【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#11】

投稿日:2009/09/18 21:06:36 | 文字数:3,871文字 | 閲覧数:229 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、無意識にしぐれを探すの巻。

しかしながら、このめいこさん、しぐれのことが大好きである。

この紅猫編11話をメールで送ったとき、ぷけさんの反応がいつになくテンションの
高い反応だったので、によによしたつんばるです(笑
ぷけさんのテンション上がった理由が、わかる人にはわかったのではないかと。
こういう些細なところにも反応してくれるぷけさんがとても愛いです(!?

青犬編では、「彼女」が再登場しているようなので、こちらも是非!

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かいと視点の【青犬編】はたすけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#11】



 次の日になっても、その次の日になっても、しぐれは姿を現さなかった。もとは野良だというし、なにより賢い子なので心配はないかとも思ったが、やはり探さないと落ち着かなかった。
 ビラでもつくるか、と思って筆をとったが、結局用意した紙は白紙のまま机に放ってある。よく考えたらしぐれは「うちで飼っている」というより、「一緒に生活している」と言った方がただしかった。それは、彼女がそのくらい生活感のある犬だったということを表していると同時に、彼女が独立心旺盛な犬であったということも示している。私は、飼い犬がしばしばそうするように、しぐれからごはんや散歩をねだられた覚えはない。きっと、しぐれが懐いていた使用人たちも、何かをねだられたことなんてないだろう。彼女のごはんや寝床は全部、こちらが良かれと思って用意していただけなのだ。もししぐれにごはんを与えなかったとしても、彼女は何らかの方法で餌を調達してきただろう、という想像も容易にできる。
 しぐれはきっと、彼女なりの意図をもって屋敷を出たのだろうと、そう納得した。
 けれども、結局しぐれがいなくなってからの日数を数えることは止められず、屋敷の庭の茂みや床下のすきまなんかを覗いてしまう日々は続いていた。

 しぐれがいなくなってから4日目の今日、私は、お付きの若い女中と一緒に、久々にるかさんの家への道をゆっくりと歩いていた。るかさんから借りたままの本を返しに行くのだ。それだけなら使いの者を送ればよかろうと母には言われたが、感想を伝えたいのだと言うと、意外や父が味方についた。文学に対しては父の理解があったようだ。もしかしたら、ここのところ大人しくしている私への、ささやかな慰めのつもりなのかもしれなかった。
「あの仔犬……まだ見つからないらしいですね」
 きっと、道行く野良犬や野良猫、果ては飼い犬の類までにも目を止めて歩いている私の様子を見てのことだろう。女中は、すこし遠慮がちな、すこし戸惑ったような声だった。
 しぐれがいなくなった、と言うと、使用人たちの中にも、すくなからず残念がる者がいた。野良仕事の合間に探しに行ってきたという者や、暇(いとま)の日にしぐれを探しに出掛けると言いだす使用人までいる始末だ。絵のうまい者などは、やはりビラをつくろうとしていたようだが、私はそれを止めた。
 もともと私が無理やり連れてきてしまったのだし、適応力が高かったとはいえ、彼女なりの不平不満はあっただろう。もしそうなら――しぐれが不満とともに屋敷から出て行ったとすれば――敢えて連れ戻す方が酷というものだろう。帰りたくないのに、連れ帰られてしまった経験のある身としては、たとえ相手が動物であろうと、そんなひどいことはしたくない、と、思う――と、そこまでは言わなかったけれど。でも、そう言って聞かせると、使用人たちはあからさまな捜索は行わなくなった。
 みんなしぐれが大好きなのだ。けれど、愛情の押し売りなんてできないことも、みんなわかっているのだろう。
「あの子はかしこい子よ。心配しなくてもうまくやっていくわ」
「その割に、お嬢様はとても心配しているように見えます」
「そうかしら」
 ええ、と、はっきりと肯定の意を示した女中に、私は苦笑を返した。そこまで私の態度はわかりやすかっただろうか。
「使用人たちの中には、お嬢様が落ち込んでいらっしゃるのを、なんとか元気づけようとしてしぐれを探している者もいるのですよ?」
 それは初耳だった。しぐれと同じように、私も彼らに好かれていたらしい。
「お嬢様、出すぎていると思われるかもしれませんが、お嬢様はすこしものわかりがよすぎます。ご結婚のことにしろ、今回の謹慎のことにしろ、わたくしには、旦那様も奥様も、お嬢様に厳しすぎるように思えてなりません」
 うっかりと、真剣なまなざしで言う女中の顔をまじまじと見てしまった。歳の頃は、私とそう変わらないか、私よりも幼い気がする。
 たしかに、世の中の同年代にとっては、解せない感覚かもしれない。でも、今までずっと抑圧されて生きてきた私には、「ものわかりのよい、めいこお嬢様」である方が、生きやすかったのだ。
「……ありがとう、あなたがそう言ってくれるだけでも嬉しいわ」
 不思議なものだ。肉親のそれよりも、彼らの気遣いの方が濃やかに感じてしまう。嬉しさとむなしさが胸をかすめた。歩幅をいくらか大きめに取って、彼女の先を歩く。
 いま私は、自分がどんな表情をしているか、わからない。

