霧雨さんのブースの前で、ルカさんとテトさんは久々に声を交わした。
「元気?ルカちゃんのとこの商品、相変わらず、いい調子ね」
「テトのとこの、テト・ドールも可愛いよね」
仲良く話す2人。
じっさいには、テトさんの方がかなり年配なのだが、タメ口を聞く間柄だ。
2人ともその方が、気が楽であるらしい。
意気込んでいた、れおんさんや、リンちゃんとそのファンたちも、しばし休戦、という感じでその光景を見つめた。
テトさんは、そちらを向き、ぐるりと辺りを見回して、ルカさんに聞いた。
「あれ、何か、新しいキャラクター商品をつくるの?」
●アンタと仕事したくないよ…
それを聞くと、れおんさんは満面に笑みをたたえて言った。
「そうなんデスヨー。イマ、リンちゃんたちと相談を、シテマシタ」
ルカさんは、苦笑いして言った。
「あら、あたしも初耳よ、れおんさん。リンちゃんと“はっちゅーね”のキャラクターを、うちでやりたいの?」
すると、後ろで見守っていた霧雨さんの、腕の中から、大きな声がした。
「あたしゃ、アンタと仕事したくなーいよ。この、エロオヤジ」
みんな、びっくりしてそちらを向くと、それは“はっちゅーね”がしゃべったのだった。
●ブースの前の混乱
それを聞いて、近くにいたコヨミ君は、思わず大声で笑い出してしまった。
「あっはは、どうも、れおんさん、人形さんには嫌われちゃったみたいだね。どうです、“はっちゅーね”クン。僕たちと仕事してみたら?」
それを聞いて、れおんさんは血相を変えた。
「オー、ナニを言うのデスカ、はっちゅーねサン。それに、コヨミ君も!」
思わず詰め寄ろうとする彼の肩を、ルカさんは軽く引き戻した。
「れおんさん、あまり興奮しないで」
テトさんは、目を丸くして、“はっちゅーね”を見ている。
いたずらっぽい顔をしたコヨミ君、そしてニヤニヤ笑っている霧雨さん、そしてちょっと混乱しているリンちゃんのファンたち。
ブースの前の異様な光景に、フェアの来場者たちは「何事か?」という顔で、通り過ぎていく。
その、人の流れの後ろで、その場を見つめるもうひとつの眼差しがあった。
さきほど、フェア会場にやってきた、上海屋のりりィさんだった。
りりィさんはつぶやいた。
「それにしても、 “はっちゅーね”がホントに喋ってるのなら、傑作だけどね…」ヽ( ´ー`)ノ
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ブクマつながり
もっと見る霧雨さんのブースに向かって、ルカさんがゆっくりと歩いてきた。
「ルカさん!」
「たこるかちゃん、おつかれサマ」
彼女は、たこるかちゃんに向かって微笑んだ。
「あら、れおんさん。どうしたの?」
たこるかちゃんは、ルカさんにこれまでのいきさつを、手短かに説明した。
「そうなの!れおんさん、リンちゃんと“...玩具屋カイくんの販売日誌(192) リンちゃん+“はっちゅーね”の行方は?
tamaonion
“はっちゅーね”の人形を持った、リンちゃんに、どこかアヤシイおじさんは、話しかけつづけている。
「アナタもかわいいし、人形もカワイイねー。」
リンちゃんはちょっと困って、でも強気に応戦する。
「でも、おじさん。写真ばかり撮ってるけど、私が目的?人形が目的?」
おじさんは、ニコッと笑って答えた。
「ウ...玩具屋カイくんの販売日誌(189) リンちゃん攻防戦、開始!
tamaonion
ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人...玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!
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お店の売り場には、コスメや、美容関連のアイテムが、いろいろ並んでいる。
それを、レイムさんは目を丸くして眺めている。
「ワタシ、こういうの詳しくないんだわ~」
そうつぶやく彼女に、後ろを歩いているぱみゅちゃんは、諭す様に言った。
「そうそう。あんたはちょっと化粧っ気が無さすぎるからネ。少しは知っとい...玩具屋カイくんの販売日誌(179) レイムさんのオカルト理論 (その1)
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「はーい。コーヒー、入りましたよ」
ルコ坊がカップに入ったコーヒーを、レン君たちに運んできた。
ちょっと不思議な雰囲気の、りりィさんのお店「星を売る店・上海屋」
りりィさんを送ってきたレン君は、美味しそうにそれを飲んだ。
「いつも、美味しいね。ルコちゃんの淹れるのって」
「へへ、どーもありがとう」
...玩具屋カイくんの販売日誌(187) 困ったヤツの目的は?
tamaonion
ゆくりさんのお店で、バイトのレン君が、青くなっていた、その頃。
東京・有明にある東京ビッグサイトで、人気のイベント「雑貨&コミック・フェア」が開かれていた。
企業のブースをはじめ、コミックやフィギュアを作る有志や同人の人たちが、それぞれにブースを出展している。
会場のホールの一角に、移動式自動車のカ...玩具屋カイくんの販売日誌(182) コミックフェアで、ひと騒動
tamaonion
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
こんにちは! 早速拝読させていただきました。コメント遅くなりましてスミマセンです。
早速、バトル勃発ですね! れおんさん、はっちゅーね(の声の主)に嫌われちゃいましたね。どう巻き返すのでしょうか!?
ちなみにコミケとかワンフェスだと、こういう”イザコザ”が喧嘩にまでなると、すぐに運営が駆けつけてきて、整理のために管理ブースに連れてこられ、最悪、来年から出禁になってしまいます。マジで怖いです。
さてはて、りりぃさんの不敵なつぶやき、この後、彼女がどういう行動に出るのか、楽しみです。
ではでは~♪
P.S なんか暖かくなったり寒くなったり、晴れたり雨降ったり、忙しい天気ですので、ご自愛くださいませ。私も無理ない程度に頑張ろうと思います。
2013/04/25 12:30:44
tamaonion
enarinさん、メッセージ有難うございます。
>ちなみにコミケとかワンフェスだと、こういう”イザコザ”が喧嘩にまでなると、すぐに運営が駆けつけてきて、整理のために管理ブースに連れてこられ、最悪、来年から出禁になってしまいます。マジで怖いです。
なるほど。ユーザーの出展する催しだと、運営の権力が強いですからね!
このお話のフェアは、もう少し企業系というか、専門展示会の様相なので、そこまで管理はないと考えてくださいね。
>P.S なんか暖かくなったり寒くなったり、晴れたり雨降ったり、忙しい天気ですので、ご自愛くださいませ。
ホントですよね。おまけに余震も多いし。狭い島国なんですから、もう少し平穏に暮らしたいですね(笑)
また感想を聞かせてください!
それでは、また。
2013/04/28 23:29:41