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『霧笛の鳴く夜に』
第一章:消えた船
2023年12月24日、クリスマスイブの夜。東京湾のクルーズ船「スターライト号」が突然消息を絶った。
船には、クリスマスパーティーに参加するため、著名な実業家や芸能人、政界関係者など、約200人の乗客が乗っていた。
翌朝、海上保安庁の巡視船によって、スターライト...霧笛の鳴く夜に
岩渕智哉
『蛍火のキャンパス』
【登場人物】
〇佐藤 望(さとう のぞみ):
16歳、女子高生。明るく前向きな性格で、周囲を引っ張っていくムードメーカー。
〇田中 葵(たなか あおい):
16歳、女子高生。望の親友。クールでミステリアスな雰囲気を持つが、心根は優しい。
〇高橋 陽太(たかはし ようた):
...蛍火のキャンパス
岩渕智哉
新宿駅西口地下道②
泰三は、モーニングコーヒーを飲みながら、少女と青年のことを考えていた。
少女は、一体どんな悩みを抱えているのだろうか?青年は、少女にどんな言葉をかけたのだろうか?
泰三は、少女と青年のことが気になって仕方がなかった。
コーヒーを飲み終えた泰三は、喫茶店を出た。そして、再び新宿駅西...新宿駅西口地下道②
岩渕智哉
新宿駅西口地下道
64歳になった元会社員の佐藤泰三は、今日も新宿駅西口地下道を歩いていた。定年退職してから5年、泰三は毎日のようにこの地下道を歩き、行きつけの喫茶店でモーニングコーヒーを飲むのが日課だった。
地下道はいつも人でごった返している。サラリーマン、学生、観光客、様々な人々が行き交い、泰三は...新宿駅西口地下道
岩渕智哉
春の花が咲く季節。
新しい恋の物語が花を咲かせようとしていました。
ルーナルチカ恋愛学園。
ここは恋を学ぶための学園です。
校庭や校内は、教材にするための様々な学名の花が咲き乱れ、今日もその花を見ながら先生と生徒達が、その花にまつわる恋の物語を勉強しながら花の庭園をゆっくりと見て回っています。
「こ...制服のドレスを着て
sari
山紫水明 小さな村
それはそれはたいそう美しい娘が居た
幼き頃、八卦見から
「この娘は恋をすると、きっと災いをもたらす」
そう言われた
親からは 「恋を決してするな」
そう固く教えられた
十七になる頃、娘は一人の若者に恋をした。
やがて、互いに惹かれ合い
二人は恋に落ちる...短い冬の恋 (短編昔話)
rai。
短編小説『モブの葛藤』
はじめまして、私はとある小説のモブです。
私たちモブは、何かあったときの野次馬だったり
その場の喧騒を表すような時に使われますが
やっぱりモブだって目立ちたいです。
ですが目立っちゃうとモブじゃ無くなってしまうし、
だからと言って味気ない生活を送るのも如何なものかと思われ.....短編小説『モブの葛藤』
愛羅
――ルビー国 路地裏
がつ、と響く鈍い感覚。
それと同時に、錐もみしながら飛んでいく目の前の男。
拳を振り抜いた勢いで、そのまま視線は左後方へ移す。
すでにそこには、鉄パイプを振りかぶった奴が一人。
だが、振りかぶっただけだ。
そこから振り下ろすのに、ざっくりコンマ5秒。それくらいの時間...短編 クフェア編その二~握った拳に宿ったもの~
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
大窓から覗く星明かり。
脆木で囲まれ、白布がかけられただけの簡易ベッド。その他には何もなく、背後には闇の中にぼぅっと私の影が映し出される。
民にとっては、「巫女の社(やしろ)」と崇められる聖域。国の内情を知る者からは、「囚われ姫の牢獄」と揶揄されるこの場所。
そんな居場所で、
膝を抱え、外の世界を見...イリーナ短編「巫女の名のもとに」
咲良ましろ
カチカチと歯車がかみ合う音が響いていた。
その音に合わせるように、一つ一つネジを巻いていく。
穴にゆっくりビスを当て、精密ドライバーで一つ一つ捻じ込んでいく。
キリキリという音が鳴って、また一つパーツが組み込まれる。
正直、この音は苦手だ。なんだか、背中がぞわぞわっというするというか、そんな...【短編小説】アウルム編~丑三つ時の夜想曲~
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
あの日から数日が過ぎ、文化祭も無事終了した。
