＃２７－４「みんなのもとへ」



その日の夜

寮にカイトとメイコが戻ってきた


メイコは気まずそうに、玄関でただいまといった


「おかえり～！」


リンがものすごいスピードであらわれて、メイコにぴょんと飛びついた


「リン、ごめんね。心配かけて」

「ううん、いいの。メイコ姉、ちゃんと帰ってきたんだから」


リンはメイコにすりすりと甘える


「メイコさん、おかえりなさい」

「ルカ、ごめんなさい…迷惑かけたわね」


メイコはルカの目を見ていった


「大丈夫です。がくぽさんがみんなをまとめてくれましたから」


ルカが笑顔で答える


「がくぽが？」


カイトが【まさかぁｗｗｗ】といわんばかりに鼻で笑った


「そうだよ～！がくぽったら、私やミク姉に怒ったりしたんだよ～！がくぽのくせに！」

「ははは、それは災難だったわね、リン」


メイコが笑った

リンとルカは目を合わせてにっこりとした








リビングに入ると、他のみんなもメイコの帰りを待っていた


みんなが口々におかえりといった


「リン殿！聞こえたでござるよ！なんでござる！がくぽのくせにとは！！」

「え？ははは…なんのことかなぁ～」


とぼけるリン


「え？そんなのきこえた？がくぽの自意識過剰の被害妄想じゃないの？ね、みんな！」


とレンがリンを援護すると、みんながいっせいにうなずいた


「ええええええ！！！！みんな、ひどいでござる！！」

「はははは」


カイトは、レンとリンの仲が前のように…むしろ前よりよくなっていると安心した











その日の深夜…ハクはある決意を持ってメイコの部屋を訪れた


「ハク、今回は、あなたにも迷惑かけたわね」

「いえ……あの…メイコさん…」

「何？」


ハクの真剣な表情に、メイコも真剣に話をきこうとした


「私……カイトさんを……諦めようと思うんです…」

「え？！ど…どうして？」


ハクの想いもしない発言にメイコは驚きを隠せない


「…今回の一件で…確信しました…私では、メイコさんに勝てないって…」

「え？」

「今回のことだけじゃありません…近所のお祭りの時だって…メイコさんが風邪を引いた時だって…」


メイコは黙ってハクの話を聞く


「私では…メイコさんとカイトさんの間に入れません…なので…」

「だから、あきらめるの？！それでいいの？！」


メイコは強い口調でそういった


「……はい」

「……そう」


2人は座ったまま下を向いた

メイコは失望していた

親友であり、好敵手であるハクが、こんな簡単に諦めるなんて…

その程度のことだったのかと……




「でも…私…メイコさんとカイトさんの幸せを願ってますから」


メイコはハクをみてはっとした

ハクは目に涙を浮かべ、一生懸命笑っていた


気持ちを伝えずに負ける……くやしくないはずがなかった


「ごめんね…ありがとうハク…」


メイコはハクを抱きしめて、ハクが泣きやむまで一緒にいた












翌日のいつもの休日の早朝…

【ここも久しぶりね。ミク、元気かしら？】

寮の前に立つ一つの人影があった……