「さぁ、開廷の時間だ」


私の名はガレリアン=マーロン。
連合国家USEの裁判長を務めている。


「裁判長？カッコイイね！」だって？
ははは、ありがとう。そんなお世辞など私には無用さ。


なにせ私は“正義”の裁判長などではなく、“悪徳”の裁判長───ジャッジメントだから。

そう、罪を私のさじ加減一つさ。


────冤罪という名の沼から救われたければ、もっとお金を渡すんだ！




私は今日も、非道の槌を振るう───────………










【悪徳のジャッジメント】残念すぎる裁判長【原曲者に謝れ】










「判決────」


私の言葉を待ち、しんと静まり返る裁判所。
被告人以外が固唾を呑む。




「──無罪」

「え……？」


私の言葉を聞いたとたん、信じられないという顔をする被害者。


「ど…どうして！？私は被害にあったのよ！彼を有罪にするのは当たり前でしょう！！？」


それがどうしたっていうんだ。


「…貴方は、私の判決に不満があるとでも？」
「あるわよ！大アリよ！！彼を有罪にしなさいよ！！」
「それはできません」
「どうして！？」
「彼は全くの無実だからです。……これにて、閉廷」


私の言葉でお開きになる裁判。


被害者はなおも叫び続けるが、そんなもの、全くの無意味なのだ。
──なぜなら、私は被告人からたくさんの金を貰ったから。


『極悪人でも金さえ払えば救ってやる』。それが私のポリシーのようなもの。




そう、ようは地獄の沙汰も金次第なのさ。



私も裁判所を出て、家に向かう。


────さぁ、早く帰らなければ。私の愛しい「娘」が待っている。





***





『ガチャッ』


「ミッシェルゥゥゥゥ！！！お父さん帰ってきたぞォォォォォォo「タヒれ」
「…酷いよミッシェル。お父さん、傷ついた」
「うっさい、黙れ、ロリコン野郎。ｔｋ、ｍｊタヒれ」
「……」


ふ、ふははははははははは！

大丈夫だ、ガレリアン！
君はあのガレリアンだぞ！？あの『イケメン裁判長』として話題のあのガレリアンだぞ！？

「娘」に残酷すぎる暴言を吐かれたって平然といろ！！ガレリアン！！！




「ふはははははｈ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁん！！！！！」


どうせ私は弱虫なんだ！ヘタレなんだ！！
どうせ影では『ヘタレ裁判長』って言われてるんだ！いや、そうに違いないんだァァァァ！！！


「…ウザッ（×１億）」


うわぁぁぁぁぁあああん！！！！！

生きていてごめんなさいぃぃぃぃぃ！！！

今から死にいきますからぁぁぁぁぁ！！！



私は青いスプーンで目ン玉をほじくろうｔ「おいおいおいおいちょっと待て！」
──のを「娘」に止められる。


「なんだい！私は今逝こうとしてるんだ！」
「いや、それはマジやめろよ！」


…もっかして、死んで欲しくないの？
そしたら私、涙が出てきちゃうよ……（いろんな意味で）


「そんな方法で死なれたらグロくてこっちが気分悪くなのよ。もっとマシな方法で逝きなさい」


そっかぁ。君は僕に本当に死んでほしいんだね～


……
やっぱ、この方法で死んでやるゥ！


「おい、人のいうこと聞きやがれ」ブンッ


「あべしっ！」


いいかいミッシェル。人にグラスを投げちゃいけないんだよ？
当てたらグラスが割れてその人死んじゃうよ？


しかも何でグラス割れてないの！？どんだけ頑丈なわけ！！？





「お父様」


ミッシェル、さっきまで何事も無かったような顔しないでよ。


「私にいい方法があるんですよ」


？方法って？


「この家を燃やしてしまえば、グロ表現が無くてすみますし、お父様も逝くことができますわよ☆」
「いやいやいや、本当に逝かせないでください。っていうかお父さん家もなくさなきゃいけないの！？」
「YES」
「真顔で答えないでー！」