生徒会劇の脚本も無事書きあがり、劇の方も無事終了し、元の日常に戻った。
いや、戻ったように見えただけだった。
「……はぁ」
またか、と言わんばかりに作之助のげた箱からあふれ出る手紙の数々。そのほとんどが、嫌がらせのたぐいのものだった。
その原因...「A sunny day after tears」3
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
窓の向こう側から、いつも通りのさんさんとした太陽が注ぎ込んでくる。
カーテン越しとはいえ、相変わらずの強い日差しだ。慣れていなければあっという間に参ってしまうくらいの、強い日差し。
でも、僕はこの太陽の日差しが好きだ。
どことなく、生きているって感じがするから。
ふと、本当に何となく、立て...短編 クフェア編~駆け抜けてどこまでも~
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
「くりすーたるに、う・つ・る、私(わたし)の、はぁと~♪」
ふふーんと、歌を歌いながら足元を覗く。
校舎屋上、地上100メートル。
うんうん、この高さからだとさすがに地面は見えないかぁ。氷の結晶とかキラキラしてて綺麗だと思ったんだけど見えないや、残念。
今度は空を仰ぐ。
目に映るは青空で、広げた両手...【レウリィ短編小説】「日常と非日常の始まり」
咲良ましろ
朝を迎え、いつも通り身支度をし、いつも通り朝食を済ませ、いつも通り学校へ向かう。
学校へ行けば、普段通りに授業を受け、友人と駄弁り、生徒会室で生徒会の業務を行い、たまにサボっては叱られては、気にせずバカ騒ぎをする。
いつも通りのルーティーン。いつも通りの日常。
そのはずだった。
「名取が来て...「A sunny day after tears」2
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
ふわっと窓の向こうから香った風が、ぼうっとしていた頬を撫でた。ほんの少し、眠りにつきかけていた思考回路が、その一瞬だけはっきりと目覚める。
思わず腕時計と、黒板の上にかけられている古めかしい時計を交互に確認。
時刻は午後4時を回ったくらい。
窓の向こうでは、新チームとなった野球部が監督の張り上...「A sunny day after tears」1
結野舞弥@一般社会人系Vtuber
ピンク色の雨、ピンク色の絨毯、あの人の髪に媚びる一欠片ですら煩わしい淡い色
嫌い嫌い嫌い
花見の時期ですねなんて、朗らかな声で流れるテレビなんて切ってしまえ
こんな時期来なくてよかった
こんな季節来なくてよかった
あの人が卒業する日なんて、来なくてよかった
「また会おうな」
お世辞をどうもありがとう...ピンク色の
琳堂
街灯が減り、辺りが暗くなった。
私が生まれた時から決まっている。
自分は歩み続けなくてはならない、手がかりになるのは先に見える街灯の光だけである。
歩み続ける理由はわからない、ただ、なすがままに足を踏み出し、次の街灯へ向かう。
楽だった、何も考える必要が無かったのだ。
何も考えずに、次、次、次…
あ...未来は私の手を引いた
ソラトクモ
泣くな。
和葉、泣くんじゃない。
お前は強い子だ。
俺がいなくても、生きていける。
だから、みんなの事を頼んだ。
お前なら、みんなをまとめれるはずだ。
俺はわかる。
お前が初めてここに来た時から、感づいていた。
お前は、俺より強くなれる。
だから、お前に、後は、任せた。...月光とともに散る
takahiko189
「母の日か……」
俺はふとそう呟いた。
懐かしい言葉だ。
母がいなくなってもう何年経ったのだろう。
……。
思い出せない。
いや、正確に言えば思い出したくない。
思い出そうとすると頭が痛くなる。
痛いのは嫌い。
だから、結局思い出すのをやめる。...記憶の霞
takahiko189
初めてあの花を見たとき僕は、その花に心を惹かれた。
その花は気弱そうで、いつ自然消滅してもおかしくないように思えた。
その花言葉は地域によって様々だ。
「幻」「恋心」「自滅」「孤独」「病」「一途」「絶望」「後悔」など。
他にも花言葉は沢山ある。
しかし、地域が変わっても変わらない花言葉があ...高嶺の花
takahiko189
『裕也さんへ。
私も裕也さんの事が好きでした。
