【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#13】

投稿日:2009/09/28 19:19:45 | 文字数:4,095文字 | 閲覧数:221 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、順調にスレていく(?)の巻。

つんばる的には、魔の13回。この話ほんと書けなくてたいへんだったの……!
で、やっとこさ書きあげひいこらして出来上がったこの話をぷけさんに送ったら、
「何か心境の変化でもあった?」って言われたよ!
そんなにいつもと書き口違うつもりはないのになあ……(笑

めーちゃん的にも、魔の13回。衣装合わせくらいでスレすぎです。
白無垢見たことないひとなので、がんばって白無垢の画像漁って、白無垢と小物の
意味とか調べて……ってその程度の知識で書いたので、もし意味違うよとかあれば
こっそり教えてくださいー!

と、思ったら、新着にすんごい野良犬が来てた! 最初こそびっくりしたけど勇気を
出して読みに行ったら見事にほだされて帰ってきたよ!(笑
やっぱり、同じ曲聴いても、やっぱり感じ方はひとそれぞれなんだなあ……。
そういう個人ごとの解釈の違いも楽しめるのが、二次創作のいいとこだと思います。

青犬編では、かいとくんがあのひとと会っているようなので、こちらも是非!
とりあえず、とりにくは、ジャスティス。

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かいと視点の【青犬編】はぷけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#13】



 私は、着飾るのが好きではない。もちろん、着飾ることがわるいことだと思っているわけではない。きれいな身なり、すてきな着こなしを、どうして嫌うことができようか。
 けれど、この装束は、どうしても好きになれそうになかった。
「よくお似合いですよ、お嬢様」
「そうかしら。立派すぎて、私には不釣り合いだと思うけれど」
「とんでもございません、お嬢様の美しさが映えていらっしゃいますよ」
 媚びをふくんだ褒めそやしの言葉を適当に受け流し、視線を泳がす。
 今日、咲音の家には衣装屋が来た。前々から注文していた装束ができたので、届けに来たのだという。そして、衣装屋が持ってきたその装束は、いま、私の身を包んでいる。
 姿見に映った自分を、だれか他人でも見るようなきもちで眺めた。私を包んでいる布は、あまねく光を反射して真っ白だった。俗に呼ばれる白無垢だ。何色にも染まらないままの白。無垢なままに嫁入りし、相手の家に染まることをよしとした時代にできた、輝く純白の衣装は、正直言って、私の身には重かった。
(白は神聖な色、太陽の色)
 おおかたの人間に与える白の印象。その形容にふさわしいような生き方も、考え方も、してこなかった自信がある。白というよりも、黒。いや、そこまで清々しく一色に染まり切れていたら、これほどきもちがわだかまったりはしないのだろう。それならば、きっと私は灰色だろう。白にも黒にもなりきれない、中途半端などっちつかずの色。くすんでいる様は、今の私になんだか似つかわしいように思えた。
(白という色は、外国では、無罪の象徴ともいうと、るかさんから借りた本に書いてあったわね)
 それならば、なんの罪も犯していないはずなのに襲いくる、この背徳感はなんなのだろう。何もわるいことなんかしていないのに。誰がわるいわけでもないのに。

 がちゃりと戸が開いた音がした。女中たちの目が、扉の方に注がれる。
「私のめいこは、どうかな?」
「神威様」
 敢えて扉の方に目を向けなくてよかった(視界にすら入れたくないとは、私の嫌いようも異常なのではないだろうか)。今日は件の男が来訪する日ではなかったと思ったのだが……しかし、最近では何の用がなくても寄ってみたとほざいては家に上がりこんでいる男のことだ。よほど暇なのね、とは、言わずにおく(声をかけるのも面倒だ)。
 衣装屋の手伝いをしていた女中が、男と談笑をはじめた。
「本日もご商談でいらしたのですか?」
「いや、今日は婚礼の衣装合わせをしているときいたから、来てみたのだよ」
「あら、お式までのお楽しみに、していなくてもいいんですの?」
「私の好みも少しは反映してもらおうと思ったのは否定しないけれどね」
 女中のくすくすという笑い声が、いやに鼻についた。普段ならどうってことない会話だ。さらりとお茶漬けのごとく流してやれるはずなのに。神経が過敏になっている。慣れない衣を身にまとっているからだろうか。
「しかし、そんな心配はいらないようだ。咲音の家はいい仕立て師を雇っているね」
 今度はうちともよろしくたのむよ、なんて、衣装屋に声をかけながら、男は気取った足取りで私の方に近づいてくる。
「きれいだよ、めいこ。めいこは白も似合うのだね。あかねの空に映える、美しい秋桜のようだ」
 精一杯秋をにおわして、季節感を盛り込んだうえに、反吐が出るほど整った詩的な表現。男の言葉に、女中たちが嘆息したのがきこえた。――でも、いくら彼女らがこの男を讃えようと、こんなうわべだけの言葉に興味なんかない。
(いいえ、これは冬そのものよ。曇天を仰ぎ見る、一面の雪原のようだわ)
 冬は草木が活動を停める季節だ。
 だからきっと、私のこころは、この冬の装束をもう一度着るときに、活動をやめるのだ。いままで想っていたものも、守っていたものも、だいじにしていたものも全部捨てて、忘れて。咲音の家から嫁いだ、神威の家の者になるのだ。こころを動かさず、淡々と、結婚や家という形式にしばられて、それでも、春を待って息をひそめる草木のように、ただ生きてはいる、という状態をつづけていくのだ。
 草木と私の違うところは、どんなに待っても春がこないというところだろう。
「……不本意そうだね?」
「ええ」
 男の問いに、ふと答えてしまったが、これは本心だ。
「重いわ」
 重苦しい。なんと、重圧のおおいことか、と、精一杯のきもちを込めて言うと、男は「たしかにこの布はすこし重そうだけれど」などと、全くずれた解釈で頷いていた。
「もうすこし軽い布でつくれないのかい」
「しかし、これ以上は……」
「余分に費用がかかるなら、いくらでも神威が出そう。なんたって、可愛いめいこのためなのだから」
 うろたえた衣装屋にそう言って含めて、男は「そろそろ戻るとしよう、また来るよ」と、誰に向けたのかわからない退出の言葉を述べて(多分私に対して言ったのだろうけれど、こちらとしてはいてもいなくてもどちらでも問題ない)、部屋から出て行った。
 衣装屋が寄ってきて、私の頭に載せていた角隠しを外す。……頭が重くて首が凝りそうだった。
「ではめいこ様、次の時までにはもうすこし軽い布で仕立てておきますゆえ」
「無視してかまわないのよ」
「いえ、旦那様たってのお願いでしょうから、こちらとしても精を尽くさせて頂きます」
 そうして、失礼します、とひとこと告げて、衣装屋は白無垢の帯を外し始めた。衣装合わせはどうやらいったんここで終わりらしい。するするとほどかれていく衣装を鏡越しに見ながら、なんと仰々しい衣装だこと、着るにも脱ぐにも他人の手を借りなければならないなんて、と、ため息が漏れる。
 はらはらと足許に落ちる衣装を、女中たちと衣装屋が拾っては畳んでいく。
(ああ、そういえば)
 その様を見ながら、ふと思った。
(死んだ人も、白い服を着るわね)
 奇しくも、私は送られる側。それならこれは、なるほど、豪華な死に装束なのだ。自分のこころを殺して、他人の色に染まるための。
 ――ああ、目の前が真っ暗だわ。

