#91「過ち」
「あなたは大きな勘違いをしているんだ!」
僕の言葉が、今はただただ空しく響く
「あなた……さっきから、それを言っていますね?私が一体何を間違っているというのですか?」
ハクさんは不気味に笑っていた
「ハクさん……さっきの話、身に覚えがありませんか?」
「ふふ……ありますよ。さっきの女の子は私でしょう?それがどうしたというんですか?」
そう、さっきの話は全て、妖精の指輪で見たハクさんの過去
といっても、主にリンちゃんのお母さんの記憶が主であったのだが……
「まさか、私の母親が実の親だと気づいていなかったことについてですか?そんなの、とっくに気づいてましたよ?」
やれやれと言った様子で首を振るハクさん
「そうですか……ですが、そこではありません」
僕は話していて胸が痛くなる
「あなたは……先代に母親と引き裂かれたと思っている……」
「ええ、そうよ!あの女が私をこんな風にしたのよ!」
今のハクさんは……宮中で会った時とは別人のような顔をしている
「……それが違うんです」
「ふざけないで!」
僕の胸ぐらがハクさんに掴まれた
「私は!実際、あの女に引き裂かれた!」
ハクさんの目が僕を見ていない…………憎悪のようなものを感じる
「ハクさん……あなたは、本当は…………母親に捨てられたんです」
「!?…………いいかげんなことをいわないで!!」
ハクさんが急に目を大きく開いた
僕の体は宙を舞い、地面に叩きつけられる
それと同時に背中に痛みが走る
僕は痛みを我慢して、立ち上がる
ルカさん、メイコさん、リンちゃんはもっと辛いはずだから
「いえ、いい加減な事ではありません。確かに養子だったあなたは愛されていた。でも、本当の娘が生まれたあなたの母親は……本当の娘にしか愛情を注げなくなってしまったのです」
「……やめろ」
ハクさんが頭を抱える
「先代は、古い親友だったあなたの母親からあなたのことを頼まれたのです。しかし、それはあなたがあまりに不憫だと感じ、先代は自らが引き裂いたことにしたのです」
「……やめて」
ハクさんの腕が震えている
「つまり、あなたの今の恨みは、先代の優しい嘘ゆえのゆがんだ結果なのです」
「……ちがう……ちがう」
ハクさんは頭を大きく横に振る
僕は一呼吸おいた
「…………その様子だと……全て知ってましたね?」
僕は核心をつく
「いやだ……そんなの……」
ハクさんに僕の声は届いているのだろうか……
「ハクさん、あなたは自分の愛する母親を憎めなかった!だから、先代やリンちゃんに矛先を変え、自分の都合のいいように思いこんだ!違いますか!」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ハクさんは大きく叫んだ……
その叫びは寂しく家中に響いていた……
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もっと見る#88「昔話」
「あなたの話が無駄話となった時、あなたの命の終わりです」
フードの女性の言葉に偽りはないだろう
でも、僕はまだ終われない
「これはある一人の女の子のお話です」
「何言っているの?早く、私の動機とやらを説明しなさい!」
僕の話を遮ってフードの女性が怒鳴った
「これには順序が必要なんです...妖精の毒#88
しるる
#90「本音」
先代とリンちゃんに恨みをもっていた人物
メイコさんに睡眠薬を飲ませることができる人物
あのルカさんを投げ飛ばすことが出来るのは訓練された人物
僕が人間だとあらかじめわかっていた人物
そう、初めからこの人しかありえなかった
「やはり……あなたでしたか…………ハクさん」
「お見事です。ま...妖精の毒#90
しるる
#79「勘違」
翌日、天気がいい
ただ、孤児院の中が心なしかどんよりとしている
義弟や義妹たちは、いつも通り、元気なのだが、ミクがややぼんやりとしている
完全に僕のせいなのだが……
レンもリンちゃんが心配なのか、どこかイライラしている
そして、僕もミクへの罪悪感と、リンちゃんが森に帰っていたらどうし...妖精の毒#79
しるる
#82「再び」
僕とルカさんは妖精の世界への入り口に向かう
「ルカさん、メイコさんとリンちゃんを助ける方法って、考えてあるんですか?」
ただ単に相手方に乗り込んでいっても、駄目なのは目に見えている
「正直、何も考えてないわ。」
僕の横を歩くルカさんは、しれっとそう言った
「手紙の相手が誰かもわからな...妖精の毒#82
しるる
#84「戦闘」
「ええ。二階で生きてますよ。まぁ、今は……ですけど。ふふ……」
不敵に笑う手紙の差出人
「ふざけるな!いますぐ、2人を返してもらう!」
ルカさんが相手に向かって走っていく
ルカさんが相手をとらえれば、あとは力で吹き飛ばせるはずだ
しかし、相手は向かってくるルカさんの胸ぐらをつかんで、...妖精の毒#84
しるる
#96「名前」
僕とリンちゃんは、孤児院に帰って来た
僕らが玄関に入ると、雪崩のようにながれてくる義弟妹たち
「おいしゃのおにいちゃん!おかえり!」
「まいおねえちゃん、どこにいってたの?」
「かいと、おみやげは?」
群がってくる子供たちに、僕もリンちゃんも、もみくちゃにされ、立ち往生してしまった
...妖精の毒#96
しるる
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ご意見・ご感想
イズミ草
ご意見・ご感想
カイトさん酷っ!!!
ハクさんにそれは酷ですよ!!
でも、現実から目をそらしてるなら、そうしたほうがよかったのかな……?
カイトさんの判断は―――。
正しい、正しくないでは言い尽くせないと思いますが、
「引き裂かれた」と思っているハクさんに突きつけて絶望の淵へ追いやってでも現実を知らしめたほうがいいのか
はたまた、わかっていてそれを隠し、その場は穏便に済ましてハクさんは一生「捨てられた」としらずに復讐の念を抱きながら生きていくのがいいのか。
それは、誰にもわかりませんね……
結局何が言いたいのかって話です、はい……orz
これからの展開に大分響いてきますよね!?ww
2012/12/05 20:32:54
しるる
今はハクさんを止めて、リンちゃんたちを助けなくてはならなかった……
嘘のままでは、何も変わらないから……
カイトは命をかけて、ハクに届けと言った一言……かもしれません←
2012/12/05 22:32:45