―正直、何があったなんて聞かれたら何も答えれない…
瞬く間に俺達を苦しめたシリウスは目の前から消えていた。
そして、あの技を放っている時…俺にはルコの背中に翼が見えたような気がしたのは気のせいだったのだろうか。
「はぁはぁ…。やっぱり身体に応えるな…」
深い溜め息をつきながら地面にぐったりと座り込むルコを囲むように仲間達が駆け寄る。
「ルコっ!お前すげぇな!あんなの隠してたなんて知らなかったぜ?」
「別に隠してたわけじゃねぇ。ただ、使う機会が無かっただけだ」
「確かにあんな大技、普通使う機会ないわよね」
「アハハ。とりあえずお前はすげぇよ!」
カイトは笑いながら、ルコの背中をパンパンと叩く。
「痛い!いてぇって!カイト。止めろって」
「お?悪ぃ悪ぃ」
カイトが手を止めると、テトがルコの目の前へゆっくりと歩き、目の前で立ち止まった。
バッチーーーン!
静寂を切り裂くような鋭い音が響いた。
テトの行動に一同は唖然としたが、一番驚いたのはやはりルコだった。
「テ…トさん?」
頬に手を当て、何が起こったか解らない状況を一刻も早く飲み込むべくゆっくりとテトの顔を眺める。
「バカっ!バカバカバカ!あんた…もっと自分の命を大事にしなさいよ!今回は僕達がいたから良いけど、これからこんな事何回も続ける気?心配するこっちの身にもなりなさいよ!」
「テトさん…」
テトの零れ落ちる涙にルコは自然と目を反らす。
「ルコ…お願いだから無茶しないで!ハクに言われた事を思い出して?残された者の気持ちは解る?僕がどれだけ苦しむか。僕だけじゃない…此処にいる皆がどれだけルコの事愛してるか君に解る?もう誰も失って欲しくないんだよ…。メイコ師匠のように…もう、目の前で誰かが死ぬのはゴメンだよ…」
「テトさん…本当にすみませんでした。だからもう泣かないでください。これ以上テトさんの泣き顔は見たくありません…」
そう言うと静かにルコはテトを抱きしめた。ルコの頬が段々赤くなっていくのが良く解る。
皆はルコ達を気遣って静かにその場を離れた。
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