「年齢設定は20歳かあ…」
「確かに、年齢設定が上なのに“妹”っていうのは違和感あるかもしれないな」
「あーあ、ついにオレにも妹ができたと思ったのになあ」
「ホーント、デキの悪い片割れのフォローから解放されるかなーと思って楽しみにしてたのに」
「なんだとォ!!」
「なによ!!」
がるるるとかふしゃーとか、よくわからない声を上げて威嚇し合う二人。
それを見たメイコはおもむろに近づくと双方の頭を鷲掴みにして仲裁に入る。
「はいはい、二人ともケンカしない。わかった?(意訳:これ以上騒ぐと両方ともブチのめすわよ?)」
「「は、はいぃぃ!!」」
穏やかな注意の言葉ではあったが、特殊素材の頭部骨格が軋むほどに込められた両手からの愛、さらにその眼光とともに秘められた心の声はしっかりと伝わったらしい。
「やっぱりお姉ちゃんはすごいな~」
「う~ん、さすがは拳王様」
「誰が拳王様よ!!」
その声とともにカイトの顔面にコークスクリューが炸裂し、食らったカイトは廊下の方まで
吹っ飛んでいった。
それを見届けた後、気を取り直して改めて話し始めるメイコ。
(やっぱり拳王様じゃん!)と残り全員が思ったが、当然ながらそれを口に出す者はいない。
「で、年齢設定の話だけど…そんなに妹とかにこだわらなくてもいいんじゃない?
確かにミクも含めてあなたたちの方が年齢設定では下だけど、この世界における先輩である
ことは間違いないんだし。
それに、あたしも今の今まで忘れてたんだけど、あたしたちってただ単に仕事の同僚ってだけで
本来は家族でもなんでもないでしょ。
幾人かのマスターやリスナーさん達の中にはあたしたちを家族扱いしてる人もいるから
仕方ないかなと思うときもあるけどね」
「う~、そりゃあそうだけど」
「やっぱり…ねえ?」
「だよなぁ」
「う~ん…」
メイコから今までの暮らしの否定とも取れるような発言を受け、驚くと同時に落ち込む一同。
本人はその様子を見て、ちょっとバツが悪そうに頭をかきながら話を続ける。
いつの間にか復活したカイトが自然に混ざっているのはさりげなく無視だ。
「…まあ、自分で言っといてなんだけど、あたしも今の家族同然の暮らしは嫌いじゃないわ。
というかむしろ嬉しいし、今のまま家族として付き合っていきたいとも思ってる。
ルカに対しても、彼女が拒否しない限りはそういう態度でいこうと思ってるわ。
でも、仕事に対しては別。あくまで同僚として公私のけじめはきっちりつける。
それが、マスターや私たちの歌を聴いてくれるリスナーさんたちに対する使命だと思うの。
…まあ、ちょっと言い方がきつかったかもしれないからその点は謝るわ」
「…? なんだかよくわかんない」
「一言で言うとね、ミク。
『今まで通りで行こう』ってことだよ」
「そっか…そうだよな。確かにオレ達は厳密には家族じゃないけど、それで何か変わるわけでも
ないしな」
「てかホントはあたしとレンは双子どころか姉弟ですらないんだけどね」
「お前、人がせっかく綺麗にまとめにかかってるのに混ぜっ返すんじゃねえよ」
「それと呼び方だけど、あなた達とルカで好きなように呼べばいいと思うわ。
そのうち適当なところに落ち着くでしょう」
その言葉を受け、早速ルカの呼び方について相談を始めた年少組(ミク・リン・レン)の姿を
横目に、互いに笑顔を交わす年長組みの二人であった。
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混ぜ合わせ 掛け合わせ やだやだ これじゃないな
継ぎ足して 継ぎ接ぎの 言葉で ひとつずつ 飾りたてましょ
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あれ足して これ足して ますます 物々しいな
混ぜ合わせ 掛け合わせ だめだめ これじゃ嫌だな
繰り...アダプテリカバリー
太田PoN太
いったいどうしたら、家に帰れるのかな…
時間は止まり、何度も同じ『夜』を繰り返してきた。
同じことを何回も繰り返した。
それこそ、気が狂いそうなほどに。
どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
私も、皆も考えた。
そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き...Twilight ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
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