＃４５「メイコ」



もとはと言えば…カイトさんを巻き込んだのは…私のせいなのかもしれないわね…


小さい頃……ネルにねだられて…この指輪をネルにかさなかったら……



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私がまだ子供だった時の話…‥

私はよくネルの家に遊びに行っていたの


「ねぇねぇ！メイコってさ！王族の血筋なんでしょ？」

「う、うん…分家だけどね」


今日のネルは、妙に私に迫ってくる

小さな体に大きな瞳をしていた彼女は、同性の私からみてもかわいいと思えて…憧れていた…


「じゃさじゃさ！歴代女王様達がつけていたっていう【妖精の指輪】って見た事あるの？」


彼女の大きな瞳がきらきらと輝いていた


「う…うん…伯母様がつけているところをみたことあるよ」

「いいなぁ～　私もみてみたいな～」


うっとりとする彼女は無邪気で…私は思わず言ってしまった


「じゃさ…今度、かりてこよっか？」

「え！？いいの！！わーい！！ありがとう！メイコ！」


嬉しそうにぴょんぴょん飛び回る彼女を見て、私は幸せだった









と、いったものの…

かして！と言って、かしてくれるようなものではないのは、子供ながらわかっていた…


だから……その日の夕方…

女王様が入浴している間に、こっそりと指輪をかりることにした……

すぐに返すつもりだった……



そして、そのまま、ネルの家に行き、それを見せた


「わ～！これが【妖精の指輪】！？すご～い！！」


ネルはきらきらとした宝石を、いっそうきらきらした瞳でみていた


「ね、ね！つけていい？」


わくわくしながら、ネルはそういった

私も嬉しくなり、思わず「いいよ」といってしまった…


「わぁ～！すご～い！私、女王様みたい！なんてね」


あまりにネルが喜ぶものだから、私は時間を忘れていた……





その後…宮中では当然のように大騒ぎになっていた

【妖精の指輪】が盗まれた！と……


私はとてもこわくなった…盗人の汚名が自分に降りかかるのだから……

でも…このままでは、ネルも同罪になると考えた私は、勇気をだして名乗り出た…

宮中の多くの人から叱られた……

子供といえど、国宝に手をだしたのだ…

どんな罰がまっているか……

決して、軽いはずなどなかった………







私は当時の女王様の部屋に呼び出された……

いわゆるリンの母親の部屋ね…


「メイコ……あなた…」

「ごめんなさい！！ごめんなさい！！ごめんなさい！！」


私は怖くて…女王様の言葉を最後まで聞いていられなかった

しかし、つぎの瞬間……私は温かいものに包まれた


「メイコ、大丈夫よ……私はあなたの気持ちがよくわかります」


気づくと、私は女王の腕の中にいた


「あなたは心優しい子ですもの……少しかりるつもりだったのよね…」


泣きながらうなずく私の頭を女王様は、ずっとなでていてくれた


「よく名乗りでましたね…怖かったでしょう？もうしてはいけませんよ。宮中の皆には、私が上手く言っておきます」

「はい…ありがとうございます…」


私は安心してそのまま眠ってしまった……










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今思えば……

あの時…ネルに指輪をかさなかったら…ネルは人間世界にいけなかった…

つまり、【クチハテ】となってしまったあと、リンを襲うこともなかった…

カイトさんたちを襲うこともなかった

そして…ルカがやむを得ず…幼馴染みを自らの手で殺めることもなかった……


全てのはじまりは……私の身勝手な行動が……

ルカを…

ネルを…

リンを…

…そして、カイトさんを巻き込んでしまった……



ごめんなさい……ごめんなさい……