あの春 一枝の朱鷺(とき)
頬染めて微か 微笑んだ貴女に
出逢った事を後悔出来たなら
或いは 貴女を苦しめたり等しなかったやも
知れぬのに

何をや思ふと 問はるれば
貴女様の倖せをばと
詞で弌つで 通ずる事さへも
只愛(かな)しき恋情でした

紅を佩いた唇 横一文字
遊び女達の契りの様に
一番小さな此の指 壱つで
気丈な貴女を慰められるのならば
何も惜しみはしないのに

(サビ)
忍び忍んで忍ぶれど
色に出にけり我が恋は
貴女に似合はぬ今生の藍
春を色取る 躑躅(つつじ)の襲(かさね)

きつく毅く烈しく
私の指が千切れる程に
其の絲(いと)を絡ませて下さい
私が離れる事の無い様に



あの宵 八掛(はっかけ)の緋
聲(こえ)も上げず只 袖を濡らす貴女に
掛けるべき詞も見付からぬ侭
或いは 遂げられぬと知って始まる恋は
悲劇でしょうか

叶う道理が 在りもせぬ
身の程知らずな恋でした
其の手が私に伸べられた事さへも
赦され難(がた)き僥倖でした

泪の浮いた目許 唯一雫
小供騙しと判って居ても
眼には見得ない此の絲 一縷で
華奢な貴女を支えられるのなら
何も構いはしないのに


(サビ)
忍び忍んで忍ぶれど
色に出にけり我が恋は
貴女に似合はぬ群情(ぐんじょう)の青
春を色取る 躑躅の襲

きつく毅く烈しく
私の指が千切れる程に
其の絲を絡ませて下さい
私が離れる事の無い様に


貴女が私から 眼を逸らすのを知って 頭を下げました
赤く摺れた目許にも 気が付いて居りました
貴女が 其の雫を溢したりしない事も 知って居ました

そして奪う事が そんな貴女を幸せにしない事も

罪も傷も愛しい恋でした


恋風を連れ 濃い闇に解く灰桜
其れでも消えぬ 恋の名残は
色深く 此の身 壱つに

だから貴女は どうぞお達者で
私が此の頭を上げる前に
何もかも忘れて…


きつく毅く烈しく
私の指が千切れる程に
其の絲を絡ませて下さい
私が離れる事の無い様に・・・

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

青い恋

裏設定的妄想SSはこちら⇒http://piapro.jp/content/b4p3om812w9b8py2

太朗様の絵(http://piapro.jp/content/q3ce8pwscmuz5iof)に恐ろしく惚れ込んでやらかしました。
あたしの文字は読まずともこの絵は見てほしい。
サビは太朗さんの絵の中にある言葉から、漢字表記を一部変えさせて頂きました。

色にこだわった。
絵の露出してない艶かしさに近づきたかった。挫折に終わった。


■こんじょうのあい ⇒ 今生・紺青・懇情 / 愛・藍
音だけ聴いたら色々に聞こえて面白いと思う。ダブルミーニング大好き。
でも「紺青の藍」だと意味が重複する。

■躑躅の襲 ⇒ 春に用いられる着物などの赤と青の組み合わせのこと。
カイメイ前提っぽくなってしまうけど、重なった赤と青の着物のイメージで
そこはかとなく艶めかしさを出したかった(笑)
実際は赤と緑っぽい色の組み合わせっぽいけど、(むしろ赤と青なら葡萄染(えびぞめ)の方が正確かも)けど太朗さんの絵のKAITOも緑着てるしこれはこれでいい。
緑の中の青みの程度は曖昧ということで。
余談だけど太朗さんのKAITOの目許の朱色に触れないのはあえてそうしてます。

■朱鷺 ⇒ 朱鷺色。薄いピンク。
活けられた桜。

■八掛 ⇒ 着物の裏が見える所(袖とか裾とか)につける色のついた裏地。
これも捲っちゃった感じで艶かしさを表現したかった。

■濃い闇 ⇒ 恋病み
先の無い恋のイメージ。

■ぐんじょう ⇒ 群情は造語。
『群生』は全ての生き物のこと。『群青』は色の名前。

■1 ⇒ 弌・壱・一
文脈の中で一番しっくり来るものを何となく選びました。よって「1」の漢字は変換可です。


※改変の際は、曲の為の語呂や文字数を合わせ、サビなどの構成順の変更程度にお願いしたいです。

閲覧数:541

投稿日:2009/02/12 13:13:44

文字数:845文字

カテゴリ:歌詞

  • コメント4

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  • 5(ゐつ)

