「はぁ・・・・」
帰宅途中、溜息をついてしまった。
今日もTVに、スタジオに、ライブ会場にと大忙し。
やっとの帰宅・・・それも2カ月ぶりの。
・・・・今見た目は大丈夫かなぁ
みんなの知ってる私は虚構なのさ・・・メイクして、着飾ってさ、今は帽子をかぶって眼鏡をかけて隠してるけど、素の私なんか誰も知らないだろうなぁ・・・きっと疲れてて目も当てらあれないことになってるよ。
・・・・テトちゃんは大丈夫かなぁ。ずっとアニマルホテルに預けてるけど・・・。私の愛しのにゃんこ。今行くからね・・・
「よしよーし、ごめんね、ずっと一人ぼっちにさせちゃって。」
かごの中でテトはニャーニャー暴れている。ごめん、ごめん。
「よーし、もーすぐ家だぞ~」
君がいないと私はこの世界にいられない気がする。だいじな友達、私の家族。愛しい赤毛のねこちゃん・・・
「・・・・きれいな満月。」
おもわず、声をあげるぐらい、きれい・・・・
「たっだいま~」
やっと帰宅、はぁ、疲れた。
かごを開けると、テトは勢いよく飛び出してきた。そして、私の足にすりすりしてくれた。
「ふふ、ただいま」
彼女は私を慰めてるのかしら・・・・。彼女はそれに答えて「ニャア」と泣いた。
テトを抱き上げ、布団の上にぼふっと飛び乗る。
「今日もね、いろんな人の前でね、いっぱい歌を歌ったんだよ・・・」
テトにいっぱい話しかけた、2か月にあったこと、良かったことも、悪いことも。
「その時マネージャーったらカードを忘れてねぇ・・・・あの時の観客はキモかったなぁ・・・・あ~も~あいつはどーしてあんな失敗したのかなぁ
絶対わざとだよぉ、ねぇ・・・・・」
テトは大きな目を開いて私の話を一生懸命聞いてる
そしたらだんだん眠くなってきて・・・・
私は疲れていた・・・・私はこの世からいなくなりたくなった・・・・もっと別の・・・・今夜の月夜みたいに・・・・
「・・・ねぇ・・・ねぇったら」
誰かが私の頬をペチぺチ叩いてくる。
「・・・・ん~」
「早く起きてよ、ねぇ~~」
私が渋々起きると、そこには見知らぬ少女が立っていた
縦ロールで、ちょっときつそうな雰囲気、着物もおしゃれで・・・
「だ・・・だれ!?」
「私のことが分かんないの?」
「知らないよ~」
「あなたの大切な人ですっ!」
「え・・・・・テト!?」
「そ~だよ、てかそれしか正解ないじゃん!とにかく早くお~き~て~」
「わ、わ、わ、ちょ、引っ張んないでよ!何そんなに急いでんの~~!」
「あ~も~パレードが始まっちゃうよ~」
「え、え?わわわ、着替えさせて~」
私はテトに強引に引っ張られていった。空に満月が不気味なぐらい輝いている・・・・
何やら、周りが騒がしい。野良犬やら鳥やらうさぎやら虫やらが、一斉に飛び出している。何が始まるの。私が状況をほあくしかねているても、テトは私の腕を引っ張って走っていた。
すると、あたりがずいぶん明るくなった・・・と思ったらそれは全部はホタルの光だった。それも、見たこともないぐらいたくさんの。
「うわぁ」
私がドキドキしているともっと見たことないことが起きた・・・・野良犬たちが少しペースを落としたと思ったら、テトみたいに着物を着た人間になったのである。
「ふぅ、間に合った」
テトがそういった瞬間、花火が上がり凄い音が鳴りひびいた。するとこんな声が聞こえてきた。
「さぁ、みなさんこれより百鬼夜行が始まります!!あの月に向かって皆さん行進しましょう!!」
威勢のいい祭囃子が聞こえ、果てがないような大行進が始まった。
周りの人々は大きな声で歌ったりがなったりして、自由に踊ってる。それを見てると私も乗ってきて、ついつい歌い踊り始めてしまった。
よく見ると、茶碗やら冷蔵庫やら無生物のものまでまじって踊っていた。さらに向こうを見ると、天まで届くようなお神輿やねぷたが見えてきた。
ふと、ある疑問がわいた
「ねぇ、どうして、私を連れてきたの?」
私はテトに聞いてみた。
「何、とぼけてんの?」
「え?」
「前々から言ってたじゃん『別の世界に行きたい』って」
「・・・・・」
「本当はうんざりなんでしょう?一緒に出て行こうよ!!こんな腐れた世の中からさ!!」
こうして、初音ミクは月の扉をくぐることになったのです。彼女は妖怪たちにこの世から連れ出されたのです。
さぁ、彼女はどうなってしまうのでしょうかねぇ・・・・。
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