「あ、お嬢様!」
 部屋を出ると、よく見知った女中が声をかけてきた。るかさんの家に訪問してから、急激になかよくなった子だ。どれくらいなかよくなったかというと、本を貸してあげたり、刺繍を教わったりするくらい。彼女は大量の洗濯物を抱えながら、こちらに小走りで寄ってくる。
「衣装合わせは済んだのですか?」
「ええ。まったく、いらない注文まで増えて、仕立て師はかわいそうだわ」
「神威様、ですか?」
「推して知るべし、よ」
 洗濯物を抱え直した彼女に、私は歩幅を合わせて歩く。
 彼女は、あの男を「金にものを言わせているようで、あまり好きにはなれない」と評した(そのあと慌ててごめんなさいこんな悪口みたいな、と言っていたのが微笑ましかった)。あんなに大きな着物ですもの、かんたんに直せるはずもないのに。金がかかるより、手間のかかることを心配しなかったのだろうか、あの男は――そう思うと、彼女の言も尤もだと思うし、私もその点はおおいに同意する。
「それより、のんびりしていていいの? お洗濯の途中でしょう?」
「ああ、でもこれで終わりなので」
 外に干しに行きますけれど、お嬢様も行きます? そう訊いた彼女にそうねと同意して、庭に出ることにした。
 外に出れば、この腐ったきもちもいくらか晴れるだろうかと、思ったのだ。
 けれど、外に出ると相変わらずの曇天で、私は――わかっていたこととはいえ――肩を落とした。
「今日も曇っているわね。外に干しても、乾くのかしら」
「風がありますから、大丈夫でしょう。知っていますか、お嬢様。曇りの日でも、肌寒い日でも、風の強い日は洗濯物も乾きやすいんですよ」
「そうなの?」
「おひさまの匂いはしませんけれどもね」
 私に屈託なく笑いかけてから、彼女は自分の仕事をはじめる。私は、敷石のそばにしゃがんで、それを眺める。
 そういえば、彼女の名前を聞いていない。今更訊くのもなんだかおかしい気がしてそのままにしているけれど、やはり名前で呼べないとすこし不便かもしれない。もちろん、名前を知らなくてもここまでお友達の関係がなりたっているのだから、このままでも充分なのだが――話のタネに、訊いてみようか。
「ねえ、」
 話しかけたとき、背後から、ぎにゃあ、と、聞きなれたような聞きなれないような声が聞こえた。思わず振り返ると、赤毛の仔猫がこちらに向かって走ってくる。そして、その後ろから、茶とらの猫が赤毛を追いかけて――あ、赤毛がつかまった。
「あっ、また――!」
 女中の彼女がつかつかと寄って行くと、茶とらの猫は顔を上げ、生垣の方に逃げて行った。赤毛は、茶とらを追いかけようとはするものの、彼女と茶とらを見比べて、どちらともつかない方向に逃げて行った。
「もう、あのトラ猫、ウチの子じゃないのに、ここのところよく来るんですよ。その度にあの赤いのにちょっかい出して……」
「あの赤毛、ここらの番長猫の子どもではなかったかしら?」
「ええ、でも、あの子はけんかが弱くて臆病で、いつもああしていじめられているんですよ」
 ほかのきょうだいはもうとっくに自立して、どこへなりとも行ってしまったのですけれどね、と言った彼女の声をききながら、私は赤毛の仔猫の走って行った方向を眺めていた。

 なぜだろう、あの茶とらにつかまった瞬間の赤毛の仔猫が、自分に重なって見えた。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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