-歯車side-



EVILS THEATERの入口のドアで、僕はただ、じっとしていた。
さっき、『時の魔導師』が出て行って、また戻ってきていたが、きっと今頃会議をしているのだろう。


だけどもう、僕は会議には参加できない。
それでも、「彼女」を救えた。だから、後悔はしていない。


しかし、まだあの茶番をしているのか──。小さな溜息が漏れる。
この先には何もないというのに───。


「──あら、それはお前が言えることなのかしら?」


僕の心を見透かされたかのように言う彼女は、不敵な笑みで僕を見る。
彼女の名は『墓場の主』。迷い込んだ、哀れな侵入者達を喰っている人(?)。


「『墓場の主』・・・」
「お前、罠に落ちたアダムの魂のクセに、全てわかるみたいな言い方をしているわけ?
もし、それが本当だとしてもなんだとしてもお前の成せることなどもう、なにもないでしょう?」
『墓場の主』は、自分の眸に映る僕を見下すように笑った。


笑い終わると、彼女は自分のドレスの中から一つ、真っ赤なリンゴを出す。
そしてそれを大きな口で、いっきに半分ぐらい食べた。


僕は、何一つ言い返すことができなかった。
自分でもわかっているんだ。
自分はもう、何もできないと────。

ライセンス

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【茶番カプリシオ】3、歯車の無力さ【自己解釈】

やっとKAITO登場。
茶番カプリシオで一番好きなのは、『歯車』なのだ!(黙

[偉大なる本家]
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16017826

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投稿日:2011/12/29 14:34:30

文字数:542文字

カテゴリ:小説

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