「さよなら、愛しい人」


そう呟いて、リボルバーを目の前にいる人に向ける。
この行為を、何回繰り返しただろう？
もう、当たり前のように、私は引き金を引いた。


私は「悪」の人間だった。
組織に属している限り、私は「悪」であり続ける。
組織をやめることは、彼らを裏切ること。
組織をやめたくても、心のどこかでは、彼らを裏切ることに抵抗があった。
結局、ただの弱虫だ。

ターゲットになるのは、いつも「正義」側の人間だった。
私の仕事は、ターゲットの人間を消すこと。
誘惑して、油断させて消すこともあった。
影から狙い、隙を見て消すこともあった。
罪悪感は、今は感じなかった。

一回だけ、「正義」の人間を愛したことがある。
一年の始まりである春に出会った。
そして…終わりの冬で、全てが終わった。

とても悲しかった。
組織を裏切ることを、その時初めて考えた。
結局、できなかったけど。


あれからいろんなことがあった。
悲しいことやつらいこともあったけど、それらの経験全てが、私を強くした。
今の仲間は、とても安心できる。
本当の自分でいられる。
今の自分は、組織を裏切れても、仲間は裏切れないだろう。
彼らにリボルバーを向ける日は、来ることはない。








<<【七つの大罪】グミさんと白熱討論会【二次創作】>>








「え？今なんて？」


雪が降るある日、私はマルガリータに問いを返した。


「だから、楽しい楽しい裁判を皆でやろう、って言ったのよ！」
「はぁ!?」


いきなり何を言い出すのか。
この子はまとな時もあるけど、基本的にはいろいろおかしい。
普段はgiftを作ったり投げつけたり大根をぶっかけたりしてる。
だから、まともなことを言うのを聞いた人は奇跡だ。


「なんでまた裁判をやろうと？」
「だって楽しそうじゃない！こう、ババーンとやってドーンのビゴンでフライアウェイするの！」
「ちょっと待て、擬音だらけでワケわからん。ビゴンって機械か何かか！あとfly awayすんな！」


そもそも裁判ってそんなんじゃないでしょう。
ババーンならなんとなくわかるよ。
でも、ドーンのビゴンって何よ。
しかも飛んじゃ駄目でしょ。
あとサテリアジスはツッコミが忙しそうね。
しかもやけに発音良かったわよ。


「まぁとりあえず、裁判をしようってこと？」
「そうそう。あと、裁判長は、なんと！とても驚きのあの人です！」
「どうせ悪徳裁判官だろ？」
「ふっふっふ、違うわ…仕立屋娘こと、嫉妬のカヨよ！」
「Why!?」
「誰よ今フライって言ったの！」
「Whyだよ！誰が揚げるフライと言った！」
「おすすめはうずら卵のフライよ！」
「そうだね！確かにうずら卵のフライ美味しいけど！美味しいけど！！」


そしてツッコミを入れるところが違う。
まあ、カヨがフライとか言っちゃうから、話題がそれちゃったんだけど。
そしてやはり発音いいわね、サテリアジス。
あと、何故Whyとフライを聞き間違えるのかしら、カヨは。
あなた英語は得意じゃないの？
あぁ、マスターの台本でこうなってるのね。


「嘘ぴょん」
「何故ぴょんをつけた？医者の娘よ」
「裁判長は、本当は我らが王子兼召使、アレンが担当するのよ」
「いやいやいや！アレンには裁判長は無理ですよ、マルガリータさん！」
「何故？大根をぶちまけたら無罪、じゃがいもをぶっかけたら有罪にしときゃいい話じゃない」
「あなた相変わらずですね！しかもぶちまけるんですか！しかもじゃがいもじゃ駄目なんですか！」
「リリアンヌによる炸裂ツッコミ『どうでもいいからワッフルよこせ』キタ―――――！！」
「いや！いやいやいや！変な名前つけないでください！！」


だからツッコミを入れるところが違うわよ！
サテリアジス、医者の娘じゃなくてマルガリータって呼んであげなさいよ。
いくらマルガリータに名前で呼ばれたことないからってさ。