    5(ゐつ)

    ご意見・ご感想

    こんばんは、巫女です。

    やはり和風、特に僅かにでも現代風から離れると古典に近くなりますから、言葉選び等は難航するのでしょうね。挫けず(?)尽力したいちこさんはやはり凄いです。
    作曲者を募集するとのことで掲示板を閲覧してきました。他力本願ではありますが、これは曲として新たな生命を吹き込んで欲しい一作ですね。
    力添えを何もできなくて本当に悔しいですが、せめていちこさんと太朗さんの応援をさせていただきます。素敵な作曲者様がこの作品を見出してくれますように!

    同じ作品に二度メッセージを送る形となって申し訳ありません。失礼しましたっ(コソコソ

    2009/02/12 23:09:07

  • 壱號 ‐いちこ‐

    壱號 ‐いちこ‐

    ご意見・ご感想

    太朗様***

    こんばんは!
    報告前から勝手に公開していたこんなに拙い作品を快く受け入れて頂き、
    こちらこそ本当にありがとうございました。

    この詞は太朗さんあってこその、
    あの雰囲気のある絵に惚れ込んで、インスピレーションを刺激されまくってしまった結果です(笑)

    ここで云うのは何ですが、実は今までにも、
    新着のサムネイルから気になる!とクリックしてみると太朗さんの作品、という事が何回もあったので、
    もしもまた何か新しい作品が生まれるとしたらファンとしては大変嬉しいです。
    どんどん描いちゃって下さい(笑)

    コメント、本当にありがとうございました!

    2009/02/12 22:51:27

  • 壱號 ‐いちこ‐

    壱號 ‐いちこ‐

    ご意見・ご感想

    巫女様***

    初めまして!コメントを頂いて吃驚しました。
    こんな辺境の地まで来て下さる方も居るのですね(笑)
    高校以来の古語辞典を引っ繰り返し、
    ネットの類義語辞典とその他サイトを巡り巡ってやっとこの程度ですが
    何だか褒めて貰って恐縮です。
    初めての事だったので、嬉しくてついスレッドにて作曲者募集を掛けてみました。

    SSは、元々文字書きなので私の場合ほとんど常にあります。
    じゃないと部分を切り取る歌詞は何が何だか判らなくなってしまうのです。
    ただ、今回は太朗さんの絵を見て、そこの短い文書を読んだら後は迸る様に出てきました。
    何たって妄想ですから(笑)
    それほどイメージを掻き立てる絵に出逢えた事は本当に、私もラッキーでした。

    コメント、本当にありがとうございました!

    2009/02/12 22:23:24

  • 5(ゐつ)

    5(ゐつ)

    ご意見・ご感想

    はじめまして、巫女と申します。

    …とんでもない逸品に遭遇できた己の幸運を讃えたい。これは、凄い。
    和風歌詞を参考にしたいと思いやってきましたが、これは参考にはできません! いい意味で! 代わりに崇拝させていただきます!
    ストーリー性が非常に強いと思ったらSSまで用意されている周到さ…しかも文章も巧みすぎです。ありがちな悲恋にありがちな赤い糸の話なのに、何故ここまで洗練され斬新な作品となるのか…(感嘆)私の脳では理解できませんorz
    主題でもあり、作品のモチーフとなったKAITOの絵(リンクよりジャンプしました。絵を見ると作品の深みが増しますね…)にもある赤い糸に纏わる戒人の独白に感銘を受けました。良く考えられていて、やはりこの箇所が秀逸な作品たらしめているのだと思います。再読を重ねましたw

    本当に良作をありがとうございました! 長文だらだらで申し訳ないです(・×・`)
    失礼しましたっ(コソコソ

    2009/02/11 23:48:41

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