「ごめんください、咲音です」
 るかさんの家に着いていつものように声をかける。いつものように使いの女の子が顔を出したが、使いの女の子は、至極申し訳なさそうな顔でこちらを見た。
「すみません、奥様はただいま留守にしております」
「あら、それは失礼。お仕事か何かかしら」
「はい、旦那様のお付き合いで、少々遠方へと」
 聞けば、もう5日も前に出発したとか。そういえば、ここ最近ずっと屋敷に籠もりっぱなしで、るかさんに便りも聞かせていなかった。るかさんは、家の予定などは、必要以上のことを話さない。知らなくても無理はないが、間の悪いこともあるものだ、と、心の中だけで溜め息をついた。
 るかさんの家は、貿易・流通で生計を立てている。家が運営している会社は今の旦那様の前の前の代から続いているそうだ。そんな大家の旦那様が、妻を伴ってわざわざ遠方まで出向くということは、よほど大きな商談なのだろう。尤も、るかさんは「先方に失礼のないように、お食事のお作法だけきちんとして、あとはにっこり笑っていればいいだけなので、旦那様よりはよほどらくですわ」と、ほんとうにらくそうに言っていたけれど。
「帰りしな、すこし寄り道して観光などなされるそうですから、早くてもこちらに帰ってくるのは明後日だとおっしゃっていました」
「そしたら、今回はずいぶんゆっくりなのね」
「ええ、でも、奥様もあまり閉じこもってらしては身体に毒でしょうから」
 それを言われると、私の身体なんか毒の温床でしょうけれど――なんて自嘲は、胸の内にそっと秘めておく。
「急ぎのご用事でしょうか?」
「いえ、なんてことない用なのよ。るかさんにお借りした本を、返しにきただけなの」
 なんにしろ、るかさんはここにいないのだ。立派なお屋敷の玄関先で、他人の家の使用人と長話というのも、迷惑だろう。用事は済ませてお暇することにしよう。
「ついでに、うちに届いたすももをおすそ分けにと思って持ってきたのよ」
「まあ、それはありがとうございます」
 女中に持たせていたすももの包みと、借りていた本を手渡す。るかさんの書棚は、私の部屋のものとは比べ物にならないくらい大きく、また沢山の種類の本が並んでいる。政治・経済について書かれた実用的なものから、古文書と呼んで差し支えないほど古いもの、それから今はやりの漫画本まで、どこの書店かと思うほど量も質も豊富にある。家業のツテでいただいたものが多いと言っていた通り、ふつうには手に入らないような外国の翻訳本もあった。私が今回借りたのは、そういう外国の文学作品だった。上下巻の作品だったが、ためしに上巻だけ借りて、今日返すついでに下巻も借りたいと思っていたのだが――仕方がないだろう。
「描写が繊細でおもしろかったと伝えてちょうだい。るかさんが帰ってきて、落ち着いたくらいにまた来るわ」
「わかりました、わざわざご足労おかけしました」
「いいのよ。るかさんによろしくね」
 恭しく礼をする使用人の女の子に一礼を返し、玄関をあとにした。

 るかさんに会えば、すこしは気が晴れるかと思ったのだが、お仕事なら仕方がない。仕方がないとはいえ――やっぱり、気落ちするのは防げなかった。なんといっても、部屋に帰っても出迎えてくれるしぐれがいないのはさみしく思う。
 帰り道、ふと、生垣の下に、見慣れた尻尾が見えた気がして、思わず振り向き声を上げた。
「しぐれ……!」
 しかし、その野良犬はしぐれより一回り大きく、顔つきも似ていなかった。私の声に驚いたのか、野良犬はそのまま生垣の向こうへと走り去って行った。
 ひとちがいならぬ、いぬちがいと言ったところか。すこしだけ恥ずかしい思いをしながら、漏れたのは自分への苦笑だった。
「いやね、しぐれはもっと可愛い顔つきだったのに」
「お嬢様は、あの子をとてもだいじにしていらしたのですね」
 それはもう。きっと私は、しぐれに対して無意識のうちに、かいとの代わりのようなこころもちで接していたのだ。直接触れることもかなわないかいとの代わりにしぐれを撫でて、抱きしめて。
「――しぐれには、お嬢様のきもちが伝わっていますよ」
 こころなしか言葉を選ぶように遠慮がちに、しかしはっきりと言い放った女中の、腕に下がる小ぶりな巾着が揺れた。
「そうだといいけれど」
 曇天を仰ぎみると、いつかのように烏が舞っていた。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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