「で?」わたし、初音ミクは尋問中であります。
「で?って、なんだよ?」
そう言ったのは、とぼけた顔したマヌ・・・間違えた神木がくぽ。
「なんだよじゃないでしょ!わかるでしょ!さっきのケンカのこと聞いているに決まってんじゃない!!」
と、言ってわたしは机の上に置いてある蛍光灯で神木の顔を照らした。
「さあ、洗いざらい話しなさい!思う存分ここに吐いて!」
神木は眩しそうに(というか絶対眩しい)目を細めて、手で顔に影を作りながら言った。
「そんなこと言われてもどこから話せばいいのかわかんねえよ」
「じゃあ最初から!」
そんなやり取りをしているのはここ、私たちの部室、ミステリー研究会。
ガラガラ・・・(ここの学校の建物はちょっと古いので音が響く)
ドアの方を振り向くとルカが、箱を持って立っていた。
「も~ミクったら、刑事ごっこもいい加減にしておきなよ~。神木くん、まだ手当してないんだから」
と、言いながら神木の隣に座った。
「別にそれほどのケガはしてないぞ」
「あら、奇遇ね。わたしもそう思ってたわよ」
「お前に言われると腹立つな、初音」
「ほらほらじっとして!保健室の先生に救急箱もらってきたんだから。動いたらできないでしょ。手、じゃまだよ」
ルカが消毒液の独特の色に染めた脱脂綿をピンセットでつかみ、神木の顔に近づけながら言った。
神木は(偉そうにも)それを押しのけながら
「別にいいっていってるだろ。それに、巡音、お前の手当を受けるのは不安だ」
「む~、それってどういう意味なの?ミク何とか言ってよ~」
「神木、ルカは手当、得意だから大丈夫よ」
「うんうんミクの言うとおりだよ。昔からミクがしょっちゅう転ぶたびに手当してたから大丈夫よ!」
満面の笑みのルカ。部室のみんなが一斉にわたしの方を向く。ひぃ~~・・・。
「今はそんなことないんだよ?ほ、ほんとだよ?」
「そういえば、その膝の絆創膏どうしたの?」
と、青峰カイト。
「あれ?なんでこんなところに絆創膏が!?みみみ、見たことないなああああああ」
「もう、ミクったら何いってるの?昨日もそこの道で転んだでしょ」
「るるるっるるrっる、ルカァァァァぁああああああ」
わたしは思わず頭を押さえて悶絶した。
そんな間に、ルカは着々と手当を進める。
「いてッ」
「ああ、染みる?我慢してね~、はあい。いい子いい子。傷口からバイキン入ったら大変だからね~」
「なっ!!ガキ扱いするな!おい初音、こいつをどうにかしろよ」
こういうのは白い目でみるに限る。
「それで神木くん」
そういったのは、ミステリー研究会部長、緑絵グミ。
両手を組み、そこに顎を乗せているのが、なかなかさまになっている。
「そろそろ事件の始まりを教えてもらえるかしら」
「・・・ああ」
うちのクラスは運動部が多くてな。クラスのほとんどの奴はHRが終わるとすぐに部活に行くんだ。
え?俺はどうなのかって?適当に時間つぶしてから・・・いって!何で殴るんだよ!
・・・おい、鏡音。この菓子やるからそいつ(初音)押さえといてくれ。
で、トイレに行って帰ってくるとクラスメイトは誰もいなかった。
ただ鞄が一つ、教卓の上に置いてあったんだ。
普通に置いてあったら俺だって触らないさ。
ズタズタになってたんだよ。見るも無残にな。具体的にって?そうだな原型を留めてなかったって言えばわかるか?
この学校の鞄には間違いないから、誰のかと思って中を見ていたら、
「ああ!!オレの鞄!!!!」
後ろから声がして振り向くと、クラスの奴が立っていたんだ。
そいつがズカズカとこっちに歩み寄ってきて、
「お前、よくもこんなにしてくれたな!」
とかって、言いやがったんだよ。そうだろ?冷静さが無いんだよな。
「おい、俺はそんなことやってない。たまたま鞄が置いてあって、誰のか見ようとしていただけだ!」
あいつ、頭に血が上ってたんだな。俺の話を全然聞かねえ。
しかも、
「最近の小人の正体だってどうせお前なんだろ、神木!」
・・・ところで、小人って何だ?
・・・・ふうん、そんな噂があるのか。子供だな。コミュ障とか一言多いぞ、鏡音レン。
で、あのケンカにつながるんだよ。
「日頃の行いのせいね。そんなことを言われるのは」
と、グミちゃんが言う。神木は、少し顔を背けながら、
「・・・そんなことわかってる」
と、言って、長い髪の毛をぐしゃぐしゃにした。
「で、その他には、その生徒はなにも言ってないの?」
と、わたしは聞いた。
「・・・確か、中に入ってた記念コインのコレクションがないって言っていたな」
「コレクション?」
グミちゃんが聞き返す。
「ああ、ズタボロ鞄にされたのは斎藤って言って、硬貨愛好部に入ってるんだ」
みんな黙る。
・・・
・・・・
・・・・・
「なにそれ」
「絶対にこういう時に沈黙を壊すのは初音さんだよね」
と、いつもの笑顔の青峰くん。顔が少しあったかい。
「そ、そんなことより、赤原先せ」
「あるわよ、その部活」
と、先生は左手の赤いマニュキアの具合を確認する。
「そうですか」
「神木君」
グミちゃんが聞いた。
「あなたは本当に何もしていないのよね」
また、沈黙に包まれる。
神木が口を開く。
「ああ、俺は何もやってない。あの鞄を見つけただけだ」
・・・う~ん証拠が何もないから何とも・・・・・あ!
「グミちゃんいい方法があるよ!」
そういってわたしはルカの方を向いた。
「ルカ、手!」
「うんわかったよミク!神木君、手借りるね」
ルカは神木の右手を自分の両手で包み込み、目を閉じた。
「な、何だよ。おい」
「シッ。静かに」
・・・
・・・・
・・・・・
ルカが静かに目を開ける。いつも思うけど、その眼はどこか遠くを見つめているように見える。
「大丈夫。脈拍、呼吸、震え、全部ふつうだよ」
「そう、ありがとう。もういいよ」
ルカは神木の手をそっと放した。
「巡音さん、今のは・・・?」
グミちゃんが珍しく困惑顔で聞いた。
「あれ、話したことなかったけ?」
と、首をかしげるルカ。
「わたし、人の手をこうやって握ってうそを見抜けるんだよ」
と、言った。
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