第五十八話 謎

 「ルカを助ける方法なら、あるわよ。魔界へ還せばいいの。そうすれば魔力が回復して元通り元気にな」

 「ちょっちょっと待ってください!!」

 いきなりそんな話を始めた咲屋さんを、私は思わずとめた。

 「まだ何も解決していません。おかみさんが何をしようとしていたのか……さっきの物は、かいとの憶測でしかないのです……。だから……おりんさんのためにも……ちゃんと、話してはくれないでしょうか……?」


 そう。

 なにも、解決していない。

 
 かいとが行ったことが本当なら、どうしておかみさん私のために命を擲ったのだろうか。
どうして、雪なんか降らせたのだろうか。
どうして、おりんさんを連れて逃げろと言ったのだろうか。
どうして―――。




 どうして、死んでしまったのか。





 謎だ。

 この話が物語だったとしたら、謎が多すぎる。
多すぎるんだ。

 すべてつながるというのか。

 まさか、そんな、そうであるとしたら―――何につながるというのか。





 「……学園長。お願いします」

 
 ぐみが、礼儀正しく頭を下げた。


 おりんさんは「咲屋さん」とつぶやき、咲屋さんを潤んだ目で見ている。




 「仕方ないわね……まあ、そうよね。各種族の次期頭首がこれだけ集まっても、わからないんじゃ埒が明かないわね……」



 このままでは、前に進めない。

 私たち―――全員が。





 「ルカは、救うために……縛りから放つために……自ら選んだのよ。まあ、ちょっとルカらしくて手荒だったけれどね。好都合だったけれど、町人に正体を知られたのは、予想外だったみたいね」



 「……おっかさん……自ら……」


 おりんさんは悲しそうに眼を伏せた。





 「みんなわかってるわね」



 
 なにが、かは言わなかった。
けれどわかった。




 この話が――――物語なら――――。







 「…………名前は……言わなくてもいいはずよ」











 








 すべては―――――私の為だ、と。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ノンブラッディ

あ、おわりそう??

閲覧数:165

投稿日:2013/04/13 19:47:48

文字数:894文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    お!復活できるの!
    これはターンドッグさんが喜びますね!
    私のは……ああなったので……

    リンちゃんの潤んだ瞳とか……うきゃぁぁ!←!?

    2013/04/13 17:10:58

    • イズミ草

      イズミ草

      はい!
      急にメイコさんが言いだしまして、そう言うことになりました!!!ww
      ですね……ルカさん……苦労に人だな……ww

      うきゃぁぁ!!?

      2013/04/13 19:18:09

  • ハル

    ハル

    ご意見・ご感想

    7日から参上!!!待ってました!!お?お?でも、まだ読んでいたいいいいって気持ちもすごくあるんですがね><
    >< お、おお?何か、すごいことになってきた・・・な?
    イズミ草さんはやっぱすごいww

    2013/04/13 12:09:04

    • イズミ草

      イズミ草

      え? え? そうですか?
      いやあ、それほどでもぉ……www

      すみません、まだ追われるから未定なんですよねww
      ほんと、全然この話の登場人物たちは、予想できん行動をしてくれる……

      2013/04/13 19:16:31

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