ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人気なかったかな。それより、僕らのブースに、いなくて平気なの?」
「ええ。いま、兄がいるから大丈夫。商談とか、お客様の応対をしてもらっているの」
コヨミ君はそれを聞いて、思わず頭をかいた。
「そうでした。テト・ドールの商談をしてたんだよね。ゴメン、ゴメン」
●まず、こちらが大事!
すると、噂をすれば影ではないが、向こうから男の人がやってきた。
コヨミ君とテトさんは、彼を見て声を上げた。
「あ、ホソノさん」
さっき、コヨミ君が商談をしていた相手だ。
その男の人は言った。
「どうも、いまテトさんのお兄さんと話してきましたよ。“ナチュラル・テト・ドール”の事をね」
コヨミ君は、つぶやいた。
「ふむ。“はっちゅーね”の事より、まず“テト・ドール”の事を優先しなきゃ」
彼は、れおんさんに向って言った。
「なんか、すいませんね。商売の邪魔をしちゃって」
●悪いおっさんじゃ、なさそう
れおんさんや、リンちゃんのファンの男の子達は、やっと和やかな雰囲気になった。
「オー、コヨミ君、アナタは良い人デス!」
そんな様子を尻目に、りりィさんは、霧雨さんに話しかけた。
「景織子さん。きょうは、このブースで作品の展示なの?」
「うん、そうなの」
「でも、その“はっちゅーね”は?」
霧雨さんは聞かれて、抱いている人形をかかげた。
「うん。ブースを賑やかにしようと思ってね。ちょうど、リンちゃんも遊びに来るっていうんで、お客さん寄せに、持ってきたのよ」
「そうなの。随分、不思議なオシャベリをするのね」
りりィさんの言葉に、霧雨さんと、ブースの中に座っている駿河ちゃんは、ニヤニヤと笑った。
すると、また “はっちゅーね”がしゃべった。
「マア、でも、れおんっていう人、悪いオッサンじゃ、なさそうだネー」
それを聞くと、リンちゃんのファンたちは口々に言った。
「うんうん。ねえ、おじさん。ぜひリンさんと、この人形、キャラクター商品にしてくださいよ」
「さあさあ、リンさん、もう一回、“はっちゅーね”を抱いてください」
そしてまた、撮影会のようになってしまった。
コヨミ君は、思った。
「まあいいか。こっちも“ニュー・テト・ドール”で勝負だ。それにしても、変な人形だ、“はっちゅーね”は」ε=( ̄。 ̄;A
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ブクマつながり
もっと見る霧雨さんのブースの前で、ルカさんとテトさんは久々に声を交わした。
「元気?ルカちゃんのとこの商品、相変わらず、いい調子ね」
「テトのとこの、テト・ドールも可愛いよね」
仲良く話す2人。
じっさいには、テトさんの方がかなり年配なのだが、タメ口を聞く間柄だ。
2人ともその方が、気が楽であるらしい。
意気...玩具屋カイくんの販売日誌(193) リンちゃんキャラの取りっ子に!?
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“はっちゅーね”の人形を持った、リンちゃんに、どこかアヤシイおじさんは、話しかけつづけている。
「アナタもかわいいし、人形もカワイイねー。」
リンちゃんはちょっと困って、でも強気に応戦する。
「でも、おじさん。写真ばかり撮ってるけど、私が目的?人形が目的?」
おじさんは、ニコッと笑って答えた。
「ウ...玩具屋カイくんの販売日誌(189) リンちゃん攻防戦、開始!
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お店の売り場には、コスメや、美容関連のアイテムが、いろいろ並んでいる。
それを、レイムさんは目を丸くして眺めている。
「ワタシ、こういうの詳しくないんだわ~」
そうつぶやく彼女に、後ろを歩いているぱみゅちゃんは、諭す様に言った。
「そうそう。あんたはちょっと化粧っ気が無さすぎるからネ。少しは知っとい...玩具屋カイくんの販売日誌(179) レイムさんのオカルト理論 (その1)
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「はーい。コーヒー、入りましたよ」
ルコ坊がカップに入ったコーヒーを、レン君たちに運んできた。
ちょっと不思議な雰囲気の、りりィさんのお店「星を売る店・上海屋」
りりィさんを送ってきたレン君は、美味しそうにそれを飲んだ。
「いつも、美味しいね。ルコちゃんの淹れるのって」
「へへ、どーもありがとう」
...玩具屋カイくんの販売日誌(187) 困ったヤツの目的は?
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会場のホールの一角に、移動式自動車のカ...玩具屋カイくんの販売日誌(182) コミックフェアで、ひと騒動
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ヘルシー&美容雑貨のお店、「アディエマス」。
ふらりと遊びに来た2人組、ぱみゅちゃんとレイムさん。
お店に仕事で来ていたルカさんと、たこるかちゃんと、話に花が咲いている。
4人が今、見つめているのは、売り場の棚の上にマスコットとして置かれている、はっちゅーね人形だ。
人の問いかけに答えたり、なんだか...玩具屋カイくんの販売日誌(180) はっちゅーねの謎を解け!(レイムさんのオカルト理論?・その2)
tamaonion
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
こんばんは! 早速拝読させていただきました。
なんとかバトルは回避できたようで、よかったよかったです。でも逆に、ガチの商売バトル(複数企業が同じ場面で、それぞれのプランを見せて、どこの企業と契約するか決める場面。あれは企業漫画とかドラマとかで見ていても、怖いイメージがあります)って、こんなものではないのかもしれませんね。
とりあえず、はっちゅーねさんの声の主と、れおんさんとの関係も良い方向に向かって、更にファンも、まぁいつもの通り、イケイケの流れに戻って、ある意味ほっとしてます。
次回が楽しみです。ではでは。
P.S 前回のコメントで、”運営がどうのこうの”という、かなりピント外れのコメントをしてしまって、申し訳ありませんでした。このお話の場面設定とかちゃんと理解していれば、運営がどうの、という場面でない事は、一目瞭然でした。スミマセンです…。
2013/04/29 22:06:06
tamaonion
enarinさん、メッセージ有難うございます!
>でも逆に、ガチの商売バトル(複数企業が同じ場面で、それぞれのプランを見せて、どこの企業と契約するか決める場面。あれは企業漫画とかドラマとかで見ていても、怖いイメージがあります)って、こんなものではないのかもしれませんね。
そうですね。とくに全国展開で大量生産するナショナル・ブランドなどでは、ビジネスはまさに“戦い”になりますね。
それに比べて、リンちゃんに好意を持って、ファンの顔色を見ながら仕事を進める、れおんさんの野望は、まだ可愛いものです(笑)
>前回のコメントで、”運営がどうのこうの”という、かなりピント外れのコメントをしてしまって、申し訳ありませんでした。
いえいえ、とんでもないです。コメントをくれるだけでも嬉しいのに、謝ってくれたりしては恐縮です。いろんな意見が聞ける方が、刺激になるし、嬉しく思います。
また、ぜひ感想を聞かせてください!
では、また。
2013/04/30 20:58:55