「なぁ、リン…これって…」
「全部聖霊がいる場所で取れるよな?」
「何だって?じゃあ一石二鳥じゃねぇか!お前らまだ聖霊と契約してねぇんだろ?」
「あぁ、聖霊には会いに行った事はあるが、いずれも契約は断られたよ…」
「いったい何でだよ?」
「今は契約すべき時ではない、世界に危機が迫ってる時にまた来なさいって言われたの」
「今がその時かどうか解らねぇけど、行くだけ行って確認したいと思う」
「まずは何処に行けば良いの?」
「とりあえず此処から1番近いのは風の聖霊がいる『疾風の渓谷』かな?」
「とりあえずそこに行ってみようぜ!ミキ、留守番頼めるか?」
ミキは設計図に悪戦苦闘しながら後ろ向きに手を振った。カイトはそれを見て全員の顔を確認してから頷いた。

「リン、レン、案内頼むぜ!」
「任せといて!」
「あいつ、すっかり板についてますね。テトさん」
「…」
「テトさん?」
「あ、あぁ。すまない」
「テトさんいったいどうしたんですか?」
「何でもないよ、行こう!」
テトはルコの前に出てルコにウインクした。
「(なんだ?この笑顔…うっ!鼻血出そうだ…。駄目だ俺!落ち着け!)」
「ルコ、顔がにやけてますわよ」
「いやらしいですわ」
リツがルコの肩を叩いて呆れた目でルコに言った、続けてルカも蔑むような目でルコを見てからスタスタと歩いて行った。

「(あの本は禁書のはず…どうしてカイトがあの本を?あの本は《聖魔戦争》の全貌を書いた本だぞ?確かにラグナシアの事は書いてあるが…)」
「テトさんも不信に思ってたんですか?カイトの事…」
「ミク?知ってたのか?」
「えぇ、さっきカイトが図書館に行ってる時に、怪しく思ったんで後をつけて行ったの。そしたらカイトがあの本を見ると急に表情が変わって…」
「あいつ…まさか記憶が戻ったのか?」
「そんなはずないと思うわ。でも何かを知ってるのは事実みたいだよ」
「お前ら遅いぞ!早く来いよ!」
「今行くよー!」
「考えても仕方ないわ、行きましょうテトさん」
ミクはテトに首を傾げて笑った。テトはうんと頷いてカイトの元に走って行った、ミクも後を追いかけていく。

「皆揃ったな?よしっ!じゃあ移動手段はどうする?またビッグスクーターで行くのか?」
「まぁ、俺は構わんが…」
ルコはちらっとミクを見るとミクはルコを睨んでリツに向かって走って行った。
「ねぇリツさん、私は車が良いわ。乗せてってくれる?」
「えぇ、良いわよ。じゃあミクとリン、レンは車ね。他は?」
「ハク、ビッグスクーターの運転の仕方解るか?」
「何とかなると思います」
「心配だな…。まぁ、壊さないなら良いけどさ。ネルとルカは?」
「私は一応乗れますけど…ちょっと不安かな?」
「私は乗れないからハクの後ろに乗せてもらうわ。ネルも一緒にどう?」
「そうね。そうしてもらうわ、でも…義姉さんの運転…」
「何か言ったかしら?ネルぅ?」
ギロリとネルを睨むハク。
「や、やだなぁ…何も言ってないですよ!お義姉様」
「そう」
「じゃあ僕はカイトやルコに乗せてもらうかな?」
「テトさんが俺の後ろに…」
「ルコ、何鼻の下伸ばしてんだ気色悪ぃ…」
「んだと!文句あんのか!テトさんが俺の後ろに乗るんだぞ!それがどんな事か…」
周りにいる全員がルコを冷たい目で見つめる。
そして口を揃えて皆が言う。
「全く男って奴は…」
「お前のせいで俺まで変な風に見られたらどうすんだ!もういい!俺が運転する!ルコ、教えろ!」
「何でお前が…」
「ちょっと耳貸せ」
カイトはルコの顔を近づけ、耳元で囁いた。
カ「俺が運転したら、後ろはお前とテト、二人きりだぞ?俺がスピードを出せばテトがお前に抱き着いたり…」
「待て!それ以上言うな!興奮しすぎて死ぬ…。仕方ねぇな、カイト、教えてやるからちゃんと覚えろよ!」
「俺の記憶力をナメるな!一度見たモノは忘れねえ!」
「じゃあ昨日着替えてると知らずにミクの部屋を開けた時に見たミクの下着の色は」
「もちろん覚えてるぜ!ピンクの…いてっ!」
ミクの短剣がカイトの腕に命中する。ミクは顔を赤らめてカイトに罵声を送る。
「馬鹿っ!絶対言わないでって言ったじゃない!このバカイトっ!信じられない!リツ、こんな馬鹿ほっといて早く行きましょう!」
リツはクラクションを一回鳴らしアクセルを踏み車を発進させる、ミクは窓を開けカイトに舌を向けて挑発した。

「俺達も行くぞ!さぁ、テトさん後ろへ」
「先に車に乗っておけば良かったかな?はぁ…」
テトはため息をついて渋々とビッグスクーターに向かって歩いて行く。
「よし、準備OKだ!行くぞっ!」
カイトのビッグスクーターが轟音と土煙を舞い走って行った。
ハクは腰にかけてあった鞄から飲み物を一気に流し込み、飲んだ飲み物を後ろに捨てると、エンジンを吹かし、ハンドルを握った。
ルカは捨てた飲み物を見て驚愕した。
「BOURBON?バーボン!」
「まさか義姉さん…お酒を飲んだんじゃ…」
「ウフフ、しっかり掴まってるのよ!ネル!ルカ!」
「やっぱりぃっー!ルカさん、ちゃんと掴まっておかないと死ぬよ?お酒飲んだら義姉さん性格変わっちゃうんだ…キャッ」
ハクを有無を言わさずアクセル全開でカイトを追いかけて行った。
「喋ってると舌を噛むよ!ネル!」

ライセンス

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【第3章~命の重さ(7)~】失われし世界と運命の歌姫~Diva of Destiny and The Lost World~

閲覧数:89

投稿日:2010/06/27 22:14:56

文字数:2,194文字

カテゴリ:小説

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