「あとアレンにはなんで裁判長は無理なの？」
「よくぞ聞いてくださいましたバニカさん！」
「お？なんだその聞いてほしい雰囲気は？」
「えぇ、アレンは召使ですし、あんなんだし、ショタだし、デデンでパリンでダダダダーンなんです！」
「だからその擬音何！！」


今日のリリアンヌはアレね。
ツッコミをしたり擬音で全てを表現したりしたいのね。
ようするに、いろんなことにチャレンジしたいのね。


「本当の裁判長はへたれあんでしょ？」
「なんで平仮名？」


そして私はさっきから発言せずにROMってます。
だってツッコミが忙しそうだもの。


「ところで、そのガレリアンについてですが」
「そういえば、さっきから喋ってないね」
「新年早々仕事のスケジュールが凄いらしいので、今回はメッセージだけ頂いております」
「じゃあ裁判長できなくね？」
「じゃあメーッセジを読みマース。『助けてくれー…giftが、giftがーあああぁ……』以上です」


何があったのよガレリアン。
giftで何をされたのよ。
まぁ、あんまり気にしないけど。
あとメーッセジって何よ。


「そういえば、アレンもいないんですが」
「同人イベントに、薄くて高い本を買いに行ったんでしょ？」
「違うわよ、魔王を倒しに行ったんでしょ？」
「え？冥界の主におせちを届けに行ったんじゃないの？」
「いやいや、ガレリアンに石灰水をぶっかけに行ったんでしょ？」
「説明しよう！ペンナイフとは、小さなナイフで、外見はペンの様になっています。羽根ペンなどの先を削るのに用いていたそうです！」


いやカヨ、今その説明いらないわよ。
あと今ここにいないガレリアンとアレン、そしてノーコメントのサテリアジスは喋ってない。
あとリリアンヌは「アレンもいないんですが」って言っただけ。
じゃあ誰なんだろう、二回発言したのは。
わ、私じゃないんだからね！


「っていうか、なんでペンナイフの説明をしたのよ、カヨは」
「わかりません！(キリッ)教えて、マルガリーたん！」
「私に聞かないでよ！あとその呼び名は…」


ちなみに、アレンは材料の買出しに行くと見せかけて、鉄鉱石を掘りに行ったそうです。
(後日談：リリアンヌに聞いた)


「きちんとポーチに小分けにしているのよねー」
「バニカ、いきなり喋りだしたけど、それなんの話なの？」
「全国に数万人いる、隠れファンの集会の話だけど？」
「何それ意味不明」


バニカって突然語り出すこと多いわよね。


「アレンなかなか帰ってこないわねー…」
「説明しよう！果物ナイフとは、果物を専門に切るナイフです！果物の大きさに合ってる、小回りの効く大きさになっています！」
「あ、アレン!?凄いタイミングで帰ってきたわね…」
「私のキャラとられた…」
「カヨ、お前は安定しないキャラで生きるんじゃなかったのか」


しかも知っている内容を説明されても。
果物ナイフは皆知ってるわよ。


「突然帰ってきたわね、アレン」
「こうなったら、アレンも参加しなよ！楽しいよ討論会！」
「裁判はどこにいったんだ…」


きっと、サテリアジスは今日一日ツッコミの重労働をすることになるのね。
ご愁傷様。
あと、私は本当に聞いてるだけだし。
心の中でツッコミを入れてただけだしね。

ということで、私は白熱する六人を放置して、リボルバーの手入れをすることにした。


「…だから、大根はぶっかけるものなのよ！」
「お前さっきぶちまけたら無罪って言ってたよな！？」
「ぶん投げるのは駄目なの？」
「いや、放置するものでしょ」
「おでんにすると美味しいよね！」
「あら、ブリ大根も美味しいわよ」
「すりおろしてぶっかけるんでしょ？」
「お腹すいたー」
「よーし、皆で大根ぶっかけ大会やりましょうか！」
「第七十八回大根ぶっかけ大会、開☆催!!」
「あれ、的はどうするの？」
「できないじゃん！」
「第七十八回(ry、終☆了!!」
「終わっちゃった！？よし、討論会へバックしよう！」



……何このｇｄｇｄ討論会。
やっぱり、私も参加したほうがいいのかしら……。