初めての恋の終わりも、裕也さんでした。
お姉ちゃんはこの事は知りません。
お姉ちゃんは知らないほうが幸せだと思います
私からのお願いです。
渡したチョコレートは全て裕也さんへの私の思いです。
だから全て捨ててください。
お姉ちゃんが大好...ほろ苦くも甘い終わり方
takahiko189
クーラーが発売され、暫くした頃エアコンが発売された。
貧乏な俺の家は、そんな高価な物買うお金なんてない。家族3人で生活をするのがやっとだ。
でも、ある日、遅い時間に帰って来て朗報だ、と呟く。
「くじ引きでエアコンが当たった」
俺は、本当かよ、と父を疑った。
しかし、数日後ゴツイ業者の2人が、狭い家に...古びたエアコンと母【短編小説(暇つぶしにどうぞ)】
SaToShi
玩具店の店主、カイくんとその周りで起こる日々の出来事を書いている、このお話。
何となく日常系というか、ゆるふわっぽい感じで書かせていただいてます。
読んでくださっている方、どうも有難うございます。
タイトルにあります様に、主人公はカイくんのはずなのですが、あまり登場頻度は高くないのも特徴です(笑)
...玩具屋カイくんの販売日誌(200) 登場人物の紹介です。
tamaonion
ザーザーと音を立てて雨が降り続いている。
空は灰色で、太陽はどこにも見当たらない…
永遠に続くコンクリートの大地、降り続ける雨
少し寒くて、冷たい世界。
「今日モ世界各地デ、ドシャ降リノ雨ガ降ッテイマス」
雨でびしょ濡れのテレビから、いつものようにそんな声がながれる。
そして少年もいつものように応え...晴れと雨のハザマ 【小説】
ねこじた
僕は棺桶に横たわる親友に花を供えた。たくさんの花に包まれた親友は病気で苦しんでいたとは思えないほど、穏やかな顔をして横たわっている。
不思議と涙は出ないでいた。悲しいはずなのに。
思えば、こいつからは励ましてもらってばかりいた気がする。元来女運がない僕が騙されていたことが発覚した時、こいつは病室...遺された想い
紅孔雀
ニコビレの作業室で、あいかわらず、長電話を続けているデフォ子さん。
その横で、3人が人形を囲んで座っている。
「この、しゃべる不思議な人形の、“謎”が解けるの?」
ミクちゃんが、レイムさんに聞く。
「そうですね。あくまでも想像ですけどね」
レイムさんはそう言って、部屋の中を見回した。
「この部屋。前...玩具屋カイくんの販売日誌(166) “はっちゅーね”の不思議 (その3)
tamaonion
「ぷっ。あ、あっはっはあ」
「こいつ、いい加減にしろよ」
「ご、ごめん…。でもさ、あっはっはっは」
顔をまっ赤にして、怒っているレン君のそばで、リンちゃんは指をさして、おなかを抱えて笑っている。
レン君の頭の上に、針金でとり付けた天使の輪が、プルプルと震えている。
ここは、ゆくりさんのお店、雑貨店「...玩具屋カイくんの販売日誌(162) “はっちゅーね”との、ひととき (その2)
tamaonion
デフォ子さんが入居する施設、「ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジ」、通称・ニコビレ。
ミクさんは、彼女と2人で作っている人形の“はっちゅーね”の打ち合わせに、ここに来た。
ティールームでお茶を飲んだあと、2人はニコビレの「作業室」に向かった。
デフォ子さんが部屋の引き戸を開けると、室内には先客がいた。...玩具屋カイくんの販売日誌(161) “はっちゅーね”との、ひととき
tamaonion
雑貨店「ゆっくり」の店の前にやってきた、リンちゃんとモモちゃん。
2人は、店のドアを開けて、中に入ってみた。
雑貨に古書マンガ、アニメのDVD、キャラクター雑貨などが、いろいろと置いてある。
「いらっしゃいませ~」
店の奥から、のんびりした声が聞こえた。でも誰も出てこない。
「ゴメン、ちょっと手が離...玩具屋カイくんの販売日誌(160) デビちゃん、売り出し作戦開始 ~その5。
tamaonion
猫は奇跡を信じた。
生物のほとんどが死んで自分だけが生きているこの状況の中でも、きっと美味しいキャットフードがあることを。
だから猫は歩いた。
倒れた電柱を飛び越え、干からびた人間だったものを乗り越え、電車は来ないとわかっている踏み切りを、でもそわそわと辺りを見渡して耳を澄ませてから早足で渡...猫の奇跡
逢河奏