、モモちゃん。

ぱみゅちゃんとモモちゃん、センゴクちゃんは、なぜか話がはずんでいる。
「けっこうね、キモいんだよ」
「ふうん」
「可愛い絵本なんですけど、どこかキモカワなのよ」

少しはなれたところで、それを見ている２人の男の人。
気の毒そうにしているコヨミさんに、テッドさんは明るく言った。

「あ、気にしないで下さい。“男は黙って”...
　イジらレてナンボの世界ですから。クリエイターは」　(；_；ヘ)