「誰だ!」
「名乗る名前など無い!」
男は勢いよく刀を振り、カイトを振り払う。
「カイトさん!大丈夫ですか?」
ハクは銃を構えて男に撃った、あいにく弾は逸れてしまったが、跳弾が男の顔をかすめた。男は鋭い目つきでハクを見た。
「フハハハ、こんな所で会うとはなハク。いや、ハク…」
「黙りなさい!これ以上ふざけた真似をすると次は頭に鉛玉を撃ち込みます!」
「やってみろ。お前にそれが…出来たらな!」
ハクのもとに向かおうとする男にミクがすかさず攻撃し、男の攻撃を止める。
「何なのあいつ?カイトの知り合い?」
「知るか!」
「此処がお前の墓場だ!」
男はそう言うといったん距離を置き、一気に間合いを詰めてカイト切り掛かった。
「ふざけんな!初めて会う奴にそんな事言われる筋合いはねぇ!何者だが知らねぇがとっとと失せろ!」
「失せろ…か。この言葉を聞いても同じ台詞が言えるか?」
「なんだと?」
「此処の村人は俺が全員俺が殺した」
「てめぇ!いったい何の為に?」
「理由?理由などない。ただの暇潰しさ。あぁ、ついでにもうひとつ教えてやろう。ダウンタウンで酒場を襲ったのも俺だ」
その言葉を聞くとミクは男に向かって飛びかかろうとしたが、カイトとハクがすかさずミクを止める。
「ミク!無闇に突っ込むんじゃねぇ!こいつはかなりヤバい。何も考えも無しに突っ込んだら殺されるぞ!」
カイトの腕の中で暴れるミクの顔には涙が見えた。
「いい加減にしてよ!いきなり現れて、村の人を殺したとか…人の命を何だと思ってるのよ?どうして何の罪も無い人が殺されなきゃけないのよ!あなた、人を殺して楽しいの?」
「弱い奴は死ねば良い、弱い奴に生きる価値などない。そう、弱い奴はなぁっ!」
男はミク目がけて突っ込んできた。カイトがミクを突き飛ばし、男の刀がカイトを襲う。
「ぐあっ!」
「カイトさん!」
「カイト!」
「ミク…逃げ…ろ…」
「嫌、カイト…。嫌ぁーーっっ!」
「大丈夫だ…こんな所で死なねぇ…よ」
「フハハハ。もっと俺を楽しませてくれないか?もっと叫べ、もっとその悲痛な叫びを俺に聞かせてくれ!フハハハ」
刀をんどんカイトにめり込まし腹部を貫通させると男は刀を一気に抜くと勢いよく血が吹き出る。
「ぐあぁぁぁっ!」
カイトの悲痛な叫びが木霊する。ミクはカイトの姿を見たくないのか、ハクの腕を振り払い、男に向かって走り出した。
「うあぁぁっっ!」
ミクの短剣が男の背中を刺し、ミクはそれを深く突き刺すように蹴る。
「カイトを…カイトを殺さないで!」
「女。まずはお前から殺してやろうか?こいつの目の前でな!」
「やれるものならやってみなさいよ!」
「ミク…止めろ…。俺の事は良いから早く逃げろ」
「カイトを置いていくなんて出来ない!私がこいつを倒してみせる!」
私は、怖かった。脚が震えるのが嫌でも解る。それでも私はもう大事なものは失いたくない、そんな一心で剣を握り奴に立ち向かった。どうって事ない、守るべきものを守れずに死ぬなら守るべきものを守ろうとして死ぬ方が心残りは無い。
「しつこい奴だ、まだ解らないのか?己の弱さが!」
「弱くても精一杯生きてる人の人生を壊すなんて絶対に…絶対許さない!」
「ミク?」
「あんたなんかに!あんたなんかにっ!」
男はミクの攻撃をもろともせずミクの頭を掴んだ。
「うっ…」
「ミク!ミクを離しなさい!」
ハクの銃弾が男の腹に命中する、ハクの銃弾が腹にめり込んでるにもかからわず男はミクを強引に投げた。
「貴方はいったい…何者なんですか?」
「仕方ない、冥土の土産に教えてやろう。俺の名は神威。聞いた事があるだろう?ハク?」