お父さんこの家はなくしたくないなーってあれ？なんだろうこの匂い…なんか焦げ臭い。


「どうやら火事ね」
「なんだっｔ「黙れ」ブンッ


何でこの状況でも物を投げるわけ！？しかも鏡投げたら割れちゃうでしょ！！
だけど割れないってどういうこと！！？



「今日お父様の法廷の被害者の『ファンクラブ会員たち』の仕業かと思われます」


知らなかったよ、お父さん。そんな人たちがいたなんて。
っていうか、何で君がそんなことを知っているんだい？


「勘です」


勘かい！！！



っていうか、確かレヴィアンタ内乱のときに火事に遭うんだよね？
まだ時期が早いよ？


「所詮お前がヘタレだったってことだ。カス」


暴言はらめぇぇぇぇええええ！！！


「ん？待てよ…」


ここが火事に遭ってるってことは…


「君も私と一緒に逝くってこｔ「さらばだ！ヘタレアン=マーロンよ！」


何で窓から出ようとしてるんだいミッシェルさん！


「たしか君は足が不自由なはずｄ「フフフ、そんなの仮病に決まってんだァ──ッ」


マジかよ！！！


「と、いうことで…バイバイキーン☆」
「ちょっと待ってそれパクリ…きゃあああ置いてかないでぇぇぇぇ」


哀れ、私は置き去りにされた。
しかも窓が開けれないようになっている。酷い、酷すぎる。



「嗚呼…焼け落ちた屋敷から見つかるんだろうな……孤独な『男』の亡骸が…」


やがて炎が私を包んだ。










***










「────ハッ」


目が覚める。





「…ここｈ「冥界の門さ」


　…


「貴方はだｒ「あたしは『冥界の主』さ」


　…


「私は死んだんですｋ「死んだに決まってるだろ。バッカじゃねーの？」


　……


「う、うわあああああああああああああああああああああん！！！「五月蝿い黙れ」


酷い、酷すぎる！！！
どうしてこんなにも残酷なんだ！？
これは私に対してのイジメか！？っていうかイジメだよなァァァァ


「まぁまぁ落ち着け。アイスでも食べるか？」
「食べます」


お腹すいてきたし、アイス好きだから食べよう。
『冥界の主』さん、貴方は私にとっての天使でｓ「キモイ」


「…」

「まぁいいや。話し進めるぞ」

「…」

「あたしは死人を天国か地獄に決める『冥界の主』。
　お前は知ってるぞ？ヘタレで有名なガレリアン=マーロンだろう？」

「…」

「せっかくだ。今回は特別に『地獄の沙汰も金次第』ってのにしてやろう」

「…」

「さぁ、ガレリアン。お前の財産、あたしに全てくれてみろ。そしたら天国に行かせてやる」

「……ます」

「は？」

「私の財産、貴方にすべてあげます！」

「はぁぁぁ！！？？」


そんなの、全部あげるに決まってるじゃないか！
もう自分はお金使えないんだし！
「娘」にも裏切れたし！




「…ば、



　馬鹿やろぉぉぉぉぉぉぉぉぉう！！」


「あべしっ！」


痛い。ビンタは痛すぎるよ『冥界の主』さん。


「たかが金のためになんでお前みたいな奴を天国にいかせなきゃなんないんだァ───ッ
　さっさと地獄に落ちろォ─────ッッ」


と、『冥界の主』が私の体を地獄のそこに落とす。


「あーれー」


否、私の体は落ちていく。








「そう罪は私のさじ加減ひとつ　悪徳のジャッジメント～♪」


あぁ、地獄のそこって深いんだねぇ～。
しかも声が響くし。
お陰で今歌っちゃってま～す☆←


「たとえ誰だろうと私のこの罪　裁くことは認めない～♪」


あーぁ、どうせ地獄に落ちるんならこう言えば良かったな～。
そうしたら、『冥界の主』も「ガレリアン様ステキ！」とかなってたかもしれないのに…






…

そういえば、「娘」は元気にやってるかな？


…

やってるよね。あんなんじゃ。




嗚呼、愛しい「娘」よ。
もしも生まれ変われるならば、そのときはまた遊んでｎ『ガッ』


…何故だろう、頭の中でミッシェルが暴言吐きながら暴力を振るう姿が……