「…カイト、いい加減諦めたら?」
いまだに冷蔵庫の前でへたり込んでいるカイトに私は声をかけた。
「い、いいじゃん。ほっといてよカイコ」
カイトは慌てて私の手を払う。…目が赤く腫れている。
「カイト、無理してるでしょ」
「…ほっといて」
「………」
私は黙ってカイトの隣に座った。
「あのさぁ、素直にならないと辛くないの?」
「………っ…………」
カイトは膝に顔をうずめた。……思い当たる節があるらしい。
「辛いならマスターに言えばいいじゃない。チョコが欲しいって」
「………………」
返事はない。
「ただそれだけのことでしょ?…どうして…」
「カイコに、何が分かるの?!」
「…………っ!!」
初めてカイトが声を荒げた。
「ずっと言いたいって思ってる。なのにマスターを目の前にすると黙りこんだり嫌味を言っちゃったり、しちゃうんだ…」
「…カイト…」
目から大粒の涙がぼたぼた流して、カイトはさらに叫び続ける。
「俺はマスターが…好きだよ。大好き…だけどマスターは…俺のこと…嫌って…」
「…それは違うよ」
私は、思わず声を遮った。カイトがびっくりした様子でこちらを見ている。
「私はマスターと色々話したよ。学校のこと、音楽のこと、あんたやワンちゃんのことも…だけど、愚痴を言う時も心から言ってたことは一度も無かった」
「……え…?」
「いつも楽しそうで嬉しそうに色んなこと話してくれる。喧嘩した時も新しく曲を教えてもらった時も…あんたはそんなマスターが好きになったんじゃないの?!」
「………!!」
「………………がんばってよ………応援、してるから」
「カイコ…あり、がと」
カイトは静かに涙を拭った。
…よかった。カイト、やっぱり言いたいこといっぱい溜まってたんだね。…
…たまには、私にも本音をぶつけてほしいから。
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