「漆黒の…神威…?どうして?貴方はあの時死んだはずじゃ…」
「あぁ、確かに死んださ。忌ま忌ましい隊長の手によってな!だが、神は俺を見捨てなかった、俺はルイン様の手によって蘇った。復讐の為に!」
「ルイン…それが貴方のボスの名…」
「気安くルイン様の名を呼ぶな!」
神威の刀がハクの胸を突き刺す。声も出さずにゆっくりとハクは地面に倒れた。
「ふっ。死んだか…。次はお前で最後だな、ピンク髪の女」
「いや…来ないで!お願い!誰か助けて!いやぁっ!」
「うるさい奴だ。少し黙らせてやろう…」
「そこまでだ!」
「?」
急に声が聞こえた。聞き覚えのある声、女の人だ。
「テ…ト…?」
「ルカ、良いものを持ってきたよ。君ならこれが使えるでしょ?」
そう言うとテトはポケットから、何かを取り出しルカに投げ渡した。
「これは…」
「魔力増幅器、魔法のブレスレットさ。ほらあの時返しそびれただろ?」
「誰だ貴様?殺されたいのか?」
「おっと。そんな物騒の物を振り回しちゃダメだよ」
「貴様!俺を愚弄する気かっ!」
「そんな訳無いじゃないか、まったく。君は実に馬鹿だなぁ。そんな事より君を捕まえたいとこだけど、今回は退散しとくよ。あ…ちなみにルカを甘く見ないほうが良いよ。じゃあ僕は退散~」
「あっ!テト…!行っちゃったわ…」
「貴様、あいつの代わりに死ぬか?」
ルカはテトの投げたブレスレットを腕にはめると、急に目つきが変わった。
「何寝言言ってるの?死ぬのはどっちか教えてあげるわ」
「何?魔力が凄い勢いで増幅してるだと?貴様一体何者だ?」
「さぁ、遊びましょ。神威?」
「いったい何なんだ、この力は?たかがブレスレット如きで、そんなにも…」
「私の家系はね、皆魔力が強すぎるの。だから普段は魔力をゼロにして魔力を貯蓄しておくの。そうしたらブレスレットを着けると貯めてた分どんどん膨れ上がるのよ!」
ルカの周りに魔力が集まっていく。
「くっ!お前はまさか?<聖魔戦争>の時の?」
「さぁ死ぬ覚悟は出来た?」
ルカの身体から発せられる魔力のオーラが周りの空気を変えていく。
「天に背きし神を愚弄する者に罰を…天から与えられし力を我に…悪しき魂を浄化せよ!【ライトニングストーム】」
天空からの裁きの雷が神威の身体を蝕む。
「ぐああっ!」
「やっぱり…一発が限界ね…ハァハァ…どう?効いたかしら?」
「くそっ!次は無いと思え!次は貴様等を必ず血祭りにあげてやるからな!」
神威は捨て台詞を吐き、瞬く間に消えて行った。
「ちょっと…無理し過ぎたかしら?…ハァハァ…そういえばカイトや皆は…?」
ルカはよろよろと歩き、ハクの身体を揺さぶる。
「ちょっとハク!ねぇ!貴女生きてるんでしょ?死んだら許さないんだから!お願い…返事してよ…」
「ルカ…?」
か細い声でルカに返事をし、ゆっくり腕を伸ばしルカの頬を撫でた。
「ハク!ダメよ!逝かないで!お願い…」
「大丈夫ですよ…少し眠るだけです…次に目を開ける時は…えへへ。ルカさんや皆の笑ってる顔が見たいです…」
「何言ってるの?冗談は止めて!もう良いから喋らないで!」
「短い間だったけど…ルカ達と居れて楽しかったです…」
「喋らないでって言ってるでしょ!傷口が開いていくわ!ハク…どうして…」
「ルカ…貴女泣いてるの?アタシの為に…?」
「喋っちゃ駄目って言ってるじゃない!もう大切な人を失いたくないの!だから…お願い…」
ハクはルカに笑いかけると静かに目を閉じた。
最後に「ありがとう」と言い残して…
「嘘…?ハク?ハクーーーっっ!」
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