初めて綿あめを食べた日のことを覚えている
棒の先にいくつもの細い糸が絡まって膨れて
これはきっと魔法だって信じこんでいた
そっと口にすると甘いのが不思議だった
そして私は次の新しい綿あめを手にした
最初は熱くてか細い糸だったものが重なって
徐々に大きくなって色も付いてキレイだった
触れた唇から甘さが全身に広がるほどに
どこまでもどこまでも増える
いつまでもいつまでも甘くて
そんな風にワクワクした日々が
このまま続いていくんだと思ってた
いつの間にかもう綿あめは食べ終えてしまって
駄々をこねることも忘れてしまったかのように
きれいさっぱり魔法が解けたように消えて
それでも唇はその甘さを忘れてはくれない
懐かしくなってお祭の夜に綿あめを買ってみた
砂糖菓子にしては結構なリッチプライス
口にした瞬間糸が甘い雫になるのと同時に
押し出されるように涙がこぼれて止まらない
くりかえしくりかえし手繰る
あの時のあの時の甘さが
こんな風にポロポロと溢れても
これから私は耐えられるの?わからない…
きらめく花火の色がふわり綿雲に映るとき
「この気持ちも空で弾けたら良いのに」って
甘かった頃の思い出達はどんな色だろう
鼻をすすってため息ひとつ棒はごみ箱へポイ
もう甘い糸の雲から雨が降らないように
小さくさよならと呟いてようやく終わった
終わったんだ
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