一緒の家から出発する以上、ほぼ必然的に私達は一緒に登校する。

「あ！」

「何？」

「数学の教科書忘れたぁ・・・」

隣の美少ｎ・・・隣の悪魔はため息をついた。

「お前マジ天然か」

その間、いろんな人の視線が自分に集まってきてるなんて。
やっぱりおっちょこちょいな私は気付いていない。


＊


「リィィィィィィィン！！！」

「は、ほぇ、グ、グミ？どうしたの？」

「どうしたもこうしたも無いッ！」

異様にテンションの高い友達、グミ。
凄く仲がよくって、一緒に居ると凄く楽しい。

「どういうこと？あのレン君と登校するなんて！みんなリンに嫉妬してるよ？」

「ぁ」

そっか。レンはイケメンだから女子にも人気が高いんだったね。
軽く納得。

でも嫉妬とかマジ無理。
どうしよう、明日靴の中に画鋲入ってたら・・・

「ネルとかマジで狙ってるらしいよ・・・大丈夫！リンはこのあたしが命を賭けて守ってやんよ！」

はあ。グミは全くオーバーなんだから・・・

「で？どうなのリン？え？なんでレン君と登校してんの？白状しなさい。白状すればカツ丼食べさせてあげる」

刑事ドラマの見すぎです。

「そっか、まずそれを説明しなきゃね」

私は昨日から朝にかけて起きたことをグミに全部話した。
次第にグミの顔が少しずつ楽しそうになってきた。

「へぇ・・・で？リンはレン君のこと好きなの？」

「好きとか嫌いとか・・・よくわかんないし」

「ふーん？リンてやっぱ子供？」

「子供じゃないし！」

「はいはい。少なくともリンよりあたしのが大人だね。ミヤがいるし？」

どや顔すなッ！

「でもホントに、ネルとその仲間には気をつけなさいよ、潰されるよ」


＊


放課後、グミの忠告どおりになった。
机の中に手紙を発見した。

『放課後、話があるから体育館裏に来るように――亞北』

「グミ、これ・・・」

「いい度胸してんじゃん・・・ネル・・・あたしのリンをボコろうなんて・・・」

やべぇ。グミの喧嘩根性に火がついた。
こうなったら誰にも止められない。

「あの、グミ？とりあえず、私は話聞いてくるから・・・」

もしかしたら何でもない話かもしれないし・・・


＊


「遅かったね、リン」

はい。来るまでに３回も迷いました。

いや、コレ何でもない話じゃないでしょ。
バックに５人・・・ネル合わせて６人か。

さっきグミに相談してよかった。
それでも６対２じゃ心もとない。

「話って何？」

「レンのコト・・・あんた、何で一緒に登校してんの？」

「どうだって・・・いいでしょ」

あんまり一緒に住んでることが広まっても困る。
レンやその両親にも、私の両親にも迷惑がかかるし。

「あんた達・・・付き合ってんの？」

「別に・・・そんなんじゃないけど」

ネルの目がつり上がる。
あーあ、勿体無い。そんな怖い顔しなければすっごくかわいいのに・・・
心の片隅で少しそう思った。

「じゃあ、リン、レンのこと好きなの？」

バックにいた子の一人が聞いた。

「そーゆーの・・・分かんないし」

「とにかく、レンはあたしが狙ってんだから邪魔しないで。関わらないで」

「何で、そんなこと私が決める！」


「その通りだぁッ！」


「うわっグミ！」

竹刀なんか持っちゃってるよ！
誰から借りたの、それ？

「あ？作者だよ。フツーに無断だけど」

あ、本当だ。「侑子」って書いてあるね。

「あたしの相棒返せー！」

あ、作者の声だ。初登場おめでとう。

「げっまずいやつが来た！とりあえずリン、そゆことで」

「そゆことでって、は？え、ちょ、待ちなさいよ」

あのね、グミさん。
もう少し間を考えませんか。

「ま、いーじゃん？あ、下駄箱の所でミヤと一緒にリンの旦那が待ってるよ」

「旦那じゃないしｗ」

今回はグミのおかげで何とかなったけど、一人のときは怖いな・・・
同じように他の人からも思われてるんだろうな・・・

少しだけそんな心配をしたけど結局私は開き直った。
得な性格してるな、私。