「あのね、ジローラモ・れおんさんって、チャッカリしてるので、業界では有名な人なのよ」
りりィさんは、レンくんの携帯の画像をのぞき込んで、言った。
彼女のお店、「星を売る店・上海屋」で、レンくんがお茶を飲んでいる。
そこに、妹のリンちゃんからメールが届いたのだ。
レンくんが聞く。
「れおんさんって…。その人、ルカさんの会社の人なんですか?」
「ええ、そう」
りりィさんが小首をかしげながら、つぶやいた。
「さては、ルカさんのところ、なにか“はっちゅーね”を狙っているのかもしれないわ。あと、リンちゃんも」
「え、リ・リンも?狙ってるって、何を、ですか?」
それを聞いたレンくんは、目を見張った。
「それは、おだやかじゃないよネ」
心配そうに、でもニヤニヤしながら、ルコ坊が言った。
●アナタも可愛いネー!
さて、こちらは、そのリンちゃんのいる現場
。
ビッグサイトの「雑貨&クラフト・フェア」の会場だ。
「ちょっと、オジさん、そんなに激写しないでよー。恥ずかしいから」
リンちゃんが、口をとがらせて言う。
「オー、ゴメンナサイ。でも、人形の“はっちゅーね”も可愛いけど、アナタも可愛いネ」
さっきから、ブースの外から中から、彼女を携帯で撮っている中年の男の人は、笑って言った。
ブースの中で、その様子を見ながら、駿河ちゃんは霧雨さんに小声で囁いた。
「ねえ、いいの?あんな変なヤツが現れてるよ」
さっきまで、リンちゃんを撮る男の子たちの、整理や接客に追われていた霧雨さんは、
いまはひと段落して、椅子に座っている。
「うん。変なヤツだね。リンちゃんと“はっちゅーね”がいると、ブースが華やぐし、お客さん集めにバッチリだったんだけど…」
そう言いながら、うさん臭そうに、中年の男の方を見た。
「私の直感だけどサ。あのおだて方は…ただのファンじゃないよ」
霧雨さんの言葉に、駿河ちゃんは目を見張った。
「え?」
●不思議なのはどっち?
「あいつ、何か、商売がらみだな。そう感じるよ」
霧雨さんは、男をそっとにらみながら、腕組みをした。
リンちゃんの周りにはいま、そのアヤシイ男の他に、彼女のファンの男の子たちがたくさんいる。
人気ブロガーの彼女には、熱心なファンが、結構いるのだ。
男の人は言った。
「しゃべる不思議な人形と、人気のブロガーの少女。すごく不思議で、ステキな組み合わせだと、オモイマスネ!?」
リンちゃんは、首をかしげた。
でも、周りの彼女のファンの中には、うなずく人もいた。
答えに困った彼女は、思わず、手に持っている“はっちゅーね”を見やった。
すると、“はっちゅーね”は大声でしゃべった。
「おっさん、お前の方がフシギだよ」(゛ `-´)/
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ブクマつながり
もっと見る霧雨さんのブースに向かって、ルカさんがゆっくりと歩いてきた。
「ルカさん!」
「たこるかちゃん、おつかれサマ」
彼女は、たこるかちゃんに向かって微笑んだ。
「あら、れおんさん。どうしたの?」
たこるかちゃんは、ルカさんにこれまでのいきさつを、手短かに説明した。
「そうなの!れおんさん、リンちゃんと“...玩具屋カイくんの販売日誌(192) リンちゃん+“はっちゅーね”の行方は?
tamaonion
“はっちゅーね”の人形を持った、リンちゃんに、どこかアヤシイおじさんは、話しかけつづけている。
「アナタもかわいいし、人形もカワイイねー。」
リンちゃんはちょっと困って、でも強気に応戦する。
「でも、おじさん。写真ばかり撮ってるけど、私が目的?人形が目的?」
おじさんは、ニコッと笑って答えた。
「ウ...玩具屋カイくんの販売日誌(189) リンちゃん攻防戦、開始!
tamaonion
ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人...玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!
tamaonion
お店の売り場には、コスメや、美容関連のアイテムが、いろいろ並んでいる。
それを、レイムさんは目を丸くして眺めている。
「ワタシ、こういうの詳しくないんだわ~」
そうつぶやく彼女に、後ろを歩いているぱみゅちゃんは、諭す様に言った。
「そうそう。あんたはちょっと化粧っ気が無さすぎるからネ。少しは知っとい...玩具屋カイくんの販売日誌(179) レイムさんのオカルト理論 (その1)
tamaonion
「はーい。コーヒー、入りましたよ」
ルコ坊がカップに入ったコーヒーを、レン君たちに運んできた。
ちょっと不思議な雰囲気の、りりィさんのお店「星を売る店・上海屋」
りりィさんを送ってきたレン君は、美味しそうにそれを飲んだ。
「いつも、美味しいね。ルコちゃんの淹れるのって」
「へへ、どーもありがとう」
...玩具屋カイくんの販売日誌(187) 困ったヤツの目的は?
tamaonion
ゆくりさんのお店で、バイトのレン君が、青くなっていた、その頃。
東京・有明にある東京ビッグサイトで、人気のイベント「雑貨&コミック・フェア」が開かれていた。
企業のブースをはじめ、コミックやフィギュアを作る有志や同人の人たちが、それぞれにブースを出展している。
会場のホールの一角に、移動式自動車のカ...玩具屋カイくんの販売日誌(182) コミックフェアで、ひと騒動
tamaonion
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
こんばんは♪ 早速拝読させて頂きました。
いやー、”ジローラモ”・れおんさんで、更に文中の行動を見ると、もう、”あの”ジローラモさん、そのもので、ついつい笑みがこぼれました。レオンというボカロがクリエイターさん達によってキャラクター付けされた背景で、ジローラモさんのナンパ行動を容易に想像できて、もう、面白くて!
でも、こちらのれおんさんは、単純な”ナンパ”ではなく、はっちゅーね人形が言うとおり、ちゃんと目的があるようですね~。真の顔が現れたとき、どんな行動に移るのか、楽しみです。
ではでは~♪
2013/03/17 20:43:28
tamaonion
enarinさん、メッセージありがとうございます!
>いやー、”ジローラモ”・れおんさんで、更に文中の行動を見ると、もう、”あの”ジローラモさん、そのもので、ついつい笑みがこぼれました。
イタリアの男性は、女性に声をかけないと失礼だと思っているフシもあるそうで(笑)、どうも、傍で見てると笑えますね。
でも、実際はシャイで内気なのがイタリア男性の素だ、と聞いたこともあります。
このジローラモさんは、どうなんでしょうかネ。
>真の顔が現れたとき、どんな行動に移るのか、楽しみです。
そういえば、モデルとなったジローラモさんも、本気で起こるとコワそうですよね。
外人さんは色々と、イメージが膨らみます。
また感想を聞かせてください!
それでは、また。
2013/03/20 22:50:31