あぁまた始まってしまう予感がする
そうかこの人も結局嘘をつくんだ
なんかもう本当に仕方がないなぁ
嘘の行方を見守っていくとしよう


嘘をつくのが分かるようになって
最初は憂鬱だったけどいつの間にか
「どんな嘘をついてくれるか」なんて
少し楽しみになっていたりする

１００％まるっと正直な人はいない
忘れたこともある知らないこともある
それらを隠して話し続けると感じる
「嘘をついている」って確かな違和感

大抵は忘れていただけの人ばかりで
まれに「嘘まみれ」が似合う人もいる
そうなるともうそれはおとぎ話だから
次の展開を早く聞きたくなってる

どうせならもっと面白い嘘でお願い
せっかく聞いてあげてるんだから
予想だにしない結末を見せてくれたら
少しくらいは笑顔になっているかも


豪勢に見栄を張る人は聞いてて楽しい
どうしてそんなに嘘をつくんだろうって
たまに本音が混じってる時もあって
そう言う時はちょっと同情したりする

笑顔で話していても嘘は寂しい
和やかな言葉のスキマに悲しみが滲む
そう言う時は聞いてあげるだけで
何も出来ない自分が少し悔しい

小さな子が付く嘘はスケールが大きい
昨日お星様と喋ったとか妹がワニとか
話を合わせてあげると喜んでくれて
嘘に嘘が重なってあらら地球滅亡だ

こちらからも言いたい素敵な嘘をありがとう
どうしてそんなに面白い話が作れるの？
目の前のことでいっぱいいっぱいの私には
みんな巧みなストーリーテラーに見える


一番辛い嘘がある「大丈夫」の一言だ
絶対に大丈夫じゃ無いのわかってる
そんなの私じゃなくたって誰でも分かる
繕うことすら出来なくなって青ざめて

特に深刻な人ほど嘘をついてる
踵を返してどこに向かうつもり？
耐えきれなくて掴んだ腕を放せなくて
「今来た道に戻りましょう」とか告げる

勘のいい人はすぐに悟ってまた嘘をつく
どんな嘘でも良いから急がないで欲しい
話はいくらでも聞くから諦めないで欲しい
面倒そうに笑って諦めたフリで戻ってく

こんなことできたって何も変わらない
どうしたら自分を突き刺す嘘を消せる？
何も知らない方が良かったとは思わない
何も出来ないことが良かったとも思えない


私だって嘘は付いてるたくさんたくさん
誤魔化して見栄張って虚栄心の偽善者
私の嘘はどこも楽しくない面白くない
誰が見たって虚しいだけのハリボテだ

嫌われたくないだけで好かれるつもりも無く
自慢したいだけで責任負うつもりもなく
目立ちたいだけで手を差し伸べるつもりもなく
笑っていたいだけで結局誰かを嘲笑う

もっと楽しい嘘をつきたいよ
どうでもいい話詰め込んで
もっと悲しい本音消したいよ
ゴミにして回収して欲しい

今日も誰かの口に嘘が綴られてく
塗りつぶした真実は隠してて良いよ
それであなたが笑えるのなら構わない
いつだって私はそれに付き合うからさ


ねぇ、次はどんな嘘をついてくれる？